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【日本語文法】「つつ」ってどんな時、どう使う?
「つつ」ってどんな時、どう使う?
「つつ」は「ながら」とほぼ同じ意味だけど、書き言葉的。と言ったそばから、非文が出てきてしまい「チーン」なんてこと、ありませんか。でも、先生、テキストには同じってあるから・・・。
そうなのよ、でも、ちょっと違うのよ、、、
皆さんは、こんな時どうしますか。非文を訂正する際に「これは逆説のときに、、、」みたいな文法説明をすると余計にわかりにくいので、例文で違いを見せていく必要があります。
「どの文法項目とどういう動詞とがセットになりやすいか」レベルが上がるにつれて、ここが重要なポイントになってきます。今日は「つつ」で考察してみましょう。
まずは、Coto講師の皆さんに例文をバーっと挙げてもらったあとで、2つに分類してみました。例文はコトハジメのブログ記事をご覧ください。
「つつ」意味と例文
<逆説>
前件・後件の主語は同じですね。話し手の心理と行動が違うときに使います。「前件、でも後件」、たとえば「思っているけど、できなかった」、「わかっていたのに、やってしまった」などといった状況です。
自分で例文をあげてみるとわかりますが、前件は話し手の心理がくることが多く、「感じる、思う、知る、考える、わかる」などの言葉がよく使われます。後件は話し手の後悔や我慢できずにしてしまったことを述べます。「逆説」かつ「同時進行」であり、両者の関係は不可分のようです。
こちらは「ながら」でも言い換えられますが、逆説の意味で使う場合、「つつ」のほうがしっくりくるような気がします。
<同時進行>
※ こちらは「ながら」と意味は変わりませんが、「つつ」はかたい印象があり、書き言葉的です。
前件で使われている動詞はどんな動詞が使われているでしょうか。書き言葉的ということで、「確認・相談・配慮・期待」などの漢語(する動詞)とも相性がよさそうです。
もうちょっと!
全体的に使われている動詞を見ると、静かに継続している感じの動詞が多いようです。「つつ」は動作性が強くない動詞とは相性が良いみたいですね。
それでは、動作性の強い動詞と一緒に使うと、どうなるでしょう? ニュアンスが変わってきます。
○歌いながら踊るジェニファー・ロペスってすごいですね。
?歌いつつ踊るジェニファー・ロペスってすごいですね。
「ながら」は歌うことと踊ることが同じ程度で&同じタイミングでという感じがしますが、「つつ」は時に歌い、時に踊るといった感じで断続的に2つのことが行われているような感じがします。
本日のおすすめの一冊
『日本語教育のための文法コミュニケーションハンドブック』 著:中俣尚己(くろしお出版)
コロケーションは「迷惑 ー かける」「試験 ー 受ける」などのように、どんな動詞と名詞がセットになるかというものです。こちらは ”文法版のコロケーション本” です。コーパスデータ*を用い、どの文法項目とどの動詞とがセットになりやすいかを見える形にしています。典型的な使用例、結びつきの強い動詞がわかるので、例文を作る際に役立ちます。
今回も真っ先にこちらの本で「つつ」を探したのですが、取り上げられていなかった・・・こういう場合は自分で考えるしかありません(笑)。
もちろん自分で考えることは日本語教師として必要な工程ではありますが、なかなか大変です。日本語教師になったばかりで例文の準備が苦手・不慣れという方も少なくないと思います。
この本は例文作りのヒントになります。自分で考えつつ、文法書を見つつ、このような本も参考にするといいかもしれませんね。