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「なんとかする」を使うときのメンタリティ

例文トレ#11 本日のお題「なんとかする」

今回は語彙編の応用編で「なんとかする」について考えたいと思います。対語である「なんとかなる」は、けっこうどの言語話者にも伝わりやすい概念だと思うのですが(the Beatlesも”Let it be”と歌ったように、はたまた”Que sera sera”のように)、「なんとかする」のほうでいつも私は説明に窮してしまいます。

「なんとかする」って一体何をすることなんでしょうか。これを言うときのメンタリティやコンテクストはなんなのでしょうか。本日も講師の皆さんから例文を募集しました。

「なんとかする」を使う日本人のメンタリティ

なかなかドラマチックな展開の例文が集まりました(例文はコトハジメのブログをご覧ください!)。私の頭の中の「なんとかする」イメージは、問題が発生して主人公が「私がなんとかするからっ!」みたいな、まさにテレビドラマのシチュエーションです。私が脚本家だったら、間違いないくこのベタな状況で書いちゃいますね。

インターネットでこの言葉を検索したら「なんとかする力」というワードがヒットしました。そして、これはリーダーに欠かせないスキルとのこと。「頼りになる」「自分が責任をもってこの仕事を成し遂げる強い意志がある」といったポジティブなワードがならんでいました。でも、本当にポジティブなメンタリティのときに使う言葉なんですかね・・・疑問です。

さてさて、みなさんの例文を見てわかったことをまとめてみます。

「なんとかする」の同義語は(問題)を解決する。

でも、その解決に向けての具体的な方策は知らない。

そして、これを使う状況は、かなり切羽詰まっている。

切羽詰まった感、そして追い込まれている感がひしひし感じられます。この追い込まれた状況のとき、われわれは「解決する」という具体性のある強い語彙ではなく「なんとかする」を使ってしまいます。このメンタリティってどんなんでしょうね?

「解決する」だと「責任が生じるようで怖いから、ちょっとだけ曖昧にしといてみる?」みたいなことなんでしょうか。(だって”HOW” がわかんないんだもん…)このフレーズ、話を終わらせるパワーワードであることは間違いないですね。

ちょこっと、横道に・・・な編集後記

「なんとかする」を使うときの日本人のメンタリティ、いやあ、目の付け所がMs.Hidariですね。面白いです。生真面目なのか、責任感があるのかないのか、曖昧なのか、配慮なのかなんのか、、、🤔

他の言語にもこのような言い回しがあるのでしょうか。英語では”I will manage.” みたいに言って話を終わらせるのを聞いたことがありますが(しかしこれを言っていたのは英語ネイティブじゃなくドイツ語圏の人だった…)、manageだと「ちょっと嫌だけど」というニュアンスが含まれてくるので、人に使うのは失礼かもしれませんね。

いろいろな言い方がありそうですが、”I’ll do it somehow.” “I’ll take care of it somehow.” だと、「ちょっと難しそうだけど、でも…」で前向きに「解決」してくれそうな気がしますがいかがでしょうか。実際に聞いたことはありませんが(笑)。

気になってきた〜。ネイティブの方に是非聞いてみたいです。(KW)

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