塵

あなたが遠くへ行って
新しい人たちに囲まれ
僕を忘れ去ったとしても
僕はあなたを忘れない

僕の身体が朽ち果て
目に見えない塵になって
僅かな風に飛ばされても
あなたの名は刻まれている

あなたの名は僕とともに
黒い緑の森を抜け
虫の蠢く洞窟を潜り
大きな海を渡る

はしゃぐ子どもの肌に触れ
居眠りする老人の皺を撫で
煙る瓦礫につく血を舐め
猫の額にふんわりと乗る

ほんとうのことは
決してなくならない
あの眩しい瞬間
耳に残る美しい旋律

誰もがあなたを忘れても
僕だけはあなたの名を抱く
いつまでも旅を続ける
あなたの名を刻む塵

ほんとうのことは
決してなくならない

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