融資のOKが出ても実際にはお金が回らない資金繰り表がなぜ存在するのか?
「ちゃんとウラは取ったのか?」
刑事もののテレビを見ているとよく聞くセリフ。
単に想像や憶測だけでなく、証言や証拠を固めて裏づけを取ったのかと、こうるさいベテラン刑事が一言釘を刺すシーンなんかで出てきます。
融資の申込みがあった際、銀行でも資金繰り表を精査して、場合によっては契約書や請求書などの写しをもらい、「この資金繰りならなんとか借入も返済できそうだ」と判断して、融資のOKを出します。
しかし、先月融資を出したばかりの取引先が、月が替わると、また「来月お金が足りないんですが」と相談に来られることがありました。
ちゃんと資金繰りのウラは取ったはずなのに・・・。
原因もいろいろなパターンがありますが、その一つに「日次と月次の違い」があります。
通常、銀行などに提出するのは「月次の」資金繰り表です。つまり、月末残高の推移です。
10月の入金予定は5,000万円、支出予定は5,300万円。このため、10月末の預金残高は先月末より300万円減って、700万円になる見込みという具合です。
そして、銀行の審査でも、多くの場合は、「月次の資金繰り表でお金が回っていれば、日次の資金繰りまではチェックしていない」のが現状です。
けれども、実際には
・給料日:毎月25日
・大口取引先からの売上入金日:毎月月末
ということがあるため、月中で資金が一時的にショートするということも起こりえます。
だから、せっかく銀行から借入できても、翌月から経営者が月中に資金繰りで頭を悩ませているということも少なくないのです。
そういう意味では、会社が把握しなければならない「資金繰りは日次の裏づけが取れているか」という点がポイントになります。そして、この点は、お金を出す側はそこまでチェックしないことも多いので、経営者自身で必ず確認することが必要です。
セミナーなどでは時折お伝えしているのですが、銀行員は資金繰りのプロではなく、お金を貸すプロ。借りたお金をどう回していくかも含めて、資金繰りを回すプロはあくまで経営者。
名刑事は証拠を一つ一つ積み重ねて真犯人にたどりつきますが、資金繰りの名手になるためには日々の積み重ねはおろそかにできません。
なお、資金繰りをしっかり回していく社内体制を構築したい方は「社長専任の社外チーム」に一度ご相談ください。
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