見出し画像

中の「わたし」と外の「私」

こんにちは!

こしあんです。

今回は、ずばり自己認識についてのお話です。

あなたは自分の評価と他人の評価は割とあっている方ですか?
実は自分では几帳面だと思っていても、他人から見ればズボラな性格だと思われているかもしれません。

実際、本当に知りたいと思うなら、親しい友人や家族に聞くしかありません。
自分の中であれこれ考えても答えは出ませんよね。

もちろん、「人になんと言われようと、わたしは私だ!」と割り切ることもできますが、「これが自分だ」と思っている認識と、他人があなたをどう思っているかの認識のズレは、時に問題になることもあります。

極端な話、職場では「自分は良い先輩だ」と思っている人でも、後輩からすれば「仕事もロクに教えないクソ野郎」だと思われているかもしれません。

やはり、仕事や人間関係を好転させるには自己認識も大切ではないでしょうか。


【自己認識ってなに?】

あなたは「自己認識」と聞くと、どんなイメージがありますか?
何となくぼんやりとしたイメージはあるかもしれませんが、もし人に「自己認識ってなに?」と聞かれたら何と答えますか?

言葉から想像すると、自己と認識という2つの単語が入っているので、「自己を認識する」という事は、自分を知ることかな?と考えたりもします。

ちなみにネット上には、「内観能力の一つで自分を環境や他の個人とは別の個人であると認識する能力」とあります。
1970年代前半には心理学者が自己認識とは、「その瞬間における自意識の状態」と定義しました。
なんか、とても難しく感じますね。

他には、内省を自己認識と呼んだり、他人にどう見られているかを知ることだと言ったり、自分がどう見ているかと自分がどう見られているかの違いを知ることだとも言われています。

しかし、これらの定義は組織心理学者ターシャ・ユーリックよれば、的外れなものばかりだそうです。
なぜかと言えば、「自分自身に焦点をあてることが、必ずしも自分自身の理解につながるわけではないから」だと言っています。

でも、自分自身に焦点をあてないで、自分の事を知ることができるのか?
と思ってしまいますが、ユーリックによれば「自己認識とは、自分自身と他人からどう見られているかを理解しようとする意志とスキルのことだ」と言っているので、自分だけを見ていてはいけないという事かもしれません。

ユーリックは仕事を通して、「自分を理解している人の方が、仕事でも成功をおさめ、より良い暮らしを送っている」と言い、そういう人たちは自分にとって大切なものや、自分が達成したいこと、自分がどう振る舞っているかや、自分がどう見られているかを直感的に理解する力を育んでいると言います。

自分自身のことを正確に理解する力とは、自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だと言えます。
ユーリックは研究を進める中で、自分の事を理解する内的自己認識と外の視点から自分を理解する外的自己認識が重要だと考えました。


【2つの自己認識】

・内的自己認識
この自己認識は自分自身を明確に理解する力のことで、自分の価値観、情熱、野望、理想とする環境、行動や思考パターン、リアクション、他者への影響に対する内的な理解のことを指します。
つまり、これらの項目について何を望んで、どんな行動をし、どんな影響を持っているのかを理解する力のことです。

この内的自己認識の高い人は、本来の自分に見合った決断をし、より幸せで満足度の高い生活を送る傾向にあるそうです。
逆に、内的自己認識に欠けた人物は、自分にとっての真の成功や幸せに反するような行動をとり、結局自分が何を求めているか分からないために実りのない仕事やいらない人間関係を続けてしまいます。

・外的自己認識
この自己認識は、外の視点から自分を理解することで、ずばり”周りが自分をどう見ているか”を知る力です。
外的自己認識に長けた人は、他人の視点から自分自身を正確に理解できるため、信頼度の高い関係を築くことができると言われています。

そして、この認識が欠けている人は自分がどう見られているか分からないため、人間関係が修復できないほど拗らせることがあるようです。
たとえば、自分は「とても面倒見がいい」と思っていても、実は口うるさいだけの上司だと思われている可能性もあります。

「内的自己認識ができる人は外的自己認識もできているはずだ」と考える人もいるかもしれませんが、面白いことにこの二つには何の相関関係も見られないことが多かったそうです。
つまり、自分の事をよく観察している人でも、他人が自分の事をどう見ているかわかっていない人が多いという事です。
また、その逆のパターンもあります。

自分自身と向き合うためにセラピーや瞑想に取り組んでいる人でも、友人たちは彼を自分の事を知らない無神経な人と見ている可能性があります。
逆に周りの目を気にしすぎれば、自分の幸福や成功に準じた選択ができなくなる可能性もあります。
要は、バランスが大切だという事です。



【自己認識の欠如が与える影響】

このバランスが崩れてしまうと私たちはどうなってしまうのでしょうか?
あなたも会社の上司や同僚をちょっと思い出してみてください。

あなたの周りには「自分は事細かく指示を出すいい上司だ」と思っていながらも、実際には部下たちを苛立たせるだけの人や、自分は最高のパートナーだと思っていながらも、現実には一緒に働きたくないと思われている同僚。

はたまた、自分の子どもたちには人種差別的な教育はしていないと信じていながらも「だから○○人はダメなんだ!」といった発言をする人などいないでしょうか。

このような人たちの共通点は、自分の見解に完全な自信を持っていて、しかもその見解が間違っているということです。

ある研究では、人間が自分の事を客観的な事実以上に賢く、面白く、細く、見た目がよく、社交性があり、運動神経があるといった意識を持っていることがわかっています。

これを研究者たちは「平均以上効果」と呼んでいます。
この効果のために「自分の見解がまさか間違っていた」なんてことを考える事はあまりありません。

多くの場合、自分が位置していると思う場所と、実際に自分が位置している場所が一致していることはほとんどないと言われています。

サンフランシスコのベイエリアで働く1000人近くのエンジニアを対象とした調査では、53%以上の人が自らのパフォーマンスを上位5%に位置づけ、自分を平均以下に位置づけしたのはたった一人だったそうです。

このように、自分で評価したパフォーマンスと客観的に評価されたパフォーマンスに大きな差が出ているときは、自己認識が上手く言っていない場合があります。
職場でこのような従業員が増えてくると、チームのパフォーマンスが下がり、平均で36%も判断の質が低下し、46%も協調性が低くなり、衝突が30%も増すそうです。

全体としては、自己認識が欠如した従業員の数が多い企業の方が業績が悪くなり、公開会社を対象とした研究では、収益性の悪い企業の方が自己認識に欠けた従業員を多く抱えている割合が79%も高いことが分かっています。

また、自己認識の欠如による間違った思い込みは家庭に持ち込まれることもあります。
他の研究では、4人に1人が自身の性格や振る舞いに対する強気な思い込みが原因で、精神的に疎遠になっている人間関係があるそうです。


【自己認識を伸ばす】

このような事態を避けるために、どのようにして自己認識を伸ばしていくのか?
これは、内的自己認識と外的自己認識でやり方が異なります。

自分の内面ばかり見て、周りにどう見られているか気にしない人は外的自己認識力が弱いと言えます。
その場合、酷くなると自己陶酔的で世界は自分中心に回っていると考えてしまいます。
こうならないために必要な3つの戦略があります。
それは「インフォーマー」になること、「謙虚さを養う」こと、「自己受容に励む」ことです。


<外的自己認識力を高める>

・インフォーマー
「インフォーマーってなんだ?」と思う人も多いかもしれませんが、これに対して「ミーフォーマー」という言葉もあります。
多くの人がSNSを利用していると思いますが、これを利用する人は基本的にこの二つのどちらかに分類できることが研究でわかっています。

利用者の80%の人が「ミーフォーマ―」と言われ、とにかく自分のことを周りへ知らせるために投稿をしている人たちです。
そして、残りの20%の人が「インフォーマー」で自分とは関係ない情報を投稿します。
この情報には、役に立つ記事や興味深い考察、笑える動画などが含まれます。

ミーフォーマーに比べ、インフォーマーは友人が多く、豊かで満足度の高い関係を築く傾向にあるそうです。
外的自己認識力の高い人たちは、他人と関わり合い、繋がりを維持するためにSNSを利用していました。
そう多くは投稿しませんが、気持ちを高めるもの、笑えるもの、特別なものを数回シェアするように心がけている人たちもいます。

外的自己認識の高い人は、SNSで「いいね」を得ることではなく、大切なのは情報を提供(インフォーム)し、楽しませ、インスピレーションを与えることだと考えています。
ユーリックは自己陶酔を脱して自己認識へと至るには、インフォーマーになろうと励むことが大切だと言っています。

「自分はどっちだろう?」と思ったら、1日のうちオンラインでもオフラインでもいいので、自分がどれだけ自分の事を話していて、どれだけ自分以外のことに注意を払っているかを観察するのも一つの手だと思います。

それでも自分が「インフォーマー」か「ミーフォーマー」か分からない時は、SNSに”1枚の写真を投稿する”と想像してみてください。
このとき、自分にこう問いかけます。

「これをしてどんな効果を狙っているのか?」

自分が素晴らしいと思う写真を投稿したとき、「ミーフォーマー」であれば「いいね」が付かないことに不満を覚えるかもしれません。
しかし、「インフォーマー」であれば「美しいものをシェアしたい」という気持ちや、「クスっと笑える動画をみんなにも知ってもらいたい」という気持ちの方が大きいのではないでしょうか。
そのため多くの反応よりも、数人でもいいからその情報が誰かの役に立ったと思えることが大切になります。


・謙虚さ
2つ目の「謙虚さを養う」というのは想像しやすいかもしれませんが、自分自身の能力に対する現実的な視点を手に入れるとも言えます。
自分の弱点を理解し、正しいあり方から目をそらさないという事です。

あなたも自分の夢を人に語ったとき、純粋に能力が足りないと言われれば「バカにするな!」と思うかもしれません。
確かに、中にはドリームキラーといって否定的な意見だけを言う人もいるので注意も必要ですが、時には素晴らしい助言をしてくれる人たちもいます。
そういう人たちを遠ざけないためにも、自分の能力に対する謙虚な姿勢というものは大切になっていきます。

間違ってはいけないのは、謙虚さを自尊心の低さと混同してしまう事です。
そのため、謙虚さを望ましくないものだと考えてしまう人たちがいます。
謙虚さとは、自分の弱点を理解し正しいあり方から目をそらさないことです。
自尊心が低かったら自分の弱点を認めることなんてできませんよね。
だって弱点を認めてしまうと自分を保てなくなってしまいますから。


・自己受容
三つ目のアプローチは自己受容です。
人によってはセルフ・コンパッションと言ったりするそうですが、自己受容とは自分についての客観的現実を理解し、その自分を好きになろうと決めることです。
そのため、「自尊」とはちょっと違います。
自尊には客観的な現実を気にせず、”自分は素晴らしい”という考え方だからです。

自己受容する人たちは、自分の不完全さを理解しているので、完璧でなくても許すことができます。
そのため、自己受容度の高い人達は自分に対して外部の基準に頼らず、ポジティブな見方をしている割合が高かったそうです。
つまり、そういう人たちは大げさな賛辞や無数の「いいね」を必要としていないとも言えます。

この自己受容を高めるためのステップの一つに「心のつぶやきを意識すること」があります。
組織心理学者スティーブン・ローゲルバーグの行なった実験では、1週間のリーダーシップ・プログラムに参加したシニア・エグゼクティブたちを対象に調査したものがあります。

このプログラムの最後に、参加者たちは未来の自分に向けてプログラムで学んだことや、変えていきたいことを手紙に綴りました。

研究者たちは、それぞれの手紙を自己受容的なもの(研究では「建設的なもの」と表現)と自己批判的なものに分けました。
自己受容的な言葉を用いたエグゼクティブたちの方が、自己批判的なエグゼクティブたちよりも成果が高く、ストレスが低かったそうです。
ちなみに、自己批判的なリーダーは創造性も低いことが分かっています。

何か失敗したとき、あなたはどちらの気持ちに近いでしょうか。
自分に対して悪い感情を抱いているとき、自己批判になっているか、自己受容であるかを意識するといいかもしれません。


<内的自己認識力を高める>

さて、内的自己認識を得るための方法には、マインドフルネスやリフレーミングが有効だとされていますが、他にも方法はあります。
それは、ソリューション・マイニングと呼ばれるものです。

このソリューション・マイニングとは、解決策に焦点を当てるテクニックで、考え込むことを抑えて理解を増す効果があります。
ある研究では、目標を設定することと、達成への進捗を記録することに焦点をあてたプログラムを受けてもらったところ、目標達成も速く、内省の減少と自己認識の向上を示したそうです。

「上手くできなかったらどうしよう」と、つい不安なことに目が行ってしまいますが、これでは何も解決しません。
「不安」ではなく、「解決策」に焦点をあてるのがこのソリューション・マイニングになります。

しかし、なかなか不安が頭から離れないのも事実です。
そんな時は、無理やり不安を追い出そうとするのでなく、「今自分は不安を感じている」ということをいったん受け入れた方が次に進みやすかったりします。

どうしても同じことをグルグルと考えてしまうという人は「内省」の仕方に問題があるかもしれません。
そのことについて以前書いた記事があるので、よろしければそちらを参考にしてみてください。


最後に、

自己認識が”自分のことだけ”を見ることではないという事が分かっていただけたでしょうか。
仕事や人間関係を良い状態にしようと考えるならば、内的・外的自己認識のバランスがとても大切です。

「自分は自分」と人の意見をまったく気にしないという考え方もあると思いますが、それも程度によるのではないでしょうか。
もちろん、人に流されて「自分の意見がない」のも問題です。
バランスよく自己認識を伸ばして欲しいと思います。


今回はここまで

noteの内容を気に入っていただけたら
励みになりますのでスキやフォローも
お願い致します。

最後までお読みいただきありがとうございます。

それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は読んだ本をもとに考察し、私の経験したことなども踏まえて書いています。
そのため、参考にした本とは結論が異なる場合があります。
あくまで、一つの意見として見るようにお願い致します。
※書いてある文章は予告なく変更する場合があります。ご了承ください。

▼引用元書籍


▼こしあんグッズはこちらから

▼こしあんのLINEスタンプ


いつも温かいサポートありがとうございます。 いただいた資金は次の活動のため、主に本を買うことに使わせていただきます。 そして、それを元にまたどんどん情報を発信していきます。