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「ContractS CLM」という新しい社会インフラ構築をプロダクト開発の側面から支える面白さとやりがい。

開発部 エンジニア/テックリード
友野 敬大(トモノ アキヒロ)

ContractSでテックリードをしている友野です。普段は、バックエンドを中心としたアーキテクチャ設計や、設計レビュー/コードレビューによる内部品質の担保、ドメインモデリングなどをしています。今回は、プロダクト開発者の視点で、契約にどのように向き合っているかお話ししたいと思います。

ビジネスにおける「契約」とその「価値」とは

契約ライフサイクル管理(Contract Lifecycle Management=CLM)の価値の話しをする前に、まずはビジネスにおける契約の位置づけについて少し触れたいと思います。

ビジネスは一般的に企業間のヒト・モノ・カネ・情報のやりとり、すなわち取引の集合で構成されています。そして取引とは、当事者同士の約束によって成立し、民法においてこの約束を契約と呼びます。つまり、契約は、取引と表裏一体でビジネスそのものを表しているということになります。
契約を適切に扱えることは企業の健全な発展につながります。逆に、契約が適切に管理されなければ、ビジネスとして成立しません。ゆえに私達の事業の根幹であるCLMはビジネス発展の観点から非常に重要な概念と言えるのです。

エンジニアとして、この概念を具現化していくために「いかにCLMが扱う課題を特定し、プロダクトを通じて解決していくか」を常に考えています。

 この考えをより強くした背景に、実体験として、前職SIerでの新規ビジネス立ち上げのプロジェクトで起きた契約トラブルがあります。プロジェクトの肝となる知的財産利用に関する契約条項の認識相違で、想いがすれ違い、最終的にはビジネスが頓挫、疲弊してしまったというものです。序盤で関係各社の利害を整理できていれば…プロジェクトリスクを明確にしておけば…。

当時を振り返ると、まさに契約の問題を仕組みで解消するアプローチ=CLMがあれば、当事者間の認識を揃え、リスクヘッジしながらもビジネス発展に大いに寄与したのではないかと身をもって痛感しています。
そのため「ContractS CLM」に出会った当時から「契約と取引は表裏一体でビジネスそのもの」という考え方は違和感なく腑に落ちました。
 ”契約のライフサイクルを管理する”という世の中にとっては新しい価値でありながら、実はほぼ全ての企業が避けては通れない重要な問題だと、実体験から私自身も強く感じています。

CLM市場とプロダクトへの要求

多くの日本企業において「契約を一連の流れも含めて可視化・一元管理すること」の必要性を認識し始めたのはごく最近のことではないかと思います。創業当初は、まだ「CLM」という言葉はあれど、全く認知されていませんでした。

 契約は締結して終わりではなく、締結してからが履行の開始、すなわち契約のライフサイクルの始まりでもあります。契約の更新や見直し・満了、そしてプロジェクトや取り組みが進むほど、また新たな契約が発生します。これら一連の流れがCLMであり、ビジネスが時間を追って成長していく中で増えていく契約を、適切にマネジメントしていくことが契約業務の重要な関心ごとのひとつです。

契約業務と一言でいっても多くの登場人物や情報、複数のプロセスから構成され、さらに個社ごとにそのプロセスが異なります。契約DX市場を見渡せば、契約書のAIレビューや電子締結を始めとしたポイントソリューションは多く存在します。ポイントソリューションが特定課題を深く解決するのに対して、CLMは扱う問題領域の広さが特徴です。それをどのようにサービスで表現するのかが目下の関心ごとです。

契約業務は法務部による審査や事業部による締結などそれぞれの立場で一部のプロセス(業務)に着目して行うことが多く、契約全体を俯瞰せずとも業務を行うこと自体は可能であり、課題が顕在化しにくいのが実情です。複数のプロセス間の適切な連携を実現できれば、CLMの価値は最大化されますが、CLMがこれまで市場で認知されていない新しい領域であるがゆえ、明確な答えはありません。

プロダクト開発においては、市場の反応を見ながらクイックに対応していく、顧客のフィードバックから学習してプロダクトに取り込んでいくといった、修正性(変更容易性)が強く求められつつも、スピード感を持って検証を繰り返していく難しさがあります。まさにここがエンジニアとしてのやりがいです。直近ではこれらの非機能要求を実現するためのリアーキテクティングを進めています。

モデリングの難しさと面白さ

フィードバックをそのまま反映させるだけでは、CLMが扱う問題領域の広さゆえ、全体の整合性を維持できなくなる可能性があります。不確実性の高いCLMの解像度を高めていくためには、顧客のフィードバックと同じくらいモデリングが有効と考えています。

契約業務の代表的な概念として契約書があります。紙の契約書を扱う場合は、契約書そのものに審査、承認、署名・押印、回覧を行います。言い換えると、契約書という一つの概念がすべてのプロセスで使われているということです。当初はこれに則って契約書のステータスの状態遷移としてモデリングをしていました。検証と学習を繰り返していくうちに、例えば、作成中の契約書は承認完了日は不要ですし、締結済みの契約書は繰り返し締結できません――つまり、契約フェーズが異なれば、必要な情報ややるべきアクションも異なるという考えに至りました。さらにその時々で関わる部署や人間も異なり契約フェーズによって契約書そのものの概念の捉え方も変わってきます。やればやるほど新しい発見と表現の難しさを感じます。

これまで関係者同士のメールや口頭などのコミュニケーションによってコストをかけて行われてきたことを、プラットフォームで一元的に解決できる課題に落とし込む、まさに未開拓領域に先陣を切っていく感覚です。短期的な解決方法だけではなく、市場に切り込んでいくために中長期的に本質的な価値を模索し続けています。たとえ今すぐ必要なことではなくても、来るであろう未来を議論しながら、様々な可能性を考えてモデリングを行っています。ベストプラクティスが存在しないからこそ、難しさもありまた面白くも感じる部分です。

新しい社会インフラをプロダクトで実現

契約は企業規模・業種問わず存在し、あらゆるビジネスが契約から成ることを考えると、CLMはあらゆる企業に価値を提供すると言えます。すなわち、CLMの解像度を高めていくことは、顧客に提供する価値を高めていくことにもつながります。

業種・規模・継続年数を跨いで契約で接続するCLMは新しい社会インフラとも言える、非常に社会貢献度の高い事業領域です。煩雑な契約業務と関連情報を一元管理することで、よりビジネスの本質と向き合う機会を創出します。さらにその先には、より多くの契約にまつわる課題を解決するため、他サービスとの相互運用性を高めた唯一無二の契約プラットフォームを目指しています。最近では他社電子締結サービスのみを利用している一部顧客からCLMに切り替えたいという相談案件も増えています。

CLMという高いポテンシャルを秘めた新しい社会インフラ構築をプロダクト開発という側面から支える、支えてみたいというエンジニアのみなさまは大歓迎です。課題に共感し、新しい社会インフラ構築に一緒に挑戦してくれる仲間を募集しています。

▼ContractS株式会社


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