『 彼女と私のものさし 』
人にはそれぞれ、ものさしがある。
そのものさしは誰かと出会い、恋に落ち、別れたり、
新しいことにチャレンジしたり、仕事で失敗をしたり。
とにかく人生におけるすべてのことを吸収して、作られる。
無論、ひとつも同じものはない。
だって、まるっと同じ人生を歩んでいる人はいないから。
ただ生まれて15年足らず。
多くの時間を共にしている子どもたちとは、
少々似ているところがあるのでは?
私は漠然とそう思っていた。
しかし、それは違うものへと変化しているらしい。
先週のこと。私は盛大に寝坊をした。
飛び起きて階段を駆け上がり、
娘の部屋のドアを勢いよく開けた。
「大変!!!もう5時50分!」
しかし、ベッドのなかから返ってきたのはこんな言葉だった。
「そんなに大きな声出さないで。
急いでも、もう間に合わないから」。
慌てふためく私と冷静な彼女、
態度も声色もまるで正反対だ。
彼女はすくっと立ち上がり、
悠然と食事を摂り、身支度を整え、
焦りを微塵も感じさせることなく、登校していった。
「早くしなさい」
そう言いたい気持ちをぐっと飲み込んだのは、
彼女が一言たりとも寝坊に対して不平をいわなかったから。
昔の私だったら「早くしなさい」と捲し立てていたに違いない。
自分が寝坊したにもかかわらず、だ。
育児はいつまでたっても育自でしかないのである。
こんなふうに私と彼女の
寝坊と遅刻に対する
「 ものさし 」の違いが明らかになった。
私のものさしの、なんと短いことよ。
日常のそこかしこに潜む、ものさしの違い。
これは子どもの成長とともに増えていくのだろう。
それを楽しむことができるのは
親の特権のひとつなのかもしれない。
その日の夕食は、お詫びの意味も込めて
彼女の好きなヤンニョムチキンにした。
やっぱり似たものさしも存在するものだ。
鶏胸肉好きなところは、私と娘の似た「 ものさし 」。
ヤンニョムチキン
●鶏胸肉300〜350g(1枚)
(下味
□酒大さじ1/2
□塩胡椒少々
●片栗粉
(タレ
●コチュジャン大さじ2
●ケチャップ大さじ1
●みりん大さじ1
●酒大さじ1
●醤油小さじ1
●砂糖小さじ1
●にんにくひとかけ(すりおろし
①鶏胸肉は一口大のそぎ切りにして下味をからませておく
②①に片栗粉をつけて、多めの油で揚げ焼きにして、網に上げておく
③一旦拭いたフライパンにタレの調味料を入れて火にかける
④ふつふつしてきたら②を戻し入れて、ぜんたいにからめて完成