組織のポジティブ病に向き合う
「いまうちは人も居ないし予算は無いけどイイモノを作ろうぜ!」
「大変な状態だけど、何ができるかをまずはポジティブに考えよう!」
わりとよく耳にしたり口にしたりするのではないでしょうか。
思想や感情だけが先行していると組織はポジティブ病におちいります。
ポジティブ病について
【ポジティブ病】を一言でいうと
計画性がなく前向きな思想だけで満たされた自己責任論に満たされた状態
と定義します。思い当たりませんか?大なり小なりありますよね。
私は職位としては評価をすることも多く、うまくいかないことも沢山経験をしてきたので、少しでも改善していこうとポジティブ病についてと対策をまとめてみたので良かったら読んでいただけると嬉しいです。
ポジティブな組織目標について
組織が同じ温度感で同じ方向を向けていれば、それ自体は悪いことではありませんが、人間にはどうしても力量の差や得手不得手があるので、足並みが揃わず不必要に個人へ精神的負担がかかってしまうことが多発します。
これは、クリエイティブ業界に限った話ではないのですが、特にクリエイターは「正解」のない問いに向き合い続ける必要があるので、マネージャーは誰も教えることの出来ない正解に向かってマネジメントを行いゴールを設定し導かなければなりません。
そもそも組織体は常にポジティブな状態を見せることが必要
ありのままオープンに出来ないのも上位者側の難易度を上げています。
ポジティブでないと、人は寄り付かなくなり組織体としての信頼も損なわれ、時間を担保にした人的リソースの確保が困難になってしまいます。
※ちなみに私は、根拠の無い嘘はNGですが組織の目指すあり方からくる指針であれば、多少の見栄を張るのは肯定的なスタンスです。
ただ、マネージャーやリーダーは組織目標を論理的に説明し、個々の目標に噛み砕いて自主的な設定を促していきますが、組織に属する以上どうしても評価がつきまとい、いやでもポジティブな目標を立てなければならなくなります。
論理的なポジティブは反論しづらい
精度高く論的にポジティブな話をされるとそれは正論でしかなく、いっさい非のない逃げ道の無い、正解も無ければ、最終的には自己責任でしかない状態となってしまいます。
それに対して否定や非を唱えると、全てが自分のせいになるので、ポジティブにしか返せず、失敗すればそれは自己嫌悪となってしまいます。一見組織全体としてはポジティブに見え成果も出せている組織でも起こる現象です。
この状態を私は「ポジティブ病」だと定義しています。
これは「こうすれば褒められる」「これが求められている」「罰せられなければ何をしても良い」という賞罰教育の功罪です。
もちろん、良い面がある一方で、平均学歴の高い組織でこのポジティブ病は本当に目につきます。ちなみに私の学力は正直下の中ぐらい(下の下?)ですが、クリエイターは人生の大半を研鑽に注ぎ込んでいる(注ぎ込まざるをえなかった)ので、この評価される状態や賞罰教育自体を辛く感じている方は多いのではないかなと思います。
この記事を読んで頂いているあなたの組織に「表彰」の制度はありますか?
よくある表彰は、社長や上長が出てきてとにかく成果を褒めてくれます。
ただこれは、アドラー心理学でいうところの「操作」にあたり、褒められることへ依存させる行為にほかなりません。行き過ぎると怪しい組織感が強く出てくるあの状態です。
また上長から期待を込めて発言するとそれはどんな言い方にせよ、押し付けになり、その表彰は「組織はみんなにそういうコトを暗に期待をしているよ」という全体発信を意味します。
この仕組み自体は優れたもので、受賞者が自己効力感の高い状態なら良い報奨となり組織統一に繋がります。ただし、受賞者が共同体感覚の弱い状態で出した成果には周囲と軋轢や妬みを産み、個と組織で課題の分離が出来ていない状態であると、なにを褒められても嬉しくないのです。
ポジティブ病への3つの処方箋
A ポジティブで無い状態も事実として認め、組織的に解決する
本来は何をするにしても、とにかくリスクと問題と課題だらけです。
家から一歩出ただけで様々なリスクがあり得るように、なにもネガティブな情報が挙がらないのがそもそも問題と捉えるべきです。
組織的に過去の情報や計測した結果からある程度の仮説を立てて、必要なヒアリングをし、解決すべき課題を探し続ける必要があります。
B 個の成長は組織の目標とし、撤退ラインも合意形成しておく
明確に個と組織で課題の分離をしたうえで、個の目標は必要なメンバーと共有し組織が行うハンドリングの範疇で達成を計画するべきです。
主体性や自立心に任せた成長は、よほどの小規模ベンチャーでは無い限りは能力のばらつきやモチベーションの方向や差、関係者が多くなりすぎることから、どうしてもうまくいかないものです。
こと組織内での目標設定では、組織からの評価がつきものであることは個も理解するべきです。
ただそのうえで「何が出来たらこのまま進める」「こうなったら」「こう目標を引き下げる」ということも明確にし、必要なメンバーとは合意形成をしておくと良いでしょう。
C 個人も組織も心と体のアラートを正直に発信できる状態にする
個人はもとより、組織も正常でない歪な状態は続くと無理が生じます。
何日も徹夜をする状態がつづけば個人のパフォーマンスはわかりやすく下がりますし、飲み会や深酒が続けば当たり前に体には悪影響が出てきます。
組織においても、物量や難易度に対して適正な人数や職能が揃っていないと、必ず無理が生じます。これを「抜擢だ」「育成目的だ」とポジティブなワードに切り替えて、組織としてそう思い込みたい状態を続けると必ず破綻が起こります。
よく「リーダーとは」「社員とは」「ディレクターとは」など、
謎のテンプレートが跋扈しがちなのも、要は組織がその業務の言語化が出来ていない状態なので、このポジティブ病を誘発します。
組織側から見れば勤務時間や勤怠などが一つの定量的な指標になるとは思いますが、根幹で言えば「適正ではない状態」がそもそもの問題でもあるので、この状態を見極めることがより求められるのだなと痛感しています。
私もまだまだ学びの途中ですが、いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事が、もしも何かの役に立てたり考えるきっかけになれたら、スキなどリアクションを気軽にいただけると嬉しいです!