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これぞ日本の寿司屋のおもてなし

9月に後輩たちにお祝いしてもらった私の誕生日。
その誕生日会の景品として
「しみずと2人で寿司を食べに行ける券」
というのを昨年から採用。
20名ほどいる参加者の中で1人だけ私とサシで寿司が食べられるという何とも傲慢な景品。
今回の当選者は21歳のイケメン男子。
前回の記事はこちら↓

私のオンラインミーティングの予定が重なり、ちょっと遅めの20時スタート。
3ヶ月に1回くらい行く豪快な大将がいる馴染みの寿司屋のカウンターを予約。
カウンターは4席、隣には年配の夫婦が食事をとっていた。

「回らない寿司初めてです」
21歳のイケメンは看護学生。
「学年で男子何人いるの?」
「80人中3人です」
「好き放題できるね」
「もう男子として見られていないですよ」
「そんなことないでしょ」
「3ヶ月前まで同級生と付き合っていたんですけど別れちゃって。そこから気まずいです」
「それが原因だろ」
くだらない話と刺身でお腹と心を満たしていく。

「this is さんま!」
「oh~さんま」
大将が隣の夫婦に焼物を渡す。
なぜ英語?しかもめちゃカタコト。

隣の夫婦を改めてみると日本人ではなくアジア系の方っぽい。
スマホのアプリを使いながらなんとか大将と会話しようとしている。
「ah,What this fish 〇 △ …」
「なんて言っているの?」
「わかりませんね」
大将と私が会話する。

「英語できるっしょ、通訳して」
隣にいるイケメンに無茶ぶりをする。
「できるかなあ、Hi,my name is …〇△×」
「Oh,good、Im from HONKON」
おい、イケメン、ペラペラじゃないか。
「香港出身でロンドンに住んでおり、よく日本に来られるそうです。ロンドンではご主人さんは企業法務担当の弁護士。ロンドンだとこの料理だと4倍くらい値段が高いらしいです」
私を飛び越えて夫婦と会話するイケメン。
ただただ聞いている私と大将。

しかし大将はなぜかそこに参戦。
「これ、え・ん・が・わあ、ヒラメ」
イントネーションを変えただけですよ大将。
ヒラメの踊りをしながらエンガワの握りを提供。

笑う夫婦。

「This しょうゆ、ガリ、モッテ、つけて、すしに、塗る」
完全に日本語ですよ大将。
だけど何となく夫婦に伝わる。
「どこに泊まっているの?わかった、ピンポン!●●ホテル!」
昔のテレビのイントロクイズで流行っていた早押しのように、左手でボタンを押し、右手を頭の上に上げ、早押し札を表現する大将。

大盛り上がりの夫婦。
最後、我々も一緒に写真を撮り、夫婦は満足して店を出ていった。

「東京では外国人だと値段を上げる寿司屋もあるみたいだけど絶対にやっちゃいけないよなあ。日本がそんなもんだと思われる。」
熱い大将がなぜか我々にいつも以上に熱く語る。
「喜んでもらわないと。海外から日本に来て、美味しいものを安く食べれて、あそこの大将、変な踊りをして面白かったって思ってくれたらまた来てくれるし周りにも発信するって。日本好きな人が増えるって。昔、海外行くと日本人がぼったくられたとよく聞いたじゃん。日本人金持ちだと思われていたから。今日本人が海外の方からぼったくってやろうという心が貧しい人が増えてきているのが悔しいね」

大将、熱いぜ。
本当にそう。
日本人の特有の不器用だけど真面目で誠実、という心を持たない人が増えてきているのだろう。

「これサービスですのでどうぞ」
熱くなった大将の横から落ち着いた奥様が日本酒を出してくれる。

こういうおもてなしこそが日本文化だ!

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