高校生の子を持つ親はちょっと聞いてほしい、大学受験と塾の話。
先日、都立高校に勤めている友人から質問を受けた。
「個別指導塾って模試とか受けさせないの?」
僕はLINEの返信の早さに定評がある方なのですぐに返す。
「他の塾を詳しく知っているわけではないけど、うちと同じ系列の個別指導の部署ではきちんと受験させてるよ」
彼も塾業界について全く知らないわけではないので、この質問に違和感を感じて何があったか聞いてみた。
すると返ってきた答えがこれだ
「うちの高3が、共通テストを受けたいと言っていて、個別指導の塾に通っているんだけど、今まで一度も模試を受験したことがないらしいんだ。」
なんとびっくり。
しかもこれだけではない。
詳しく聞くと、この子の親は
「共通テストを受けないと、大学に行けない」
という勘違いをしていた。
衝撃。
地方に住んでいる高校生が受験について何も知識がないとかは聞いたことあるが、
都立高校でそんなことある?
しかも通ってる個別指導塾も個人塾とかではなく大手のとこで、もうトリプルパンチだ。
この記事がどれくらいの人に届くかわからないが、もしあなた高校生のお子さんがいるのであれば、絶対に最後まで読んで欲しい。
大丈夫。5分あれば読める。
2021年度版大学受験の仕組み
まず、前提を整理しておこう。
大学受験を、一般入試で受けようとする時、大きく2つに大別される。
国公立受験と私立受験だ。
それぞれの入試方法の違いは以下の通り。
国公立受験・・・共通テスト + 大学ごとの試験
私立受験・・・・大学ごとの試験 ※方式による
つまり、冒頭の高3生は
国公立大学に進学した場合は共通テストを受験する必要があるが、私立大学に進学したい場合は共通テストは受ける必要はない(その大学ごとの入試を受験すればよい)ということだ。
では、共通テストについて触れていく。
来年1月から、これまでの大学入試センター試験に代わり、大学入試共通テストが実施される。
出題形式はこれまでとはかなり変わる。
英語では発音・アクセントや文法の問題がなくなり、長文の比重が大きくなる。
数学は問題文が長くなり、答えを導くまでの過程に重きが置かれている。
全体として、しっかりとした基礎の力と、それを組み立てられる思考力が求められるようになった。
国公立受験者はセンター試験の時より対策に時間がかかるだろう。
(過去問もないので。)
ただ、変わったのは共通テストだけではない。
今年の入試がこれまでと大きく違うのは、私立大学の入試方式の変容だ。
簡単に言うと、大学ごとで入試の方法が変わってきている、と言うこと。
「従来通りの3科目受験で良いよ〜」
という大学もあれば
「今年から英語の試験はやらないよ〜」
という大学もある。
具体的には上智大学、青山学院大学、立教大学などだ。
ちなみに、英語試験を課さない大学は、代わりに
・英検など外部試験のスコアを点数化
・共通テストの英語の得点を利用
などで対応する大学が多い。
また、同じ大学・学部・学科でも受験方式によってまた全然違う。
特に今年はコロナの影響もあるため、より受験校選びは慎重になるべきだ。
例えば横浜国立大学は2021年度入試では個別学力試験を実施しないこととした。
大切なことは自分が進学したい大学の受験方法をきちんと調べておくことです。
「うちは塾に通わせているから」って、その塾本当に大丈夫?
さて、ここまで大学入試の話をした。
「ほとんど知ってたぞ!」という方も、「知らないことあったなぁ」という方もいるかもしれない。
もしかしたら、「自分が大学行っていないので、塾や学校に頼っている」という保護者もいるかもしれない。
それはそれで間違った選択ではないので、良いと思います。
ただ、今一度、点検の意味で確認をしてください。
・その学校、塾の先生は進路についての面談などを行ってくれているか。
・その学校、塾の先生は受験についての知識を十分持っているか。
・その学校、塾の先生は子どものことを考えてくれているか。
学校の先生も、塾の先生も、希望する子は大学に進学させたい。はず。
ただし、先ほどの入試の話はすごく表面的なもので、実際はもっと複雑である。
だからこそ先生たちはその子一人ひとりに合った進路指導をする必要がある。
定期的に生徒がどの方向に進もうとしているかをヒアリングし、自分の持っている知識を提供し、方向性を一緒に模索して、時には現実的な話もする。
特に3つ目の「子どものことを考えているか」と言う軸は、ただ子どもに迎合するのではなく、時には厳しい現実を伝える必要もある。
先の例で言えば、個別指導塾の先生なりの考えがあったのかもしれないが、少なくとも一度は模試の受験を推奨してもよかったのではないだろうか。
(もしかしたら推奨はしてたのかもしれないが、、、)
あまり詳しいことは言えないが、学校の先生でも進路指導をあまりきちんとしない先生も事実、いる。
塾はどうなのかって話になるが、これは正直塾によって全然違う。
「月謝を払っているのできちんとしてもらっているはず」と思っている方もいるかもしれないが、
それは思い込みかもしれない。
塾としては”授業料”に対して”教科の授業”を提供するだけの塾もある。
もちろん、進路指導や学習サポートも補ってくれる塾も存在するので、不安な方は今一度塾のパンフレットなどを見ると良いだろう。
親が絶対にやってはいけないこと。
最後に、最も伝えたい話をする。
それは、「大学受験は数年前とは比べものにならないほど難しくなっている」ということだ。
例えば、MARCHや日東駒専といった大学のランクは知っている方も多いだろう。
では、日東駒専のレベルが、最近はMARCHと肩を並べるくらい高くなっていることを知っている人はどれくらいいるだろうか。
例えば、東洋大学 経済学部の偏差値は62.5となっており、立教大学の経済学部と変わりない。
また、駒澤大学 文学部は偏差値60.0で、中央大学の文学部とほぼ同じだ。
これだけではない。
一昔前は「名前を書けば受かる」と言われていたような大学も、今では普通に落ちる。
この事実は親も知っておくべきだ。
受験校の決定は慎重に行わなくてはいけない。
高校生をお持ちの保護者が、やりがちだが、絶対にやってはいけないことは
「自分の受験時代の記憶で子どもに勉強の話をする」ことだ。
高学歴の親ほどしがちだと思う。子どもに過度な期待をしている親をたくさん見てきた。
思い出は美化されがちだし、そもそも時代が違う。
第一それを言われて素直に頑張れる高校生は少ないと思う(家庭によると思うが)。
そのことを親は把握しておかないと、ただでさえストレスフルな受験を控えた我が子のストレスを増大させることになりかねない。
本当にお願いします。
まとめ
・大学受験は数年前とは別世界になっており、受験方式も多様化が進んでいる。
・学校や塾が、適切な進路指導をしているか点検してみよう。
・親は自分の受験の思い出話をしない。
今回の話で、地方出身の会社の後輩が、
「うちの高校、国立至上主義で、こっち(関東)の私立とか全然わからなかったんですよね〜」
と語っていたのを思い出した。
彼は全国模試で英語の偏差値70を超える猛者だったが、進学したのは偏差値50の大学だった。
受験校指導って本当に大事だな〜。
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