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【文学フリマ大阪12】短歌とガラス『涙のかたち』
三日後に控えた文学フリマ大阪。
一年前はきちんと就職していて、ギリギリでも出店できるようにしようと、していると思っていた。
だけど、何も変わらない。
退職をして、バイトもできていない。
だからこそ、できることがある。
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今回の文フリに向けて、制作をする心が萎えていた。
どうしても湧き立つことができなくて、
頑張って何かを作る、
頑張って気持ちを高める、
そういったことができない状態だった。
楽しみなのに、何もできない。
本を作るために動くこともできない。
短歌を作ったり、カレンダーを作ったり、
作りたいものも考え付かなかった。
そんな中で、母が
「ステンドグラスをキーホルダーサイズにして、詩をつけて販売しよう」
と言い始めた。
母はこの2年でステンドグラスを習い、
機材も大体のものを手に入れ、どっぷりとハマっていた。
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図柄も一から自分で描いて、作っている。
基本的にはうちの猫の柄。
一般の人が思うステンドグラスとは、少し違うのかもしれない。
わたしも昔までは『教会にあるキリストの姿のやつ』ぐらいに思っていたけれど、
もっと自由でなんでもできると知った。
ガラスは、光に当てると全く違う顔を見せる。
黒だと思っていたのが、実は青かったり、
緑一色だと思っていたのが、赤や黄色、青が混ざっていたり、
みる角度や光の当て方で表情を変える。
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奥が深く、澄んだ気持ちになる。
反射する光は、キラキラとさまざまな方向に散っていく。
いくべき場所はわからないけど、道標になるような大事な光。
そんなかけらを持ち歩けたら、
きっと、心の拠り所になるだろう。
そうして作ってくれたガラスは、
涙のかたちをしていた。
綺麗な涙がた、雫の形から、
歪でガタガタとしたもの。
美しい水色から、
見ように寄っては藻のようなもの。
必死で生きている人間が流す涙は、
人それぞれの形をしている。
苦しみからの涙も、喜びからの涙も、
感動の涙も、死ぬ前の涙も、
どれも美しい。
汚いは綺麗、綺麗は汚い。
母が作ってくれたガラスに
短歌をふたつつける。
ガラスの色や透け方、かたちに思い出や感情をリンクさせて、
言葉を紡いでいく。
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こんなに素敵なガラスたちをより効果的にする方法はなんだろう。
母と頭を捻ってたどり着いたのがこの形だった。
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箱を短歌を印刷したトレーシングペーパーで巻く。
中身も短歌を潜ませる。
これは、私たちからの宝箱だ。
ガラスには専用の短歌がついている。
書き下ろしで、そのガラスのためだけの短歌だ。
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文学フリマ大阪の会場では、たまたまあった木のオブジェに
実のようにガラスをぶら下げて展示するつもりだ。
ガラスを選んだら、短歌の書かれた箱に入れてお渡しする。
もしくは、
短歌の箱を選んで、ガラスをお渡しする。
どちらでも、おみくじのような体験をすることができるだろう。
きっと、予想通りにはならない。
「え、これがこれなの?」
「こんなに美しいのに、どうしてこんなに悲しい歌なの」
そういう感情になるだろう。
そこまで含めて、あなたの体験で、宝だと思う。
占いって、当たる当たらないじゃなくて、
その言われた言葉に対して、自分がどう思ったか、
どう感じたか、怒りなのか悲しみなのか喜びなのか、
そういう感情に気づくためのものだと思う。
短歌とガラスもそういうふうに選んでいただけたらいい。
きっと、何かが浮かんでくるはずだ。
ガラスにはそういう力があると思う。
シンプルなものだ。
だからこそ、人はその中に『何か』を見出すのだろう。
三十個限定の販売を予定しています。
早く来てくださると、選べるレパートリーが多くなる。
遅めにくると、運命のものが見つかるかもしれない。
皆さんにとっての宝物になりますように。
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【文学フリマ大阪12】
🗓9/8(日) 12:00〜開催 (入場無料!)
📍OMMビル 2F A・B・Cホール
✅ブース: ち-45〜46
📕イベント詳細
https://bunfree.net/event/osaka12/
📚ウェブカタログ
https://c.bunfree.net/c/osaka12/36755
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