今日の引用 2021.4.21. 知らなくもない町
"8月のある日。福井市にある妻の実家に帰省した。
一泊した翌日。家の用事がなんだかんだあるので、夜まで外でぶらぶらしてくれ、と妻に言われた。
福井には原稿を書く道具を持って来ていない。完全な自由時間。漫画の吹き出しのような形をした「時間」を手渡された気分。これで小遣いまで持たされたら、その場で溶けてしまったかもしれない。
まずはプールに向かった。"
書をステディー 町へレディゴー|安田謙一・辻井タカヒロ P94
著者は市民プールで2時間過ごし、その後てきとうなカフェでチキンカレーを食べ、名画座で古い映画を見て、本屋を覗いたり今川焼きを食べたり、歩きながらウォークマンで音楽を聞いている。レコード屋へ行ってみるが潰れており、マクドナルドでアイスコーヒーを飲み、持ち歩いていた短編集を読む。それから日が暮れてきたと言って、帰路についた。
「知らなくもない町」というタイトルなんだけど、こういう休日の過ごし方、僕は良いと思います。ただ実際の休日は勝手知ったる地元で過ごすか、全く知らない土地へ旅行に出ているかで、こういう「知らなくもない町」で自由時間を過ごすという体験は、記憶にない。
最近見かけたtogetterにこういうのがあった。
「暇な時間があると病む」という内容で、僕はてっきり釣りだっと思った。こんなことがあるわけないと。しかし実際に、そういう声を上げている人がいるようだ。僕は、暇な時間はいくらでもほしい。むしろ暇な時間がないと病む方。だから、「暇な時間があると病む」という感覚がまったくわからない。大学生の頃とか何してたんだろう?と思ってしまう。毎日忙しく勉強したり遊んだりしていたのだろうか。
そういう人が、冒頭の知らないくもない町で、完全な自由時間を与えられたら一体どうするのだろう。僕は暇な時間を愛してはいるが、うまく時間を使うのは苦手だ。きっと何もできないままダラダラと過ごしてしまうか、ずっと一箇所にとどまってしまう。安田さんみたいにプール行ったり映画見たり本読んだり、あれこれ器用にいろいろと時間を使えない。使えたらすごく満足するだろう。