【文芸部門募集終了!】第3回THE NEW COOL NOTER賞文芸部門~7/16講評
第3回THE NEW COOL NOTER賞文芸部門へご参加いただいている皆様。
7月開催の文芸部門も、昨日でついに応募締め切りとなりました。
最終的に応募作品数は57作品に登り、改めて皆様のご関心とご期待が高いことを知ることができて、運営事務局として万感の至りです。
なお、以下の応募マガジンへの収録をもって、エントリー完了となります。
スキがついている、ハッシュタグがついているのに、収録されていない場合は何らかの原因で集計から漏れてしまった可能性があるため、クリエイターお問い合わせやTwitterのDM等でお知らせいただければと思います。
それでは、本日も審査委員による講評をお楽しみください。
本日は、みこちゃんと赤星先生より計4作品講評を受け取っています。
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<講評(みこちゃん)>
ジンクスという、だれもが一度は意識したことについてのユーモア小説です。
エッセイの中ではFという、七夕にイチゴミルク味の飴玉を7粒舐める癖がある男が出てくる。その他は一切やらない。例えば風呂に入れば7回入浴しないと不幸になると思い込んでいるので、他には何もしないのだ。
ここまでで終わってしまうと、奇妙な癖がある男の話で終わってしまうのだが、いっちーの乱さんはここで、この男が七夕に女の子とデートをしたらどうなるか、という展開を盛り込みます。
否応なく7回繰り返すというジンクスが崩れていく。そこに主人公があたふたする。これが小説らしい面白さを醸し出しています。
滑稽さとは、本人が真剣であればあるほどますます滑稽で、見ている方は面白い。
そんな効果を狙っており、それは十分成功しています。読者を無理に笑わせようとはせず、自然とクスリと笑わせるような上質なユーモア小説に仕上がっていると言えるでしょう。
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<講評(みこちゃん)>
趣味というのは、何気なく始めるもの。それが、意外にものめり込んでいって、何か思わぬ出来事を引き起こしたりするきっかけにもなりますよね。
この小説では、友人の趣味がきっかけとなって主人公がカメラを手に入れるところから物語が動いていきます。良い導入と、根幹部分への流れができています。
デジカメではない写真フィルムを使う時代である。だから、店に出した後に実際に写真を現像する業者がそのフィルムを回収に来ます。その女の子に主人公は恋心を抱きます。
流れがとても自然ですね。作り話めいたところがなくて、とても好感の持てる展開です。
やっとデートにこぎつけたときのやりとりも新鮮ですね。詳しくは本文を読んでいただきたいのですが、下記のところなんてまさに、魅力的なシーンです。
>>「私の事を呼びました?」
>>彼女は少し悪戯な顔つきで言った
でも、その恋は悲劇的に収束してしまいます。
主人公はまた違った意味で、せっせと波の写真を撮りに行くようになります。
フィルムに大切な思い出を封じ込めるように。
淡い思い出となるまで、主人公はきっとカメラを手に海に波を撮影しに行くのでしょう。
そしていつか新しい趣味が見つかっても、主人公はデジカメ時代も、フィルムを使った古いカメラをずっと大事にしてそうな気がします。
非常に読後感の良い小説でした。
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<講評(みこちゃん)>
荒唐無稽な話なれど、その文章力のゆえに非常に非日常的な風景なのに説得力がある作品です。
こうした作品を書くためには、星新一や筒井康隆のような、一見すると平易なのに実は練られた文章力が必要になります。
大抵のこのタイプの小説は、その肝心の文章力が今ひとつなために、滑稽になるか、それこそ、笑いを誘うという意味でのユーモア小説になってしまい、作者の深いペーソスや背後の人生観などが見えてこないで終わってしまう。
ふくりとさんのこの小説はそれを一切免れているので、まずそこがすごいなと思いました。
自分でやりたいことをすべてやった後は、人は、これからの人に何かを託すことが最後のやりたいことなのかもしれないですね。
もしかすると、自分のやりたいことをやるために、生きているのではなくて、安心して次の世代に何かを託せる心境に至るために人は生きているのかな、などと思いました。
話としては完結している。
でも私は、この代理人によって自らの死を回避できた主人公が、再び今度は自分が代理人となろうと決意したときの続編がとても読みたいです。
永遠の命を手にしたかに見える。
でもおそらく、ふくりとさんの造形したこの主人公は、今度は自らが、誰かの代理となって、自分は死を選ぶのだろうと思います。
まるで書かれていないのに、そうした先の楽しみまで包含した素敵な小説だと思います。
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<講評(赤星先生)>
一読して、発想が素晴らしいと思いました。
車窓をマンガのコマに例えて、話が終始進んでいきます。
主人公は久助なのでしょうが、実は主人公は車窓から見える風景なのではないかと思います。
こういう発想を、私は持っていませんでした。
これと似た驚きを経験したのが、夏目漱石の「吾輩は猫である」です。
中学生のころ、この小説を手に取って、「猫視点なのか」と驚いた経験と同じでした。
同様に、こういう視点もあるのだなあと感心しました。
車窓から見た光景が切り替わり、いろいろな光景が広がっていく。
ときには他校の中学生、ときには荷物だらけのお婆さん、ときには娘と息子を連れた父親、ときには時計と停車駅の名前とモールの広告の看板。
さながら電車に乗ったような気分になります。
これと同じように、いろいろな視点で考えていけば、小説の可能性は広がるなと思いました。
この発想は私にとっても、とても勉強になりました。
※一部抜粋して掲載
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事務局アカウントでは、過去の記事とKindleで、これまで小説を書いたことが無い、という方でも、始められるようなコツなどをまとめさせていただいています。
どうぞ、ふるってご参加ください。
皆さんとともに、このコンテストを盛り上げ一緒に楽しんでいくことができることを臨んでいます。
*講評は分担制としているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。
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