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『光る君へ』終盤の感想メモいろいろ
大河ドラマでは珍しくないですが終盤はやや消化試合のように薄まった印象で視聴意欲が落ちてしまい、感想を書いていませんでしたが、年が明けてからやっと最終回まで見終えたので簡単に振り返りを。(2024.1.13wrote)
彰子の出産はおもしろかったですね。ひっきりなしに続く大音声の祈祷、よりましに憑依して現れる物の怪。
護摩の煙がもくもくと立ちのぼる中、産室の仕切りの向こうに道長と倫子夫妻をはじめ、公卿や女房たちが勢ぞろいして一心に祈る。何のまじないなのか、頭に米をまいたりしてね。
大ごとすぎて喜劇的な色合いを帯びる、といった感じで描かれていました。
まひろと賢子との相克もこのあたり。
弟の惟規の急死がきっかけで母娘は雪解けになります。まぁこのエピソードもかなり薄味でしたけど、惟規って良い奴だったよね。
その後、伊周が病で死去。
道長や彰子を呪詛し続けてるの怖すぎたけど、呪詛しかやることがない人生哀れすぎる…という感想しかもてなくて、道長のライバルとしてはいろんな意味でだいぶ物足りない存在だったなーと。
野心あふれる三条天皇は、少女マンガの貴公子的な一条天皇と対照的に人間くさくて良かったです。役者さんが達者でしたよね。
道長との権力闘争ではまったく歯が立たず、目や耳まで病んで失意のうちに亡くなっていく。胸が痛みました。
道長の関心は社会の安寧や民の暮らしにあるのだけど、そのためには政治的権力を維持しなければならない。
結果として、娘(次女の妍子)を親ほどの年齢の三条天皇に嫁がせたあげく、その天皇を孤立させたり、彰子を恋慕していたのもあって敦康親王を強制的に排除したりと、次々と残酷な手を打つわけです。
道長の娘たちは、彰子が太皇太后、妍子が皇太后、威子が中宮にと、前代未聞の三后独占。
父・兼家をはるかにしのぐ権勢を手にして、有名な「望月の歌」に至る道長ですが、宴の席こそ華やかだけれど、どこか漂う寒々とした空気‥‥
兼家が詮子(吉田羊)を円融帝に入内させ苦しめたように、娘たち3人を苦しめる道長。光が強いほど影もまた大きくなる、という描写ですよね。
子どもの頃から、月を見上げては互いを思い合っていたまひろと道長ですが、いざ望月に達したとき、二人の心に通い合うものはなく、つくづく虚しくなったまひろは宮仕えを辞することを決意。
ここで色をなして引き留めるところがいってみれば少女マンガ展開。
うんうん今作の道長はそうでなけりゃね。
「賢子はあなたの子どもです」と打ち明け、ひとり部屋を出ていくまひろ。脚本家はこのシーンを書きたかったんだろうな、と。
身分が高く権力をもった男に振り回されるのではなく、自分の意思、自分のタイミングで男を振り払う女。
こうしてあらすじを振り返っていくと辻褄が合っているというか、ちゃんと流れてるなという感じなんですが、実際にドラマを見ていると展開が速く心理描写が薄く、なんとなく停滞している印象でしたね。
冒頭にも書いたように、大河ドラマの後半ってこうなりがちではあります。
賢子役の俳優はどこかで見たことがあると思ったら、「鎌倉殿の十三人」の大姫でした。今回は親王の乳母になる(=身分を考えると相当な出世)という概ね幸せな役。よかったよかった。
賢子と双寿丸の接近は、かつてのまひろと直秀のリフレインなんでしょうが、戯れ言めかしつつもまひろに駆け落ちをもちかけた直秀とは対照的に、双寿丸は賢子に恋愛感情はなく、一人で去っていく。
双寿丸は武者として遠くの国に行っても命を落としたりせず、賢子はひとつの失恋にへこたれたりせず多くの恋を楽しむ女性になるという、どちらも「新しい時代」を感じさせる造形になっていましたね。
4年ぶりにNHKドラマに帰ってきた伊藤健太郎。相変わらずセリフ回しが涼やかで華がある。
長くなってきたので最終回あたりの展開は次の投稿で。