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きょうの一文6

「ソフィーはまたしても爪を噛み始めた。」
(ヨースタイン・ゴルデル「ソフィーの世界 上」NHK出版 1998年 第8刷 p.360)

タルホでも名前を挙げた、バークリは、精神あるいは意志しか認めない哲学者で、その解説を聴くソフィーが爪を噛む行為は、そこにちゃんと爪があることを指し示すためのこの本にとって欠くことのできない重要な行為である。と同時に(この「物語」における)ソフィーという存在はこの文章によれば爪という部分からの示唆でしかない。そのことがよく分かる一文。よってぼくはこの文章をこそ深く噛み締めるものなのだ。

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