経済対策108兆円の内訳をちょっとかじってみよう
108兆円てほんとどんだけ効果あるの?
安倍首相は4月6日に本日(7日)にも緊急事態宣言を発動をすると述べると共に、「新型コロナウイルス感染症の経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない、強大な規模となる経済対策を実施する」として、新型コロナウイルスの感染拡大に対処する政府の緊急経済対策の事業規模を総額108兆円と表明しています。
リーマンショック後の事業規模約56.8兆円の約2倍にも及ぶことから、政府や自信満々のようですが、一方で「真水(まみず)」でやってくれという意見もあります。
ちなみに、「真水」っていうのは明確な定期がないようですが、GDPに直接的に押し上げ効果をもたらすものということらしい。
今日にも緊急事態宣言と共に、これらの事業規模の内訳詳細が説明されることになると思いますが、発表前の2020年4月7日(火)13:00段階で、どんなものが含まれるのかをちょっとかじってみようと思うのです。どれだけ効果あるんだろうか?
今回の経済対策は、「緊急支援」「V字回復」と大きく二つのフェーズに分けられるらしい。
とはいっても、まずはこの目先の新型コロナショックへの対策を練ることが優先的であることから「緊急支援」の予算が多くなることは想像できますね。
じゃ、緊急支援策の内訳からみてみようじゃないですか。
6兆円の現金給付
「低所得世帯への現金30万円給付」と「中小企業への200万円給付」「個人事業主への100万円給付」とのこと。
まずは、「低所得世帯への現金30万円給付」に関してですが、そもそも低所得世帯ってどういう基準なんでしょうかね?
現段階では、
2020年2月〜6月のいずれかの月収が1月以前と比べて
(1)2月収が減少し、年収換算で住民税非課税水準まで落ち込む世帯
(2)月収が半分程度に減少し、個人住民税非課税水準の2倍以下になる場合
とのことなんですが、一体どんな人(世帯)たちなのか?
参考になる目安がこちらに記載してあったので是非照らし合わせてみてください。
(参考:お金のカタチ)
というか、ぶっちゃけ、対象になる人(世帯)って少なそうな印象受けますよね。
それに、「生活保護受給者」まで含まれるとは。
多くの人が言っているように、そもそも新型コロナの影響は全く受けていないのにおかしいですよね。中には、生活保護を受けながらパチンコに繰り出す人も多いという話も聞いたりします。体調不良などで困窮している方々もいるので一概に生活保護の方をくくることはしませんが、少なくとも上記の通り新型コロナの影響で収入に影響はなさそうというのは、納得感があります。
で、この対象世帯はどれくらいになるのかというと、全国5300万世帯のうち、約1,000万世帯を想定しているとのこと。30万円を給付すれば、3兆円規模。
あらら、全体の108兆円を知ってしまっているだけになんて少ない印象。
しかも、給付は市区町村の窓口への自己申請が必要っていうんだからものすごい矛盾が。
モロに、密閉・密集・密接するじゃないですか。
それに自己申告って、めちゃくちゃ申請書とか必要だし煩雑なわけです。
こりゃ、本当に給付するつもりあるの?って感じです。
では、「中小企業への200万円給付」「個人事業主への100万円給付」は「持続化給付金」という名称で、業種を問わず、2020年1~3月のうち、いずれかの月収が、前年から半分以上減った個人事業主や中堅・中小企業を対象とする。減収分の十二カ月分を国が上限額まで補償する予定とのこと。どれだけ対象になるかは未知数なんでしょうが、50万~100万件の給付を想定してて、約2兆円程度見込んでいる模様。
はっきりいて金額が少ないのはもちろん、新型コロナによる中小企業や個人事業主へのショックはこれからの方が圧倒的に大きいはず。これをどうにかしてもらわないことにはなぁ。
これだと合計5兆円なので1兆円ほどはバッファなんでしょうが、少なくないすか?
そしてこれもおそらく、どこぞの窓口への自己申請って話なはずですよ。
オンラインで可能にするとはいうものの、それって5月中旬以降の話のようですしね。果たしてどうなることやら?
26兆円の税金や社会保険料の支払い猶予
続いては、こちら。税金、社会保険料に関しては、通常延滞する場合、延滞税などがかかるけれども、それらをを全て免除し、担保の差し入れも不要になる模様。さらには、電気・ガス、水道・下水道やなんとスマホといった公共料金も支払い猶予対象になる模様。
これらは「結局支払う必要があるじゃないか」とゼロにすべきという意見もあるようですが、そんなのは社会経済が回らなくなるので、支払い猶予があるだけでも、十分良いことではないかなと思うところです。
ただ、確かに、これらの支払いがあることによって「経済」を押し上げる効果があるとは思えないところ。いつか支払わなければいけない税金・社会保険料を、運転資金に充てるとは思うものの、追加的な付加価値を生む投資などには向かないので、経済を維持する一因にはなっても押し上げることにはどうだろうな?
結局は、負担は個人や企業なわけだから、これを「事業規模」として投じますっていうメッセージはちょっとどうなん?
1.6兆円の実質無利子・無担保の融資
(さっきの安倍首相の答弁では46兆円の融資枠と言ってたけどどうなんだろうか?とりあえずは、既に配布されている資料参照して)
結構大々的に「実質無利子・無担保」をうたっている融資制度ですが、実は、記載されているパンフレットではたった1.6兆円とのことなんですよね。これまたインパクトちっちゃいな。
で、実際にこれは「銀行から借り入れる信用保証」「日本政策金融公庫などから借り入れる融資」の二本柱。
信用保証に対ては、緊急時のセーフティネットで80~100%保証するんで、銀行が貸しやすくなりますよというもの。融資は、金利を0.9%引き下げて、条件によっては残額金利を補給してくれるっていうもの。でもこれ3年間だから、4年目以降はもちろん金利支払いが発生するというやつです。
これは、不公平感がないのであれば、こういう対策もありかとは思うのですが、以前にも書いたような大企業へは最大1,000億円、総額4,000億円の出資を検討していますっていうのだと圧倒的におかしいよって話なわけです。
こうした危機対応のために、従業員や下請け企業から搾取してきた潤沢な資金を持ち合わせている大企業は返済不要なお金を受け取り、中小企業は借金という返済が必要なものだという不公平感。しかも、「連帯保証」が求められるという点は決して目をそらしてはいけないけれど、どのメディアも触れていません。大企業が借入る場合、連帯保証なんて求めないでしょう。経営者を二度殺すことになる「連帯保証」は何とかしてほしいものです。
とにかく「信用保証」「融資」のいずれにせよ、中小企業の経営者や個人事業主が全面的にリスクを追うわけなもんでね。しかも、結構話を聞いていると結局審査などにより時間を要するし、借入もできないケースもあるとのこと。これじゃあ、支援にならないですよ。
児童1人あたり1万円の手当
児童手当を受給している世帯には子ども1人当たり1万円を追加で給付がある模様。1兆円の感染症対策予備費を創設するとのことなのですが、0~15歳の人口が約1,600万人なので、全員に支給したとしても1,600億円程度ですね。
これは、まぁ少しでも子育て世代にとっては助けになるとは思います。
で、少ないよな。。。
その他予算の使い道
前述にあげた以外の予算が70兆円以上あるとのことで、他にも期待するものですが、詳細はあまり明らかにはなっていないのです。
感染拡大防止として、新型コロナ軽症者に一定の効果があると期待されているアビガン200万人分の備蓄や診療報酬などに多くを使うことになるのでしょうが、どれくらいなんでしょうかね。
感染拡大防止として、新型コロナ軽症者に一定の効果があると期待されているアビガン200万人分の備蓄や診療報酬などに多くを使うことになるのでしょうが、どれくらいなんでしょうかね。
というわけで、大半の70兆円がどのようにつかわれるようになるのかも、今日の記者会見で明らかになることを期待ですね。