映画「ダ・ヴィンチ・コード」 ～隠されていたサタニズムの暗号
ダン・ブラウンのベストセラー小説（2003年）を映画化した本作では、ロバート・ラングドン教授をトム・ハンクスが演じました。私自身、ラングドン教授シリーズの大ファンであり、小説もすべて読んでいます。このシリーズには、「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」という前書きがある上、著者が秘密結社フリーメイソン御用達作家であることから、陰謀論や都市伝説好きにはたまらない魅力があります。映画の中には見落とされがちなポイントがありますので、いくつかの考察を共有したいと思います。
基本的なストーリーライン
映画の核心にあるのは、マグダラのマリアがイエス・キリストの妻であり、二人の間に子供がいたという仮説です。この血統がシオン修道会の守護下で継承され、ソフィー・ヌヴーがその末裔であることが明かされます。物語のカギを握る「聖杯（Holy Grail）」とは、一般的に知られる杯ではなく、「生きた血統」（メロヴィング王家）のことです。
ダ・ヴィンチの名画に隠された暗号
シオン修道会が隠匿する「聖杯」の秘密を巡り、ルーヴル美術館の学芸員ジャック・ソニエールは殺されますが、彼は自分の遺体をウィトルウィウス的人体図に見立てて、ロバート・ラングドンにデス・メッセージを残します。このシーンは、映画全体の象徴的な謎解きの始まりです。
ソニエールが残したメッセージのひとつであるフィボナッチ数列は、単なる銀行の暗証番号として機能するだけでなく、映画全体で語られる「秩序と混沌」を表す象徴ともいえるでしょう。フィボナッチ数列は自然界に見られるパターンの中に存在し、生命や進化の根底にある法則性を表しています。この数列が「聖杯」への手がかりの序章であることは明らかです。
【第一の暗号】おお、ドラゴンのような悪魔め！ おお、役に立たない聖者め！（O Draconian Devil! Oh, lame Saint!）
【第二の暗号】人間の欺瞞は実に闇深い（So dark the con of man）
これらの暗号は、隠されたメッセージを読み解くための鍵となります。特に「岩窟の聖母」は、カトリック教会の欺瞞を暴く作品とされており、シオン修道会のミッションの一端を象徴しています。
この映画で「岩窟の聖母」のミステリーは素通りぐらいの扱いですが、考察記事を書いたことがあるので、興味がありましたら下のリンクからお読みください。
男性と女性のシンボリズム
「聖杯」の謎を理解するためには、男性と女性のシンボルを知ることが重要です。上向きの三角が男性、下向きの三角が女性を表し、この結合が生命の源を象徴しています。ダ・ヴィンチの名前にもA（男性）とV（女性）の要素が含まれ、映画全体を貫く暗号として随所に現われています。
ラストシーンのローズライン
最後に、映画のクライマックスについて説明しましょう。ラングドン教授が「アラゴ ARAGO」のメダルを追って、ルーヴル美術館にたどり着くシーンです。このメダルは、フランスの天文学者フランソワ・アラゴに由来し、彼の名を冠したメダルがパリ子午線の上に設置されています。
興味深いのは、「アラゴ」が西洋占星術のアルゴ座（Argo Navis）を連想させることです。アルゴ座はおおいぬ座のシリウスに先導される帆船で、エジプト神話においてイシスという女神信仰と密接に関連しています。
マグダラのマリア＝聖杯という解釈にとどまらず、キリスト教よりもさらに古代の信仰につながる神秘主義的な女神信仰の流れを感じさせました。
監督ロン・ハワードのイースターエッグ
映画の中には、イースターエッグと呼ばれる隠しメッセージが仕込まれることがあります。この映画の中で特に違和感を感じたひとつが、キリストの子を授かったマグダラのマリアがフランスに逃亡して、子供を出産するシーンです。（1時間17分あたり）
マリアは文字が刻まれた木片の上に立って出産しますが、この木には、T、H、B、P、V、Mの6つの文字が刻まれており、次のような意味を持つと考えられます。
T: Terra（地球、土地）
H: Homo（人間）
B: Bona（良い、善）
P: Pax（平和）
V: Vita（生命）
M: Mors（死）
文字を入れ替え、VをAに置換してみて、この呪文は「バフォメット Baphomet」なのではないかと推測しました。バフォメットはテンプル騎士団に崇拝された存在として知られています。
つまり、イシス信仰を源流にもつ女神信仰には、サタニズム的な要素があることを暗示しているのではないでしょうか。古代エジプトからはじまった悪魔崇拝は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ分岐し、激しい宗教戦争を繰り返してきました。ウィトルウィウス的人体図に内包されているフィボナッチ数列と拡散された混沌（カオス）のミステリーにしっかりと結び付く。かなり踏み込んだメッセージを入れていたのですね～。
黒魔術の因の発生源が見えればカオスの回収は可能。日本の呪術ではそのように道筋を整えて破算式をたてます。「ご破算で願いましては～」って玉を祓うでしょ。算盤（ソロバン）も呪術のひとつなんですよ。算盤上手は良い呪術師になれるよ～😅
宇宙という書物は数学という言語で書かれている
映画「ダ・ヴィンチ・コード」は、宗教、歴史、神秘主義の謎を解き明かす刺激的な作品です。みなさんも、この考察を踏まえて再度映画を見て、新たな視点を発見してみてはいかがでしょうか。
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