EUの話をする時に経済やお金の話ばっかりしないでよ
イギリスの人は、「continent」という言葉をつかって欧州各国を表す。彼らにとっていつでも、厄災はcontinentからやって来る。病気しかり、戦争しかり…。
今は移民が怖いらしい。
安くて質も高いために、労働市場を荒らすEU東側市民の移民も嫌だが、EUが受け入れを表明した難民達を分担して受け入れるのはもっと嫌。欧州として発展し、世界の中でプレゼンスを高める為であっても、欧州内の他国の為にお金を分担なんてしたくない。イギリスの地方はかなりEU予算をもらっていると誰かが言ったが、そんな事は嘘に決まっている。「あの」ドイツと共同で防衛を行うなんて論外だー
あと24時間もしないうちに、英国がEUから離脱する。とうとう来てしまった。
残念だ。
これ以外の言葉は見つからない。ほんとうに心理的にも、金銭的にも、物理的にもふりまわされた3年だった。
もう、決まった事。彼らが選んだ事だ。前に進むしかない。
国民投票の翌日の絶望的な気持ちは忘れられない。あんないい加減なキャンペーンで、民意が形成された。「民主主義の結果」が出た。たくさんの嘘があったと、嘘をついた本人までも認めたのに、誰も追求することができない。その後も変わらず、嘘をはき、質問には真っ直ぐに返事をしない人の話をみなが聞く。「信じたい話」しか聞こえないみたいだった。恐ろしかった。
離脱するかしないか、の喧々諤々の議論の時、ほとんどお金の話だった。離脱したらどんな経済的なメリットがあるか、そんな話ばっかり。残留派がどれだけEUの理念を語っても、理論的にそこに属することのメリットを語っても、経済的なリスクを語っても、何も届かない。聞きたい話しか聞かない。離脱したら、ギリシャやイタリアに足を引っ張られることなく、国土がイスラム化される恐れもなくなり、アメリカや中国相手にものすごい英国有利な貿易協定を結んで、グレートになる。なぜなら、自分達にはその価値があるから。かつて帝国を築いた、すばらしい民族だから。
でも、EUってそういうものだっけ?
EUは、ドイツとフランスの経済協力からスタートしている。親しくなって心理的に敵意を持てないように…、というだけでなく、(相互的な経済依存関係のために)物理的にも戦争ができないようにしたのだ。もう2度とあの様な戦争を起こさないために。自国を破滅に追いやらないために。神話だという人もいうけれど、「peace project」としてのEUの理念に、もっと注目してほしかった。環境保護のことだって、EUとしてある程度の強制力をもって取り組んだほうがいいのに。
離脱するのはよい。今後も仲良く付き合うもよい。でも、もし自分達の利益のために、横からEUを崩壊させようと企むのなら許せない。
新しい世代の力をかりて、もっとEUが発展していけますように。国境を越えた価値を創造していけますように。