ありがとう
本当は直接本人に伝えたい言葉がある。
「ありがとう」
だけど、若い頃はなかなか言えなかったりする。
親元を離れて学生生活を送るようになったときも、
仕送りを頼む時や、金欠の時だけだった。
社会人になり、何十年経った時もそうだった。
やがて、年老いた両親と暮らすために地元に戻り、
毎日顔を会わせるような歳になって、
ようやく普通に言える。
母は昔と変わらず小言も言うけど、
それも「ありがとう」の一つなんだと
思えるようになった。
簡単な言葉だけど、使い方はちょっと厄介。
言うべきタイミングを逃せば、
言葉の重みだけが残り、なかなか言えなくなる。
でも、その厄介さこそが「ありがとう」を
深く意味をなすような気がしている。
ありがとう。不器用だけどいつも思っているよ。
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