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会社の品質を上げて、パワハラに負けない会社を作りましょう

起業の原点はパワハラに負けない会社を作ること

先日、とあることがきっかけで「起業した時の気持ち」を思い出すことがありました。

「岩井さんは、どうして起業したのですか?」と時々質問されます。

実際の理由はいくつかあるので、私は人によって回答を変えています。

もっとも大きな理由は「会社の業績が悪化したこと」。給料がもらえなくなり、このままでは家族を養っていけないという状況になったからです。

では、どうして会社の業績が悪くなったのか?

大きく分けると、

・外的要因
・内的要因

の二つがあります。

今冷静になって振り返ってみると、両者は密接に関係しており、「会社の内的要因が外的要因を招いた」ことが分かります。しかしながら、社員として働いている当時は「あのせいで会社がおかしくなった!」という怒りが行動の源になっていました。

その外的要因とは、いわゆる「パワハラ」。つまり、大きい会社、お金のある会社がその力を武器に小さい会社、お金のない会社をいじめるという構図です。

これは、

・大手企業が下請け企業に無理難題をふっかける
・いったん決まった取引条件を平気で反故にする
・銀行が突然融資を引き上げる

といったように、現実にもいろいろ起きているのではないでしょうか。

このように書いてきて、ふと気づいたのですが、私の起業の原点は「パワハラに負けない会社を作る」ということなのかもしれません。


上場企業でも時には平気で嘘をついてえげつないことをします

「おととい副社長よりお話があった売上金と営業保証金の件ですが、もう一度ご検討いただけないでしょうか。」

「当社の監査法人から指摘されている事項なので、どうしようもありません。」

「今になって急に約束していた追加の営業保証金を入れないなんて・・・。」

「しかも来月の売掛金は既存の保証金と相殺するって、どういうことですか。それじゃあ困るんです。」

「こちらにとっては資金繰り上、差引き3,000万円のマイナスですよ。来月の材料費だって払えないじゃないですか。」

「いずれにせよ、当社としては既に決定したことなので、いくらお願いされても無理なものは無理です!」

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「今日、社長はいらっしゃいますか。」

「朝から一日外出していて不在です。」

「そんな・・・ 」

これは、私が前職のベンチャー企業にいた時、販売代理店である某上場企業の取締役財務部長と交わした会話です。

私にとっては大変苦々しい経験の一つです。

もしかすると、皆さんの中にも、取引先とこのようなやりとりをされたご経験をお持ちの方がおられるかもしれませんね。取引先の業況が悪化して売掛金が入ってこないということはよくある話です。

しかし、私のいた会社のケースでは、相手先は上場企業。お金はたんまりと持っています。けれども、「監査法人から指摘された」という理由をたてに会社への支払を事実上ストップしました。

納得のいかない私は、いろいろなつてや手段を使って調査。

すると、ある日、監査法人の担当者から電話があり、

「ウチはそんな指摘はしていません」

つまり、相手先の上場企業は嘘をついて、意図的に会社をつぶしにかかっていたのです。

また、しばらくすると、その販売代理店と技術提携先がタッグを組み、私の勤務先を外す形で同じような事業を始めたことが判明!

資金力に乏しいベンチャー企業が急にお金を止められ、肝である技術を盗まれると、さすがにきつい。その結果、会社は取引先への支払へはおろか、私たち社員への給与の支給も滞る状況に陥ってしまいました。

これが、私が前職で経験した会社を業績悪化に追い込んだパワハラのほんの一部です。

私はそれまで、都市銀行とネット専業銀行に勤めていました。このため、信頼して融資した先が業績悪化になるということはあっても、嘘をついてまで、こちらを潰しにかかるという経験はしたことがありませんでした。

もちろん、ライバルの銀行と競合してしのぎを削るということはあったものの、強い会社が弱い会社をいじめるようなパワハラはなかったので、当時はかなりびっくりしました。


情報のコントロールを誤ると、時には致命傷になります

では、前の会社の場合、あっけなくパワハラに負けてしまったのはなぜでしょうか?

一つの要因は、その時点で「売掛先が1社に集中していた」ことがあげられます。

「まだ事業立ち上げ段階だったので」という言い訳はあるにせよ、これは致命的な要因でした。

そして、もう一つの要因は「会社の体力が落ちているワーストのタイミング」だったということです。

すなわち、ある大型のプロジェクトが進行していて支出が先行、そろそろ資金の底が見え始めていた時期。ようやく納品のメドも立ち、「3.000万円ほど入ってくるので、ちょっと一息つけそうだ」と思っていた矢先、突然入るべきものが入って来なかったのです。

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プロジェクトを進めるにあたり、資金的な面でもいろいろと相談してたので、その上場会社には、会社の資金繰り表を提出していました。

つまり、先方には「あの会社はいつ頃お金がなくなりそうだ」ということが分かっていました。そして、振り返ると、先方はまさに「資金が足りなくなる時期を狙って売掛金をストップした」のです。

この点、私のいた会社は「情報のコントロールが甘かった」と言わざるをえません。

会社を継続していくためには、「相手に隙を見せない」ことも大事。これについては「隙だらけだった」と大いに反省しています。

例えて言えば、我々の会社は素っ裸で相手の前に立っていたようなもの。ちょっと寒くなると、風邪をひくのも当然だったかもしれません(汗)。


プラス・ワンの発想を常に持って、前倒しで行動する

今から10年ほど前、当時の中国事情を踏まえ、中国に進出した企業の中には「チャイナ・プラス・ワン」として、中国以外に工場をもう一つ作るという動きが進んでいました。中国の安い人件費や広大な市場は魅力的とは言え、中国に頼りすぎるには危険という理由からです。

その後、各企業が実際に「チャイナ・プラス・ワン」を実行したかどうかは様々ですが、その後の行動が昨今の企業の業績にも大きな影響を与えているのは間違いありません。

そして、私の勤めていた会社が取引先のパワハラに屈してしまった内的要因ですが、まさに、この「チャイナ・プラス・ワン」の実行が遅れたことにあります。

中国に工場はありませんでしたが、「大口の売上先が1社だけなのに、そこからの売掛金の入金に賭けていた」のです。

会社の方針としては、「進行していた大型のプロジェクトにメドが立ったら、次の資金調達に取りかかろう」と計画していました。

当時はまだようやく売上が立ち始めた段階で銀行からの融資は難しい状況。前回の資金調達から2年ほど経っていましたが、VCはじめとする投資家からは「次にお金を出すにしても、案件の進捗具合を見てからですね」と言われていました。

このため、我々は目の前にあるプロジェクトに全力で取り組んでいました。

しかし、・・・・・

今思うと「プラス・ワンという発想が欠如」していました。

取引先を全面的に信頼し、そこからの入金が止められるなんて想像すらしていなかったのです。つまり、資金力のある相手側から見れば、潰そうと思えば、赤子の手をひねるように簡単でした。

よく「社運をかける」と言いますが、「資金繰りを考える上で、一つのことだけにかけるのは博打と一緒」。次の一手が一歩でも遅れると、選択肢は大幅に少なくなってしまいます。

パワハラに負けないためには前倒しの行動が不可欠です。


見えていないもの、見ていないもの、見せていないものを言葉にする

ちょっと重めの話になってしまいましたが、私が前職の時に経験したことは、独立した以降、経営者の方とお話する際に、いろいろな場面で役立っています。

会社の業績が悪くなる時、今回のコロナ禍のような外的要因も、もちろんあります。その中には、緊急事態宣言による営業時間の短縮のように、一企業の努力だけではどうにもならないものもあれば、私の前の勤務先のように、「あの時、あぁしていれば対応できたのに」というものも必ずあります。

弊社のミッションは「言葉を紡いで、会社の品質を上げる」。会社はいろいろな要因が同時期に重なると、あっけなく潰れてしまいます。それを防ぐには、日頃からの鍛錬が欠かせません。

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見えていないリスクは何か。気づいているに見ていない問題は何か。また、せっかく持っているのに、見せていない魅力は何か。社内で話し合うだけでは、見つけるのに時間がかかることがあります。そのような時は第三者の力を借りるのも有効な方法です。

もし、我々の方で何かお役に立てることがありましたら、お気軽に「お問い合わせ」いただければ、嬉しく思います。

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岩井徹朗@座組み作りの専門家
サポートは、マインドの感情とマネーの勘定を整えることで、自己成長につながる研究費に活用させていただき、得られた気づきをnoteへの記事に投稿する形で還元します。