秋の声がつなぐもの
部屋の窓を開けてリモート会議
相手が虫の声がするという
秋の夜に虫たちが奏でる音楽を
パソコンのマイクが拾って届けていた
つなぐのは人間の声だけではない
都会に住まう相手に
めぐりきた秋の一部を送っていた
都会ではあまり聴く機会もない
場所もない
議題に入る前にしばし聴き入る人がいる
不思議と温度差が縮まる
忘れかけていた発見
当たり前すぎて忘れかけていた
めずらしいから忘れかけていた
ぼくらの日常は
それらの積み重ねでできている
旬は感覚を研ぎ澄ます
忘れることは豊かさを鈍くする
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