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「レールの先はどこにつながっている?」~英語多読のための読書ガイド [ファンタジー]~

英語学習誌🎄『多聴多読マガジン』🎄連載記事「多読のための読書ガイド」からのスピンアウト! 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介するコーナーです。


ファンタジー編 ~2024年12月号~

執筆:石黒 恵介 (会社員)

レールの先はどこにつながっている?

今回は、不思議な汽車で世界を駆け巡るシリーズを紹介します。

The Silver Arrowでは、様々な動物たちを乗客として運ぶ魔法の機関車が登場します。

主人公のKateはこの列車で弟のTomと一緒に車掌を務めることになります。列車はレールの続く限り、海へ砂漠へ空へジャングルへ、地球上のあらゆる場所へ動物たちを送り届けます。

切符片手に乗車してくる動物たちと主人公らの交流が楽しい物語なのですが、作中後半に明かされるこの列車の運行目的は読者の胸にも刺さる内容となっています。

The Train to Impossible Placesでは、この宇宙に点在する異世界をレールで結ぶ郵便鉄道が登場します。

主人公のSuzyはこの列車で配達員として働くのですが、小包みをめぐり、恐ろしい魔女の怒りを買って追い回されることになります。

列車が訪れる先はPhysicsならぬ“Fuzzics”の魔法法則に基づいた摩訶不思議な光景ばかり。

カエルに姿を変えられた王子、上下逆さまの都市、燃料バナナ……。

ベタな展開から思わず笑ってしまう設定まで独特な世界観が楽しめます。


(1) The Silver Arrow (The Silver Arrow #1)

著者 Lev Grossman
出版社 Little, Brown Books
総語数 約36,000 語
YL 4.5-5.0

Kateは11歳の誕生日に大富豪の叔父から実物大の蒸気機関車をプレゼントされる。

突如庭先に運び込まれた車両に両親は猛反発。

すぐに撤去を命じるが、浮世離れしている叔父は聞く耳を持たずレールまでつなぎ合わせる始末。

せっかくだからとKateが弟と機関室を探索していると、車両がひとりでに動き出してしまう。

想定外の事態に慌てる叔父を横目に、ふたりは車内に留まり列車が向かう先を確かめることにする。


(2) The Train to Impossible Places
(Train to Impossible Places Adventures #1)

著者 P. G. Bell
出版社 Square Fish
総語数 約70,000 語
YL 5.0-6.0

Suzyはある晩、自宅で見知らぬ人物が作業している姿を目撃する。問いただすと、彼は異世界から来たトロールの技術者で列車の線路を設置していると答える。

「次の世界へ荷物を届けるために先を急いでいる。線路も君の記憶も、後から魔法で消すから大丈夫」。

言葉通りに機関車が現れ、停車する。

こんな体験この先一生ありはしない、記憶を消されてなるものか。

Suzyは制止を振り切り、走り去っていく列車に飛び乗る。


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