「ビバリーヒルズ・コップ: アクセル・フォーリー」はシニア向けコンテンツの最上級品だったこと。
おっかなびっくりだった「ビバリーヒルズ・コップ: アクセル・フォーリー」にはあっさり脱帽。ジェリー・ブラッカイマー(が決めたんじゃないかも知れないが)は、同時期劇場公開のバッドボーイズはFC進化の道を選び、こちらはノスタルジーで割り切ったんだと思ったりした。
いやぁ、なんというかシニア向けコンテンツの最上級品って感じだよ。
何せオリジン「ビバリーヒルズ・コップ」は1984年の映画だ。もう40年前だよ。23歳の若き天才コメディアン・エディが、ハリウッドスターに成り上がった大ヒット映画だ。シリーズは94年の「3」まで続いたが、その頃になるとエディはピークアウトしてキャリアに惑いが出てしまっていた。その後、歳をとってでっぷりしてきたエディは、シリーズの続編話が出たり引っ込んだり。同時代の熱狂を覚えているのはもう50過ぎ。そんなこと誰も覚えていない。それに今の若い子はエディ・マーフィがどれだけスターだったかを知る由もない。
そんな40周年(!)に、なんとNetflix製作で新作が完成しちゃったんだからそりゃ驚くわけで。
監督は無名のマーク・モロイ。オーストラリア出身でCMなどのキャリアがあるようだ。取り立てて映像に個性は感じられないので、とりあえず黙って働く人か。面白いのは脚本のウィル・ビールで、これが「バッドボーイズ RIDE OR DIE」も手掛けてる人だ。
話はカンタン。とっくに60歳を超えているアクセル・フォーリーは、なぜかまだデトロイト警察にいるんだが、相変わらずの無茶苦茶行動で周囲に迷惑かけっぱなし。そこへLAで起きた警官汚職事件で、またもノコノコとビバリーヒルズに向かうことになる。事件に関わる弁護士がアクセルの実の娘で、この親娘関係のこじれも物語の核となる。
昔のポリスアクションで死ぬほど見たよなプロット、それを当時のメンツで再演するって企画がとにかくものすごいイージーなんだ。でもそれがこうして実現されちゃうと、郷愁に駆られて胸が熱くなるんだから困ったもんだ。
ミッキー・ロークにそっくりに成長したジャッジ・ラインホールド(67)、76歳でしわしわのジョン・アシュトン、ポール・ライザー(67)、ブロンソン・ピンチョット(65)らを引っ張り出し、さらにジョセフ・ゴードン=レヴィット、ケヴィン・ベーコン、ルイス・ガスマンが豪華にサポートする。唯一のヒロイン、テイラー・ペイジだけよく知らんかった。
デトロイトの部長の部屋には亡くなった元上司の写真まで飾って“続編”の意識が高い。
凄いのは出演者だけでなく、音楽も頭から「The Heat Is On」〜「Shakedown」さらに「Neutron Dance」と、懐メロが流れれっぱなし。Axcel Fはもちろんテーマ音楽だ。おかげで一気に30年くらいタイムスリップする。
脚本には引退にまつわる会話が随所にこめられ、自分や家族の人生を重ね合わせる人も多いんじゃないか。40年前の中高生が、久しぶりに映画見たら、懐かしい連中がいまだに頑張って活躍してる…わかりやすいターゲットにわかりやすい作品を提供する商品提案。つまりこれは、「トップガン:マーヴェリック」とほぼ同じ作りなんだよブラッカイマー的には。日本だと「シティハンター」や「あぶない刑事」に似ている。
奇をてらわない、新しいことしない、そしてキャラクターを無闇に殺さない(大事ポイント)…なんか優しい時代だよな。まぁこれがサブスク見放題で提供されるんだから、文句は言えないだろうて。けっこう派手なので劇場でも十分イケるんだが。
吹替も豪華。今度見直すことあれば山ちゃんの声にします。
エディはこのままアダム・サンドラーみたいになってくのかしら。すでに「星の王子」はAmazonで続編作っちゃったし、「more48時間」「帰ってきたゴールデン・チャイルド」とか…あ、ヤバい、そんなのあったら見ちゃうな。
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