中学受験で自信喪失した娘の「やる気」と「本気」を引き出し、3週間で70点UP! プロフェッショナル・コアコーチの「コーチング的・子どもサポート法」をすべて公開します。
はじめに
この記事を書くきっかけは、何気なく、SNSに投稿した、我が家のできごとへの反響から。
その投稿とは、長女(12歳)が塾のテストで「ずーっと、ひと桁続きだったテストが、コーチングを取り入れたことで3週間で70点アップした」という話。
70点アップって衝撃ですよね。元々がひと桁だったからね、伸びしろすごい(笑
でも、なぜこれが可能だったのか? コーチングをどんなふうに使ったのか?
小学生・中学生のお子さんがいらっしゃるお母さま、塾関係の方に、聞かれました。
皆さん、興味があるのね。
そんなわけで、私が体験したことが、
* 子どもの成績が伸びない
* 子どもが勉強してくれない
* 子どもがやる気にならない
* 子どもが自信をなくしている
* そんな子どもにイライラモヤモヤしてしまう
* 子どもに「勉強しなさい」という小言を言いたくない
といったお悩みに、少しでも役立つといいなと、書きました。
しかしながら、実際、この「成績がぐんと上がった3週間」についてその秘訣を記事にしようと書き進めたら、この件は《3週間》という期間だけが、長女の成績に影響を与えたものではなく、私自身の教育に対する想いにまでつながり、一冊の本ができちゃうんじゃないか!? という大作になりました。
さらには、私の今後の仕事の方向性まで大きく変えることにまで!
そんなわけで、プロフェッショナル・コーチを職業とする私と小学6年生の長女が、「中学受験」というものを通じて、長女が体験したこと、私自身が気づき、学んだことを物語形式で書いています。
前半は、中学受験と向き合うキッカケから、長女と心通じあう会話まで。
中盤は、具体的な関わり方、コーチングスキルを含めて書いています。
最後は、勉強と子育て、そしてこれから必要とされるコーチングについてお伝えしています。
ここには、すぐにできることが書いてあります。
取り入れられそうなことは、ぜひとも取り入れていって欲しいと思います。
それと同時に、あなたにキャッチしてほしいことがあります。
それは、「ありかた」です。
「ありかた」とは、あなたが子どもの前でどう存在するか?
あなたが、どんなまなざしで子どもを見ているか? です。
「何をしたか」というやり方・知識だけではなく、ご自身と照らし合わせながら、「親としてどうありたいか」「子どもにどうあってほしいか」「自分が発しているものは」など、【親としての自分】を見つめるキッカケになってもらえたらと願いも込めています。
どうか、このnoteがあなたとお子さんの素晴らしい未来への手引きとなりますように。
親子の絆を深めるお役に立ちますように。
第1章 コーチングを始める前に
1.理想の母親でいられなくなる危機感!
理想の親像ってありますよね。
例えば、子どもに「勉強しなさい」なんて言わずに、子どもの自由を尊重して……おおらかに見守る親。
子どもの主体性を育て、自分で考える子になっていく。
その中で、勝手に子どもが楽しく勉強してくれたら最高。
なんて理想。
だから、私は嫌だったんです!
「中学受験したい」と長女が言いだしたとき。
なぜなら……中学受験、そしてそれ専用の塾に行く……ということは、
《たくさんの課題をやらせなきゃいけない》
一方、私は
「勉強をしない娘を見たとき、それを口を出さない自信がない」。
つまりは、私が描く理想の親像が、崩れる!!
私の懸念はココでした。
基本、私のスタンスは「子どもが挑戦したいことは応援する、やらせてみる」ですが、中学受験については、「やってみたらいいじゃん!」とは言えなかったのです。
でも、娘の願いも叶えたい、尊重したい。
でも、理想の親でいられる自信がない。
そんな葛藤もありつつ……
それでも、これまでの私のスタンスである「娘が挑戦したいということは、応援したい」そんな思いから、受験クラスへの通塾への手続きをしました。
しかし、この時、私はひとつ心に決めました。
「この中学受験勉強については、塾と本人に任せる。私は口出ししない!」
想定される未来・ 課題をやらない・ テストの点数が悪いこれが起きたとしても、関与しない! 言わない! と。
これって、「子どもの主体性を伸ばすことにもなるし!」なんて考えも。
でも、実はこれ、娘の主体性を伸ばすというのは表向きの理由で、「私が理想の母親でいるために」という、自分自身の保身からくるものでした。
もちろん、この時の私、そんな自分には気づきません。
私は、軽やかでちゃんと子どもと距離を置ける、子どもの主体性を伸ばす賢い母親なのよ。
そんな気持ちです。
2.「いい母親」の仮面が剥がれた 塾の面談と娘の涙
そうして塾が始まり……
予想通り、毎週持ち帰る大量の課題とテストの繰り返し。
娘は大変そうでしたが、スタートは誰しも戸惑うもの。
そう思いひたすら見守ります。
今となっては、「見守っていた」という言葉が適切かわかりません……。
なぜなら……テストの結果すら受け取らず見てもいなかったのですから。
なんでも、知るからこそ痛い無関心でいて、知らなければ、痛くない。
それは、遠い国の不幸に目を向けようとしない、自分を守る反応と同じようなものにも思えます。
そうしているうちに……娘がだんだんと勉強をする様子が見えなくなってきます。
なにも言わない・なにも関与しないと決めた私。
「大丈夫。娘が自分でなんとかする。結果は彼女が引き受ける」
そうやって現実を見ることなく私の都合のいいように考えていた私、心の片隅で気にしつつも、無関心を装っているなか、転機が訪れます。
塾の先生と、私と娘の三者面談でした。
その話のなかで、娘が「できていないこと」を指摘されます。
塾の先生が熱心に、今の娘に足りないものを伝えます。
勉強のやり方、今後のやり方。
そして、娘への気合注入!
「決めたのは君だ。僕は全力でサポートする。がんばれ」
熱のこもった言葉を娘に送る塾の先生。
娘は、涙を流しながらその言葉を聞いていました。
三者面談が終わり、娘が言いました。
「もっと頑張る」娘の涙とその言葉を聞いて、私は娘の思いに心が動いていました。
と、同時に、私自身に違和感がありました。
私は、面談中にまるで部外者のように、涼しい顔をして、
「中学受験は本人が言い出したたことです。私は、娘の主体性にまかせます」という態度でいた私に。
私は……私は一体なんなんだ。
と。
3.「勉強しなさい」はエゴなのか
「勉強しなさい」
これを言う親にはなりたくなかった。
勉強しなさいって、自分のエゴを押し付けているみたいで。
でも……
「A中学にいきたいだろう? だったらがんばれ。」という塾の先生と、
「勉強しなさいという親にはなりたくない、だから無関心」という私と、
一体どちらがエゴにまみれているだろう?
悪役になりたくなくて、損役になりたくなくて、理想の母親でいたくて、私は、本当に見なくてはいけないものから目を逸らしていた私に気づいたのでした。
逃げていたのは私。
そして、私は考えていました。
「私が娘に対して本当に望むことはなんだろう?」
これは親のエゴだとか、こんな親が理想だとか、他人からどう思われるかとか、そういった私の中に沸き起こる雑音のボリュームを下げ、私の中に沸き起こる「本当の思い」「私が望むこと」に耳を澄ましました。
彼女(娘)がどうあってほしい?
彼女に求めていることは?
受験合格? 勉強ができる娘? 娘が自信をつけるコト?
娘に達成感を味わってほしい? やりきる力、忍耐力をつけてほしい?
どれも大切。
でも私が本当に彼女に望むことは……
「勉強を好きでいてほしい」でした。
学ぶことは楽しい。
私はそう思っている。
できないコトができるようになる知らないことを知るって本当に素敵なこと。
この思いを共有したい。
だから、娘には勉強の楽しさを知ってほしい。
この私の本当の思いと願いを掴んだとき、私は気がついたのでした。
この娘と私の今の中途半端な状況が、私の思いとは別の、勉強が嫌い・学ぶことはつらいという方向に進んでいることに。
娘と娘の中学受験と、今度こそちゃんと向き合おう。
4.「対話」をしたいなら外したい思い込みメガネ
そうして少しずつ娘の勉強に関わることにした私。
まずは毎週のテストを見せてもらうことに。
その点数、毎週毎週1ケタ台……。
塾の宿題を見せてもらうと、白紙(やっていない)。
私からすると、「何もしていない」ととれる状況。
正直、ムカッとしました。
私が関わっていなかったとしても……半年間、何をしていたの?
塾の先生との面談で「がんばる」と言ったじゃない!
今思うと……気合を入れられたとしても、困りごとをどう解決していいかわらなかったのだからがんばりたくともがんばれなかったのだと思う。
しかし、娘の状況を見た瞬間、私は、私の娘を見る目が、
《やる気がない・ちゃんとやってない・サボってる・甘えてる》に変わっていました。
こんなときは要注意です!
ムッとした感情、反射的な感情のままに相手を見る目は、偏りある思い込みのメガネを通しているようなもの。
思い込みメガネとは、その出来事や人を、事実ではなく、自分の思い込みで見てしまうこと。
もちろん、そんなメガネが物質としてあるわけではありません。
例えると…というお話です。
目には見えませんが、多くの人は、そういったメガネを通して物事を見ています。
このメガネが問題なのは、これをかけていると、「思い込み」が「真実」になってしまい、
一方的に相手を決めつけて責めてしまう…
相手の本音が聞けない……
ということが起きます。
結果、本当に必要は話し合いができません。
あなたも、心当たりありませんか?
感情的になって、相手を決めつけてしまったこと、
もしくは逆に、相手が勘違い(思い込み)したことによって、対話が平行線になったり、責め合うことになってしまったり。
この時の私も、ムッとした感情の勢いで「やる気がない!」など思い込みメガネをかけていました。
しかし、その思い込みのメガネをはずして、真実を見たとき、
……娘は、とても困っていました。
「どうせ私できないし」
「塾のみんなは頭がいいし。テストは学校より難しいし」
娘自身が、「私はできない」「私はそういうもの」として、自分自身を受け入れているようでした。
それでも、できている自分になりたくて、そういう自分であることを信じたくて、やらない理由、できない結果への言い訳を一生懸命、外側に探していました。
思い込みメガネをはずして、子どもの本当の姿を見ようとすると、こんな風に本当に子どもが困っていること、苦しんでいることが見えてきます。
勉強の事以外でも、何度言っても変わらないことや、親から見た問題と感じる行動も、親自身の思い込みメガネを外すことで、展開が変わってくることも多いのではないでしょうか。
話を、私と娘の話に戻しますね。
こうして、本当の娘に気付いた私は、娘とこの中学受験について対話をすることにしました。
5.勉強の話を嫌がる子どもの心の開き方
『勉強と塾について』このテーマを掲げた時点で、世の多くの子どもたちが想像するのは、「怒られる」「叱られる」「嫌なことを言われる」ではないかと思います。
娘も同じでした。
スタートは、拒否反応。
そんな娘に、「私はあなたを叱りたいんじゃなくて、今の状況を何とかするためにお話したいの」と、伝えました。
《怒られない》《責められない》という安全保障は、建設的な話し合いのためには大事な約束ごとです。
なので、まずはその安心感を得てもらうために、本当の思いを伝えます。
「本当の思い」であることが大事です。
本当の思いなら、相手の心に響き、相手に伝わります。
本当の思いじゃない約束事でよくあるのは…
「怒らないから本当のことを言いなさい!」でしょうか。
言ったこともあるし、言われたこともありますよね。
自分が発する言葉が、心と一致しているかというのは、とても大事なポイントです。
私は娘に、こんな本当の思いを伝えました。
「私は、中学受験はしてもしなくてもいいと思っている」
「もし、勉強が嫌で大嫌いになるくらいなら、塾だってやめていい」
「私は、学ぶことが楽しいって思っていてほしいと思っている」
「だから、あなたの気持ちや考えを教えてほしい」
私の思いが伝わったのか、娘は少しリラックスした様子に変わりました。
そして、娘に聞きます。
「今、このテストの状況をどう思っているの?」
「塾についてはどう思っているの?」
「中学受験をしたい気持ちは、今も同じなの?」
ひとつずつ丁寧に。
もちろん娘の返答に対して、否定・非難はしません。
娘は涙ながらに話します。
周りのみんなの成績がよくて、つらかったこと。
自分なりにがんばっているのに、どうしてできないのかわからないこと。
わからないまま進んでいく授業に戸惑っていたこと。
娘は、とても困っていました。
できなかった理由は、サボっていたわけでもなく、本気でないわけでもなく、ただただ困っていたのでした。
私は娘のつらさを思うと、悲しくなってきました。
塾に入ってみたら、課題がいっぱい、授業のスピードも速い。
周りはついていけているのに、自分はついていけていない。
自分が始めるといったのだから、がんばらなくちゃと思う。
けれど、何をどうしたらいいかわからない。
誰も、助けてくれない。
相談する相手もいない。
心細かっただろうな……。
どうして私に相談ができなかったのか? と考えてみても、娘から見た私は、到底「相談しよう」と思える存在ではなかったと思うのです。
答えが想像できるからです。
「自分で決めたことでしょ?」「もっとがんばりなさい」
私は娘にその時の本当の気持ちを伝えました。
「そうか、大変だったんだね。一人で心細かったよね」
娘は、黙って泣いていました。
人の行動には、何かそうせざるを得ない理由が必ずあるものです。
サボっていると見えても、悪意やワザとではなくて、ちゃんと理由があるのです。
その背景を理解しようとすること、そして、本当に理解することが、相手と本音でつながることなのです。
そのつながる感覚は、深く心に沁みこむような、安心感と受け入れられた感があります。
互いに流れる空気(エネルギー)は、とてもクリアで純粋。
この偽りなく純粋で繊細な対話は、お互いの信頼感が増し、心がさらに開かれていきます。
6.「当事者意識」を引き出す
自分の本音を伝え、相手の本音を聴く。
このように、お互いを理解する対話、つながる対話ができたら、次のステップです。
それは「では、この先はどうする?」という未来のお話。
つながることだけで満足してしまうのは、要注意。
話の終わりは、必ず具体的な変化への行動と約束をします。
まずは、ゴールの確認を。
私たち親子の場合、ゴールへの問いは
「中学受験はどうする?」「塾はどうしたい?」という問いです。
娘「つらいけど……、続けたい」
私「どうして? 通常クラス(塾)に戻ることもできるよ」
(ここで本音かどうかの確認の質問。私に気を遣って言っているのではないか? という……そして、続ける理由を本人が自覚するための質問)
娘「……うん、でもやっぱりA高校に行きたいと思っているから、今ここで勉強したい」
娘の声に、これまでと変わって強さが出てきます。
声のトーン、エネルギーで、その言葉の本気度というのはわかるものです。
「なぜこれをするのか」「何のためにこれをしているのか」今やろうとしていることと、未来手にしたいものが結びついたとき、自分の中から「やる気」が出ます。
誰かから与えられた義務ではなく、自分が選んだこと、私自身のことという意識が芽生えます。
自信を失い、被害者的で、受け身体制から、「主体的になる」「自分ごととして考える(当事者意識)」娘が変化した瞬間でした。
と、同時に、私自身の娘の受験に対して「被害者」から「主体的になる」という変化でもありました。
私も娘の受験をできる限りサポートする!
ちなみに私は、娘がどう答えたとしても受け入れる心構えはできていました。
「娘が本当の気持ちから出した答えに従う」
(相手が本音を言っているかどうかは、相手の声の響きでわかります。)
やめたいといったならどうするか?
続けたいといったなら、私はどうするか?
このように、話し合いの前に相手の答えをある程度想定し、「自分はどうしたいか?」という自分の「ありかた」を決めておくと、感情的になって話が脱線したり、思わぬ方向に行くことを防いでくれます。
7.サポートポイント 継続的な関わり・約束
これまでの対話で、私と娘の中で共有できたのはこちら。
・娘が中学受験についてどう思っているか?
・この先、塾と中学受験はどうしたいと思っているのか?
・私自身が、それに対して協力したいと考えていること
・見ている先(ゴール)
は一致しました。
そこで私は提案しました。
「週に1回こうやってこれからのことや今できていることのお話をしない?」
娘とのコーチングの提案です。
やや警戒したようですが、観念したように「わかった」と娘。
ここは仕方ないですね。
この状況と、親子のパワーバランスを考えると、娘はイエスとしか言えない……。
しかし、ここを見逃してはいけません!
この小さなズレが後々大きくなっていくことにもなりかねません。
この対話を始める前と同様、娘に対してこれからの対話の説明をします
「でも、このお話の時間は、あなたを怒る時間ではないよ。どうしたらうまくいくか、どうしたらあなたの夢が叶うか、作戦を立てる時間。私は叱らないし、責めたりもしない。無理やりやらせるってこともしないよ」
娘が、気にしているだろうことを伝えます。
そこで、安心したのか、ホッとした表情。
「他になにか、不安なことある?」と私。
すると娘は本音を教えてくれます。
「やらなくちゃって言うのはわかっているけど、できていないことを言われると、嫌な気持ちになっちゃうんだよね」
「私だってがんばってるし……」
ひとりでがんばるのもつらいけど……助けてもらって、責められたり怒られたりするのもつらい……一々チェックされるのも嫌……。
きっと、「助けてやったのに!」と、恩着せがましくされるのも嫌だよな……
なんだか、その気持ちわかるなぁ。
「そうだよね、それは嫌だよね」と、娘の気持ちに共感。
助けてもらってるんだから、失敗したら怒られたり責められたりすることは受け入れなきゃいけない。
そうされたくないなら、ひとりでがんばらなきゃいけない。
そんなことを、私自身も長年思ってきた気がします。
助けてもらいながら、怒られず、責められず、否定されず、安心して挑戦して失敗ができる。
見返りは求められない。
愛をベースにした場。
そんな、安全で安心の場があったなんて…………
それはコーチングに出会ってから知りました。
すべての子どもにこういう場があることを願うばかりです。
このお話では、コーチングのポイントがいくつかあったので、まとめておきますね。
◎コーチング的対話で相手をサポートしようとするときのポイント◎
・コーチングの対話をする同意を取る
・対話の目的・説明をする
・相手の不安の声を引き出し、それを共有する
・相手の素直な気持ちを否定せず、受け取る
8.対話 -主体性を引き出すー
このコーチング的対話の場が安全であることを確認し、コーチング的対話をスタートすることに合意した私と娘。
早速スタート。
まず私がしたことは、「どんなサポートが必要?」と娘に聞いたこと。
普通はこの問いは、あまりしないのではないでしょうか?
よくあるのは「じゃあ、ここの復習をしよう!」など、やることを親側から持ちかけてしまうこと。
こうなると、《親が決めたことを、子どもがやる》
という関係ができあがります。
子どもに受け身の姿勢をつくってしまうのです。
この受け身姿勢や、子どもとの関係をつくってしまうと、子どもの成長のチャンスを奪うだけでなく、後々親が大変になります。
誰の受験なの?誰の勉強なの?
この受験は、娘が主人公である。
目指す先を決めるのも行動を決めるのも娘。
切り拓いていくのは娘自身。
このことは、子どもの受験をはじめ、子育て全般必ず覚えておきたいこと。
何か違うな、というときは、《なにかやりすぎている》《子どもとペースが合っていない》ことが多いものです。
子どもが主人公。
私は、そのお手伝いである。
ですから、必要なサポートもまずは娘に聞きます。
娘「うーん……」答えに困りながらも、ちゃんと考えています。
自分にどんなサポートが必要か?
それを自覚し、相手に伝えるこの問いと考える時間が、その力を育みます
しかし、今回は、この質問だけでは答えられない娘に、ちょっとサポート。
私はこんなサポートができるよ。
と、できること/できないことを娘に伝えます。
《できること》
・応援・困りごとの相談
・勉強のやり方を一緒に考える
・勉強をちゃんとやったかのチェック
《できないこと》
・毎日一緒に勉強すること
・算数の問題を教えること(土日の暇なときならOK)
・簡単にラクに勉強ができる方法を教えること
・志望校に合格させてあげること
この部分をまとめるだけでも親自身の限界を自覚することや決意ができますね。
子どものとのコーチングは、自分自身の「ありかた」を明確にしていく作業でもあります。
この「できること」「できないこと」を伝えたことで、娘が言います。
「応援だけじゃなぁ……。チェックされると怒れるし……」
「どうやって勉強したらいいのかわからないから、勉強の方法を一緒に考える、かなぁ」
それを聞いて私「そうか、そうだね。それがいいかも。結果が出ないのは、あなたに能力がないのではなくて、『方法』が違っているだけだと思うから」
親は子どもより経験豊富な大人なので、自分の経験の範囲で「こうすればうまくいくんじゃないか」「ここがダメなんじゃないか」という方法は、ある程度浮かびます。
でも!そこをググッと我慢して、 まずは子どもに聞いてみる。
問いかければ、子どもなりにちゃんと答えを出してきます。
「私に必要なものは何だろう?」
「ほしいサポートは何だろう?」
この問いは、自分に必要なものを掴み、自分の責任を果たしながら、周りの人のサポートを受ける力を育みます。
助けが必要なときに「助けて」と言えないまま大人になって苦しんでいる人、あなたのまわりにも多くないですか?
私自身、親からこんな問いをもらったことなんてなかったから、困っていても
「どうして誰も気づいてくれないの!」
「どうして何もしてくれないの!」
って、常に怒ってたな、と思い出すのです。
「誰か気づいてくれないかな」そんな寂しさも持ちつつ……。
相手の意見を聴くことで主体性を引き出し、相手の意見を尊重し、大人側から見えている視点から自分の考えも伝える。
ただし、自分の意見とやり方にこだわらない。
この対話がコーチングの対話。
自分に必要なことは子どもがちゃんと教えてくれるものです。
一見すると遠回りに見えることも、その道で体験することはすべて成長につながります。
一緒にその回り道をしながら、成長のプロセスを楽しむそこに関わらせてもらえる。
こんな幸せなことって実はないんじゃないかな、なんて思います。
思い通りにならないこと、自分のやり方にこだわって、イライラしたり、子どもとケンカする対話では、体験できない喜びです。
《コーチングを機能させるために》
実は、コーチングを機能させるために見落とされがちなことがあります。
ここまで、私は娘との関わりで、
・お互いを理解し
・現状を見つめ
・めざす未来を確認し
・そのために、コーチング的対話をするという合意
をしてきました。
ここまでも、コーチング的対話・関わりでしたが、この先は、「目標達成と成長」を目的にしたよくビジネスの世界で使われているコーチングらしい関わり、と感じるかもしれません。
ただ言わずもがな、この「目標達成と成長」を目的にしたコーチングを機能させるために、ここまでのプロセスがどれほど大事か。
このプロセスを含めて「コーチング」なのですが、多くの人は、このコーチングを機能させるためのベースつくりを怠り、表面的なコーチングスキルだけを使って「コーチングって使えない」なんて切り捨ててしまう。
過去、ビジネス分野でコーチングがブームになりながらも、使いこなせず、ただのスキルと化してしまったことには、このような背景があったのです。
しかし、今、再度コーチングが見直されているとのこと。
今度は、うわべだけのスキルではなく、その人のあり方の変化や意識の変革、もっと深い真の人間関係のつながりをつくるツールとして。
今後、本物のコーチングが広がっていくことを願ってやみません。
第2章 コーチングを使った関わり
1.コーチング全体像
娘の意思を確認し、気持ち新たに「中学受験」に向けて歩みをすすめようとする私たち親子。
しかし、「ヨシ! 心を入れ替えて頑張ろう!」この気持ちの盛り上がりと、気合だけでは、現状は変わりません。
変化には、「具体的なアクションプラン」が大事です。
ここからは、多くの人がイメージする「まさにコーチング!」という会話かもしれません。
私が娘との対話のなかで、どんなふうにコーチングを使っていったのか。
そんなところを公開していきますね。
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