「2023年は『パンどろぼう』」~英語多読のための読書ガイド [絵本]~
絵本編 ~2023年12月号~
執筆:柴田 里実 (金城学院大学准教授)
2023年は『パンどろぼう』
師走となり、この1年を絵本の視点で振り返ると、2023年は『パンどろぼう』(柴田ケイコ作)の快進撃が思い出されます。
2020年に1作目が出版されてから、様々な賞を受賞し、今年はさらに5作目も出版され累計250万部(2023年9月時点)も売り上げたようです。
英語で翻訳される日も近いのかもしれませんね。
まだ読んでいらっしゃらない方は、2023年の締めくくりに、ぜひ『パンどろぼう』に癒されてみてはいかがでしょうか。
それに因んで、今回はパンを題材とした絵本をご紹介します。
(1)『Walter the Baker』
パン職人のWalterが作るパンは絶品で、毎朝、公爵夫妻のパンを作るほどの腕前です。
ある日、猫が大事なミルクをこぼしてしまい、水で代用して作ることに。もちろん、味は良くなく、公爵の逆鱗に触れます。
翌朝までに、お望みのパンを焼けなければ、Walterは追放されます。そのお望みとは。
Walterは追放を免れることができるのか。
諸説あるようですが、「あのパン」はこうして生まれたのかと驚かされますよ。
(2)『Sun Bread』
太陽がなかなか出てこない極寒の町。
動物たちは、身も心も凍えています。
太陽光が恋しいパン屋さんは、パンの太陽を作ろうと奮闘します。
パン屋さんの思いが込められた輝くパンは、町中の動物たちを呼び寄せ、皆の心とお腹を満たします。
本物の太陽は顔を出してくれるのでしょうか。
この絵本は、ライムの響きがとても美しく、特に英語独特の美しい音の響きが楽しめます。
著者は、数々の絵本の賞を受賞しています。
(3)『In Every House on Every Street』
ある町のある家の子どもが、家の中の秘密をこっそり紹介してくれます。
“In this room, we bake, but we never just bake.”
キッチンは、パンを焼くだけのお部屋ではないよ。
歌も歌うし、ダンスもするし、チームワークも学べるよ。
それぞれのお部屋でどんな素敵な時間を過ごし、どんなことが学べるかを教えてくれます。
とても温かい気持ちにしてくれる作品です。
イギリスのOne DirectionのメンバーであるHarry Stylesの朗読も有名です。
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