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みこちゃんが葵ちゃんの小説を講評しました

第2回THE NEW COOL NOTER賞にご参加の皆様。
コンテストには、みこちゃんを始め審査委員の皆様も作品を応募いただいていますが、小説部門共同審査委員の葵ちゃんから、このような小説作品が投稿されました。

中学校時代の思い出。
まだ幼い感性を宿していた自分と、「大人」とされる存在と、そして「大人」びた自分自身の世界と考え方を確立した、近くて遠い級友の存在。

一奥もまた、自身の公立学校時代の、教師やクラスとの葛藤を思い出しながら読みました。あの頃の自分に、冴子並の弁舌があればなと思ったりもしますが――。

結びの、

何ごとも勝負としてしか捉えられなかった中学時代の自分の、何と幼かったことよ。

この一文にドキリとさせられました。
この小説は、単に中学校時代の、大人と子供の境目が何であるかを素朴に思い返すようなエッセイ調の短編ではない。

それまで述べてきた、ある種のノスタルジックさが、ちゃぶ台ごとひっくり返されて、生々しくも清冽なるなにか真(まこと)めいたものが、ありありと顔をのぞかせる。

若干中学生にして、このような小説を描かしめる天賦の才に、驚きを感じます。

そして、みこちゃんはそれをこのようにすくいとりました(全文引用)。

衒いのない描写なのに、そのなかに「責任」とはいったいなんなのか。
この問が楔のように打ち込まれている。

この教師は責任というものを理解していない。
責任は、だれかのために無私の精神で果たすべきものであって、自分のプライドとごちゃまぜになってしまっては、それを果たすことはできないよね。

小説として論評するならば…

「生徒に嫌われる教師と、そうでない教師だ。」

ここが非常に巧みです。
ふつうは…

「生徒に嫌われる教師と、好かれる教師だ。」

と書いてしまう。

そして好かれる先生の条件を挙げていく。
こうなると、生徒側の自分勝手な望ましい教師像になっちゃうよね。
生徒側の自己主張になってしまう。

もはやそれは小説ではない。
単なる小説の姿を借りたナルシスティックな自己実現です。

自己表現や自己実現を小説でやると最悪。
気がついていない大人も多い。
すでに葵ちゃんはそれに気がついている。
すごいよ。

この一言で上手にそれを回避している。
葵ちゃんは小説というものをよく知っている。小説は勝負ではないです。
小説を勝負、一発逆転と捉えている人がたくさんいる。
でもそれは小説ではない。

自分の世界を知ってほしい。
こんなのは、小説でも詩でもなんでもない。

唾棄すべきものです。

人に教えるということもそうですね。
生徒に自分の言いたいことを伝える、そう思っているエセ教師が多すぎます。

きっかけを与えること。
それが教師の崇高な役割です。

「この教師の授業はくだらないな」
そう思って現代文の授業中に、そのくだらなさに刺激を受けてドストエフスキーの『罪と罰』や漱石の『こころ』を読むこと。

それは、葵ちゃんの漱石第十二夜のような、一番星を点じたような、尊いきっかけなのです。

自分がくだらない授業しかできないから、この子は内職を始めてくれた。
どうかそこから、本当に自分に大切なものを見つけてね。

教師にはそう思ってほしいです。

であるならば、注意すべきなのは、寝てしまっている生徒だね。

とても論理的な、そして風景を写真で切り取ったような鮮明なインパクトのある小説でした。

みこおねえちゃんは感動したよ!
(^-^)

公立学校の教師という存在に煮え湯を飲まされたことがある人も世には多くありますが、そうした部分に単純に同調して批判しているでもない。

ここに、みこちゃんの異才が端的に現れていると感じます。

葵ちゃんの小説の中の、言の葉の一つに到る細部に、「責任」という言葉でもってそこを一体化させて論じてしまっているのです。

小説は言葉を扱う表現形式。
然れど、自分のために書くものではない。
書こうとする何かの先にいる誰か、読んでくれる人など、まだ見ぬ誰かや見知った誰かのために書くものであり、その意味で言葉とは遊ばせるものではない。

ならば、小説にこめられた思いというものは、そのまま扱われる言葉の一枝にまで至っている――批評、かくあるべしとの思いを新たにしております。

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第2回THE NEW COOL NOTER賞への、みなさまのエントリーをこころからお待ちしております。

■募集期間  ―― 令和2年12月1日~令和3年1月15日まで
■応募方法

#第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 」のハッシュタグをつけてください。
特定の部門へのエントリを希望する場合は、さらに「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 ○○部門」を付けてくだされば、各審査委員が拝見します(必須ではありません)。
※希望する場合は複数の部門への応募が可能です。

また、お一人様何作品応募いただいても構いませんが、授賞対象は1作品までとさせていただきます。
なお、過去作品でも応募可能です。その場合も、同様にハッシュタグをつけていただけるだけでエントリとなります。

よろしくお願いいたします。

参加者同士の交流の場所を設けてございます。
お気軽にご参加ください。

*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。

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