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日本語由来の外国語のことば『外行語』

先週のコトハジメでは英語由来以外のカタカナ語についてのコラムを書きましたが、今週は外来語の反対(一度やってみたかった!)、日本から外国に渡った言葉『外行語』をシリーズ番外編ということで見ていきたいと思います。

外行語とは外国語に借用された日本語のことです。外国語にはない日本独自のものや考え方だったり、外国語では表現できない微妙なニュアンスだったりする言葉が日本語のまま海外に伝わっています。ちなみにこの「外行語」、読み方がわからないし、変換も一発ではできません。

オックスフォード英語辞典(OED)には日本由来のことばが約500収録されているそうです。今回はアルファベットになっているものを中心に見ていきますが、もちろん欧米圏だけではありません。日系人などが多い地域や東南アジア諸国でも日本語由来の外行語が多くみられますし、和製漢語などもそうですね。こちらはまた次の機会に。

それでは、まずはウォームアップ。日本の魅力を総称する「クールジャパン」の代表選手、日本の食と文化でたくさん例を挙げてみましょう。こちらはコトハジメのブログ記事をご覧ください。

ぜひシェアしたい外行語5選

私のクラスで学習者から出てきた外行語です。どれも興味深いですね。私たちも学習者から日々いろいろなことを学ばせてもらっています〜。

  1. ikigai
    先週のコラムの続きになりますが、同じニュース記事の中に「いきがい」という言葉がありました。これを見た欧州出身の学習者が、『Ikigai』という本がヨーロッパで流行っているんですよ〜と教えてくれました。インドにいた先生もここ最近ずっとベストセラーだと言っていたので有名な本のようですね。そして、クラスのメンバーに”Ikigai chart”なるものを見せてくれました。非常に興味深い概念図ですので、ぜひググってみてください。また、なかなか「いきがい」とは何か、その概念を日本語で説明するのは難しいですが、英語でわかりやすく説明してくれる辞書サイトがありましたので、こちらもぜひ。

  2. kaizen
    別の中級クラスで「改善する」ということばを導入したところ、欧州出身の学習者(ビジネスマン)が英語でも”Kaizen”といいますよ〜と。”Kaizen”は日本の製造業界で使われている考え方でトヨタ自動車が発祥の言葉。業務やプロセスを見直す言葉として日本はもちろん海外でも重要視されてきた概念です。日本語の「改善」は一般名詞ですが、「カイゼン」および”kaizen”は固有名詞として使われているという点で違います。

  3. karoshi
    “karoshi”は文字通り働き過ぎて亡くなることを指します。このような言葉が外国に広まるのは、、、という感じは否めませんが、不名誉な言葉もいくつかあります。”hikikomori”などもそうですね。コロナ禍で外国人の新規入国を制限してきている日本を学習者はよく”sakoku” と言っています。この状況を表すのにこれ以外の適当な言葉は見当たらないといった感じです。”sakoku” がOEDに載る日も近いのでは。

  4. mottainai
    環境分野で初のノーベル平和賞(2004)を受賞したケニア人女性ワンガリ・マータイさんが、環境を守る世界共通語として「MOTTAINAI」を提唱したことがきっかけで世界に広まった言葉。これも、英語変換できないわけではないけれど100%同じではないから日本語で、という言葉ですね。”mottainai”が地球環境保護の言葉として使われているのは日本人としては誇らしいことではないでしょうか。

  5. tycoon
    発音は「タイクーン」で、語源は日本語の「大君(たいくん)」だそうです。私は初めて聞きましたが、この言葉は江戸時代の徳川将軍の外交称号だったそうです。”tycoon” は何らかのビジネスで富を築いた権力者を指していて、business tycoon(ビジネス界の大物)propary tycoon (財界の大物)media tycoon(メディア王)なんて使い方をするそうです。

言葉は時代を移す鏡。次にどんな日本語が海を渡っていくのでしょう。どんな日本語が外国語に受けいれられていくのでしょう。「平和ボケ」とか「忖度」とかじゃなければいいんだけど・・・。内向きになりがちな昨今ですが、日本の素晴らしいところを私たち自身も発見していかなければなりません。そして、1日も早く外国人受け入れを再開してくだされ〜!!


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