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他社との交流で強みに気づき、改善のヒントが見えた 〜沖縄県南部・2つの介護事業所の新たなチャレンジ(取材レポート)

「介護職、介護施設のイメージを変えたい」

「利用者さんに楽しんでもらいたい」

「スタッフにやりがいを感じてほしい」

そんな志を抱く二つの介護事業所が2022 年11月、組織の枠を越えて業務改善を目指す交流プロジェクトを始めました。

新しいチャレンジに意欲を燃やす両事業所の皆さん。スタッフの成長はもちろん、チーム構築、業務の改善、サービス向上など、大きな可能性を秘めた交流プロジェクトの狙いや様子をレポートします。(文と写真:佐藤ひろこ/キャリアコンサルタント)

「琉新の風」と「日南」、2社が意気投合

沖縄県糸満市と南風原町で、住宅型有料老人ホーム、通所介護事業所、訪問介護事業所、デイサービス、ヘルパーステーションを運営する株式会社「琉新の風」(代表取締役社長 兼島樹氏、従業員数80人)。

▷「琉新の風」サイトはこちら

南城市を拠点に、住宅型有料老人ホーム、デイサービス、訪問看護・介護サービスを展開する日南株式会社(代表取締役社長 新垣憲良氏、従業員数50人)。

▷「日南」サイトはこちら

どちらの介護事業所も、私たち株式会社コズミックコンサルティングのクライアントです。代表取締役の波上こずみが組織開発を手掛ける中で、介護サービスへの情熱や業務改善に取り組む本気度など、両社の課題や目指す方向性が重なっていることに気づきました。

「互いに交流すればきっと、新しい価値が生まれるはず」

そう直感した波上。

まずは9月、両社をつなぐ場を設けました。


「スタッフが働きがいのある職場にしたい」

「質の高い介護サービスを高齢者に提供したい」

介護事業にかける思いを、熱っぽく語り合う琉新の風糸満施設長・金城さんと日南株式会社代表・新垣さん。

二人が意気投合する様子を確認し、波上が「スタッフ同士で交流してみませんか?」と打診したところ、二人とも即座に「やりたいです!」と即答。こうして交流プロジェクトに向けた準備が始まりました。

越境学習を通じて、新たな価値を創出

波上が、両事業所に交流を提案した狙いの一つは、「越境学習」の場づくりです。

越境学習とは、日ごろ働いている会社や組織を離れ、異なる環境で働いたり交流したりする経験により、新たな視点や価値を生み出そうという学びの手法です。

「他の施設の取り組みを知り、組織を越えて意見を交わす中で、業務改善のヒントはもちろん、自分たちの強みにも気づいてほしい」

そんな願いを込めた波上の提案に賛同し、新たなチャレンジに意欲を示してくれた管理者の2人。とはいえ、他施設を見学したり他社のスタッフと交流したりする機会は、「これまでやったことがない」という初めての経験でした。

  • どんな交流にするか

  • メンバーをどうするか

  • 何を目的とするか

プロジェクトの進め方については、琉新の風金城さん、日南株式会社新垣さんと波上の3人で話し合いを重ねました。

そして、交流プロジェクトの第1弾として、管理者とリーダー層の2グループがそれぞれ、互いの施設を見学し合い、最後に意見を交わす場を持つことになりました。

互いの施設を見学&意見交換

「琉新の風」に到着し、金城施設長(右)から説明を受けるプロジェクト参加者のメンバー

11月中旬、いよいよ2日間の「交流プロジェクト」がスタートしました。

初日にはまず、双方の管理者が互いの施設を見学。2日目は、両施設の主任らリーダー層の計4人が互いの施設を見学し合い、最後に全員が集ってプロジェクトを振り返り、意見を交わしました。

互いの施設見学が始まると、互いのスタッフはすぐ「気づき」と「学び」を体感したようです。

例えば、2日目に琉新の風を訪れた日南スタッフの2人。デイサービスやおやつ時間の様子を見学しながら、利用者の何人かがテーブルを拭いたり配膳したりする様子に、驚いた様子で尋ねました。

レクリエーションやおやつ時間の終了後、利用者さんが自らテーブルを拭いたり掃除をしたりする様子を見守るスタッフ

「利用者さんが動いてくれるのですね」

この質問に、琉新の風スタッフは笑顔で答えます。

「軽度の利用者さんには、『やってあげる介護』ではなく、『見守る介護』を心掛けています。自分に出来ることを担ってもらうことで、誰かに必要とされている実感や、感謝される喜びにつながると考えています。利用者さんにはとにかく楽しく過ごしてもらいたいので、どうしたらモチベーションを高められるかを考え、工夫しています」

利用者さんと職員の動きを眺めながら、日南スタッフの2人は「うちの施設でも少しずつ、出来ることをやってもらってもいいかもね」などと語り合っていました。

「利用者さんに気持ちよく動いてもらうため、ゲームの要素も取り入れています」と説明する琉新の風スタッフ(右)

当然ながら双方の施設では、利用者さんの介護度が違います。展開するサービスにも違いがあります。利用者のニーズも違えば、これまで培ってきた業務の流れも、サービスの特徴も違います。いくら良いと思っても、そのまま取り入れられるわけではありません。

それでも両社のスタッフの皆さんは、互いの事業所の違いを踏まえつつ、「自分たちに取り入れられること、改善につながることは何だろう」という視点で、交流に臨んでいました。

「垣根」を越えて気づけること

波上がファシリテーターを務め、互いの気づきや振り返りを語り合ったメンバーら

2日目の最後は、管理者とリーダー層の6人全員での振り返りタイム。波上がファシリテーターを務め、双方のスタッフの気づきを引き出し、意見を深め合いました。

「初めは緊張したけど、良い刺激をもらって有意義な経験ができた」

悩みや課題の中心にあるものは、ほぼ一緒だと感じた」

垣根を越えて交流できたことが一番良かった

「自分たちに有益となるヒントがたくさんあった」

これからも両社で切磋琢磨していければいいなと思う

6人は共に、介護サービスに伴う互いの工夫点、人材育成や事務作業の進め方などを質問し合い、意見を交わしました。双方共に互いの良い部分を学びつつ、自施設の強みや特徴についても改めて気づきを得た様子。これからも交流プロジェクトを継続することを確認し、それぞれが次回までに取り組む内容を発表しました。

交流で得たことを現場に反映させるためにアイデアを練る琉新の風のスタッフ
プロジェクトでの気づきを日々の業務に生かすため、意見を交わす日南のスタッフ

2日間の交流プロジェクト第1弾を終え、グッと距離感が縮まった6人は、リラックスした様子で冗談さえ飛び交う仲に。波上はその様子を見守りながら、「これがやりたかった!」と嬉しそうに言葉を続けました。

「組織づくりのプロとして、クライアントさんにさらなる価値を提供できないかと考え、温めてきた取り組み。これからもコズミックコンサルティングを軸に、横断的な繋がりを生み出したい

「琉新の風」と「日南」

両事業所の交流プロジェクトは、スタートしたばかりです。

「働く人のモチベーションを組織の活力へ」

との願いを込め、コズミックコンサルティングは引き続き、両社をサポートさせてもらいます。

終了時にはすっかり打ち解け、楽しそうな笑い声が響いていました

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