パニック障害 外出どうする?
パニック障害になると必ず直面する問題。それは “外出” です。
「ちゃんと目的地までたどり着けるかな…」
「体調が悪くなったらどうしよう…」
外出の予定が決まると、当日までこんな気持ちが頭の中をぐるぐるしてしまう…という方は多いのではないでしょうか?
家の中では比較的穏やかに過ごせるのに、外出となると一気にプレッシャーやストレスを感じてしまい、心身共になかなか落ち着けない状態になってしまうというのが、パニック障害の辛さの一つでもあると思います。
また発作や体調不良を恐れ、今まで行けていた場所に行きづらくなってしまったり、出掛けたいけれど不安で外出できなくなってしまう...。
このような “外出できなかった” という経験が繰り返されていくうちに、いつの間にか「外出できない自分はダメだ」「外に出ないことは良くないことだ」という価値観が出来上がってしまうのです。
家に居れば安全で気持ちも落ち着くけれど、
「外に出なきゃ…」という焦りがどこか頭の片隅にあるような感覚。
この葛藤もまた、とても苦しいですよね。
今回はその “外出” をテーマに、ちょっと新しい視点で考えていきたいと思います。
◆ みんな外出で悩んでいる
「無理をしても頑張って外出した方がいいですか?」
「少し調子がいい日は、人混みや苦手な場所に行ってみた方がいいですか?」
カウンセリング中お客様から一番多く聞かれるのが、このような外出についての質問です。・・・皆さんは、どう考えるでしょうか?
私はまず「その外出先は、行きたいと思える場所ですか?」と皆さんにお聞きします。
すると殆どの方が「行きたいと言うよりも、苦手なので行けるようにならなきゃと思って…」とおっしゃいます。
もちろん、苦手な場所に行けるようになりたい・周りの人と同じように行動範囲を広げたいという気持ちは、当然あると思いますし、あっていいと思います。
・・・ですが、今回はちょっと視点を変えて考えてみましょう。
その目的地、あなたが本当に行きたいところなのでしょうか?
◆ “行きたい” と “行かなきゃ” の大きな差
まず同じ外出でも “行きたい” と “行かなきゃ” の心理的状況は、全くの別物です。
人間の心には「意識」と「無意識」というものが存在します。
中でもこの無意識は心の中で24時間常に働いており、時に自分の思考や感情を支配することがあります。
【意識1割:無意識9割】と言われるくらい、私たちは普段からこの無意識に大きな影響を受けているのです。
行かなきゃいけない場所に行くときは、無意識・意識共に不安や怖さが占めている状態です。
一方で行きたい場所に行くとき、意識的に不安や怖さはもちろんあるのですが、無意識にはワクワクした気持ち・嬉しい気持ち・楽しみな気持ちが必ず潜在しています。
【意識1割:無意識9割】という無意識の多大な影響力を考えると、「行きたくない場所」や「行かなきゃ」と思う場所よりも、無意識にある潜在的なワクワクを味方につけ、少しでも「行ってみたい」と思える場所へ足を運んだ方が、うまくいく確率がぐっと上がるのです。
そして「行かなきゃ」と思う場所と「行きたい」と思う場所。
予期不安がどちらが強くなるのかは、もう明白ですよね。
このように「行かなきゃ」ではなく、「行きたい」場所に行くという選択を意識していくと、外出に対するネガティブなイメージが徐々にポジティブなものへと書き換えられていきます。
するとマインドレベルも上がり、不安度が少しづつ下がっていく。
その結果「行かなきゃ」と思う場所への外出のハードルも、下がっていくのです。
◆ これからは自分で選んでいい
まず大前提として、パニック障害じゃない方でも、行きたくない場所にわざわざ行くことは苦痛なはずです。
それに、生活をしている上でどうしても避けられなかったり、やむを得ず行かなければならない場所も、皆さんそれぞれあると思います。
やむを得ない場面もあるからこそ、自分自身で選択できる場面では「行かなきゃ」よりも「行きたい」をこれからは選んでみる。
駅のホームに行くなら、行ってみたかったカフェの前まで少しだけ行ってみる。
苦手なショッピングモールに行くなら、気持ちよさそうな公園を5分散歩してみる。
もし不安や苦手な場所に挑戦して慣れていく暴露療法 (認知行動療法) がとても辛い方や悪化してしまった方、自己流の外出の練習でなかなか上手くいかないという方は、あえてやり方を変えてみることを視野に入れても、良いのかもしれません。
もしこれを山登りに例えると
「行動範囲を広げる」という頂上のゴール地点は同じですが、山の登り方に違いがあるということです。
・・・そして何より、パニック障害になる前の自分を思い出してください。
本当はやりたくないことを必要以上に頑張ってきたり
本当は行きたくない場所も、沢山行ったりしてきたのではないでしょうか?
これからも同じことを、続けていきますか?
「本当はいやだよ」
「本当はやりたくないよ」
「それは苦しい考え方だよ」
「もうこれ以上は無理をしないで」
パニック障害はこれ以上心が苦しまないように、症状という形であなたに気付いて欲しいことをお知らせしてくれているかもしれません。
この記事が、少しでも誰かの役に立ちますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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