エスケープ
ぼくのある友だちは、
朝起きてあまりにも天気がいいので
学校には行かず、
学校の近くの小高い山に登り、
視界の開けた場所の草むらに寝転びながら
ただ空を見ていた。
その視界の先には
ぼくらが授業を受けている高校の校舎が
小さく見えたそうだ。
彼は他の生徒とは
少し変わったところがあった。
考え方がユニークだったのだ。
午後には学校に来て平然としていた。
先生も午前中無断欠席したことを
あれこれ問いただすことはなかった。
単に授業をエスケープしたのではない。
ぼくはそう理解した。
今も仲のいい友達である。