
我が家にベッドが来た
最近のこの手足の神経痛と神経麻痺、一応整形外科では腰痛からくる腰の炎症が起こしている可能性があるという話があり、精神的なものなのか、腰痛からくる炎症なのかわからない状態が続いている。
整形の先生から教えて貰った体操を朝と晩にしているが、なかなかまだ痛むし、相変わらず麻痺している。
でも、腰痛にはCTで炎症が起こっていることは私も目視で確認したので、腰痛の線も一応視野に入れて、思い切って寝具を変えようとなった。
一先ず、夫が用意してくれていたマットレス+布団のセットをしまって、ベッドマットレス(コイルのやつ)を購入した。
すると、夫、ソワソワし始める。
どうしたの?と尋ねる私。
夫「俺の家は貧困家庭だったから、自分のベッドをこれまで持ったことがない、ベッドで寝れるのはホテルくらいだったから」
それを聞いて、目をキラキラさせている夫を眺めていると、胸がいっぱいになっていくのを感じた。
「君のベッドだよ、お家にある君のベッドになるんだよ、普通の幸せなんだよ」
夫はすごい!と言って嬉しそうに踊ってた。
夫の家庭環境は崩壊していた。母子家庭で、母親は働けない状況で、小学生からずっと生活保護状態、そこから返さなくていいはずの借金を返していたのだという。なので、ご飯を食べられない時もあった。それに加えて、前のお父さん二人は、幼かった夫を虐待しており、首を絞められたこともあると話していた。そんな夫は、解離性同一性障害(いわゆる多重人格という精神疾患)という重い精神障害を抱えて、余りにも可哀そうだった。
私とこの古民家で暮らすようになってから、夫はとても明るくなった。そして、穏やかになった。毎日が楽しそうで幸せそうにみえる。
普通の生活、病気や障害があって色々大変だけれども、一応、なんとか普通の生活を送っている、当たり前な普通の生活が送れることに私も夫も、その当たり前の普通が与えられなかった人生だったから、こんな小さな普通の事もとても大層すごい幸せなことのように感じられる。
普通の生活ができる幸せを日々噛みしめながら生活している。私たち夫婦は特別幸せなのかもしれない。これまで、頑張ったから、余計そう感じるのかもしれない。だから、余計なものは買わないし、贅沢もしない、ただ、普通の日々を過ごしている。それがどれほど大変で、どれほどありがたい事なのかを知っているから、きっと、毎日が幸せで、ふとした瞬間に幸せで胸がいっぱいになって、泣いてしまうのだと思う。
なにも要らないのだ、普通に生活できて、平凡な代り映えのない生活が送れるだけで、幸せで満たされるのだから。
いい、買い物をしたなあと、思った。それだけのお話でした。