いくつかのご自愛スイッチ
『福本敦子のきくこすめ』というPodcastが好きでよく聴いている。残念なのだけど今は配信がお休み中で、だから未練がましく過去回を何度も再生する日々。
このPodcastを聴くと、ああ自分を大切にするっていいなあ、すてきだな、と心から思えて、こわばった身体がお湯のなかでふっとほどけるような気持ちになる。
福本敦子さんという方は息をするのと同じレベルで自分を大切にされていて、そのやり方やおすすめの旅行先、使ってよかったオーガニックコスメなんかを贅沢に共有してくれる。
当たり前に自分を大事にしている、都会のおしゃれですてきなお姉さんという感じ。
日々あわただしく生活をまわしていると、自分を大切にすることそれ自体の存在をすっぱりと忘れてしまっていることがよくある。
家族のシーツを洗濯機に入れて、食べ残した朝食をラップで包んで、食器を拭いて仕舞って。
たくさん働いてくたくたに疲れ果て、そんな自分に何かすてきなものをプレゼントしようと思いスマホを開くけれど、いつの間にか「いつかほしい"一生もの"の鞄特集」とかをぼんやり見つめたりしている。
"一生もの"って一体なんだろう。
よい革のバッグやすてきなピアスはもちろんそうだと思うけれど、ここにいる「わたし」という存在そのものこそ、まさに"一生もの"なんじゃないか、とふと思った。
だって生まれてから死ぬまでずっと一緒。
それってつまり"一生"ってことじゃない?と。
あーそうか、わたしって一生ものなんだ、と気がついてからは、自分を大切にしようという気持ちが高まった。日々の労働や家事や人間関係でぼろぼろになることはまだまだ多いけれど、自尊心という小さな宝石を、いつだってぴかぴかに磨いておきたいと思うようになった。
幸いなことに、わたしには家事の間Podcastやラジオを聴く習慣がある。毎日の雑事に追われながらも、耳から心地のよい音や声、自分を大事にするヒントなんかを受け取りながら暮らせるのは、すごくしあわせなことだなあと思うのだ。
文明が進んでよかったなと思うのはこういう時で、わたしが小さかった頃、風邪をひいて寝ている時には赤い小さな立方体のラジカセが枕元に置いてあった。
風邪とは言えただ寝ているのはつまらなかろうと思った母が、絵本の読み聞かせのカセットテープを入れてそばに置いてくれたものだった。
思えばわたし(たち姉妹)のラジオ好き・Podcast好きはここから始まっていたのだと思う。二つ上の姉にこのことを話したら、「あー憶えてる、A面の最後まで行ったら自分でひっくり返して続きを聴くんだよね」とうれしそうに言っていた。
そういえば母はSONYのとても小さなラジオも持っていて、居間で小さく流していた。台所には別の大きいラジカセ(CDもカセットも入る)が置いてあり、朝ごはんの時にはいつもラジオが流れていたっけ。テレビを観ながら朝ごはんを食べることは高校生まで許されていなかったので、幼い頃のわたしはその日のニュースや天気をすべて耳から吸収していた。
冒頭の話に戻るけれど、『福本敦子のきくこすめ』みたいな、やさしくて心地のいい、かつ自分を大切にできるPodcastはないかなあと探していたある時、ついに見つけたので紹介したい。
『日曜、お茶しない?』という番組。
SpotifyやApplePodcastを使っている方は今すぐ検索してほしい(と言いつつぜひ聴いてほしいので下にリンクを貼っておきますね)。
よく見つけた、えらいぞ、と自分を褒めてあげたくなるくらい素敵な番組で、あーー出会えてよかった〜〜〜と心からのうれしさを噛みしめている。
声とか話し方って、歌と同じくらい絶対的な好みがあると思う。歌も歌声も、好きなものは理由なんかなく絶対的に好きだし、なんか苦手だなと思うものはどうあがいたって苦手のままなことが多い。
一瞬で好き嫌いがはっきりする。香りと同じように。
理由なんかなく、絶対的に好き。そう思える声や話し方に出会えることは稀なので、出会えた時には奇跡だなあとしみじみ思う。
Podcast『日曜、お茶しない?』の番組詳細にはこう書いてある。
毎週、日曜日の昼下がり14:30に配信。
DAYLILYの小林百絵(moe)とお茶呑みともだちの山根有紀也(yukki)が、お店のPOSTに届いたsisterたちからの「ちょっと聞いて欲しい話」にうんうんうなずいたり、寄り添ったり、労ったりしながら、話をしていきます。
人間関係のこと、仕事や恋愛のこと、ライフステージのこと、苦手なことや褒めてほしいことなど、日々や人生のことさまざま。いっしょにお茶をしながら聞いてくださいね~
POSTは「DAYLILY 有楽町マルイ店」にあります。
直接の投函はもちろん、郵送や、他のDAYLILYのお店でsisterに預けてもらっても大丈夫です◎
Podcastのリスナーのことも、お店で働くみなさんのことも、まとめて「sister」と呼ぶセンスが素敵すぎる。
もうすっかりわたしは『にちおちゃ』に夢中だ。
遅く起きた朝、ぼんやりする午後、あわただしい夕方、一日の疲れを癒す夜、いつ聴いてもほっとする。
生きているとままならないことも多い。
けれど、ラジオやPodcastや小説やエッセイなどのいくつかのご自愛スイッチに指を置いて、自分を大事にしながら今日も生き抜こうと思う。
おわり