事業再構築補助金のポイント
コンサルタントを行っていると補助金についての相談をよく受ける。とくに小規模事業者持続化補助金は小規模企業が使いやすいので僕も支援をする際によく紹介するし、作成支援を行います。
今年に関してはコロナ関連の対策として色々な補助金がその枠を広げて活用できるようになっており、IT補助金やモノづくり補助金、非接触型コロナ対策、などなどありますが、目玉はやまり事業再構築補助金です。
事業再構築補助金とは
https://jigyou-saikouchiku.jp/
基本的な要件は経産省の上記のページをみて頂ければいいのですが、4月末で終了した1回目の要綱にはなく、6月1日にUPされた新しい要綱や6月4日にUPされた手引きなどから、今後、2回目(7月2日締め切り)、3回目、4回目の募集に向けて結構重大な変更があったので、まとめてみました。
事業再構築補助金の目的に沿え!
今回の要綱の変更で大きく感じたのこの補助金の目的が、事業再構築であるという事です。よく、相談としてなんか補助金使えますか?とか事業再構築補助金でお金欲しいんだけどどうしたら良いですか?なんてことがあり・・・・安易にお金をもらえるって感覚で補助金に申し込む人が多かったりする。多分1回目もそんなのが多かったのでしょう。補助金締め切りから1カ月がたった時点で、すでに2回目の募集が始まっているこの状況で要綱を改定する意味を考えるとそんな感じがします。
特に、【売上10%要件と売上高構成比要件】は事業再構築しろってことなのでしょう。
そもそも事業再構築補助金の目的とは、既存の事業が立ちいかなくなった、上手くいかなくなった(売上減少10%の要件)ので、新しい事業に業種、業態、組織変更をしたり、または新分野に進出して事業を再生させていきましょう。ただ、大がかりな組織変更や新分野進出はコストがかかるので、そこまで頑張るのなら、補助しましょうというコンセプトです。
そしてその補助の内容としては、大がかりの変更は設備投資かかるよね?ってことで設備投資資金が大半でないと計画が認められなくなっている。
事業をやめるなら金返せ!
大げさにいうとこういう事なんですよね。10%ルールなどについては計画上でどれだけしっかりと組み上げられているか?ということが問われており、仮に10%を超えなくても返却をさせられることはないけど、事業をやめる場合には簿価を前提に返却しろって言っています。
※よくある質問 その他 事業が履行できなくなった場合
残存簿価相当額等により、補助金交付額を上限として返還を求めます。
新規要件を考えよう!
事業再構築は5つの分野【新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編】に分けられますが、事業再編だけは企業の形を変える必要があり、それ以外の4つは新規要件が大事になります。
新規要件は主に3個
①製品等の新規性
②市場の新規性
➂製造方法の新規性
が挙げられており、①は絶対要件で、②は又は➂が分野によって求められることになります。この要件を満たすためには6月4日発表された事業再構築指針の手引きで確認することが大事です。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf
ここで今まで大きな変化がありました。
細かく、新規性を認めない例が書かれているのです。
●製品の新規性
例)自動車部品を製造している事業者が、新たに製造が容易なロボット用部品を製造する場合。
●市場の新規性
例アイスクリームを提供していた事業者が、新たにかき氷を販売するが、単純に従来の顧客がアイスクリームの代わりにかき氷を購入することを想定する事業計画を策定した場合、市場の新規性要件を満たさないと考えられる。
●製造方法等の新規性
例)衣料品販売店が、従来の商品を単に既存のECサイトを用いて販売網を拡大するなど、新たな設備投資を伴わない場合。
●その他の業態転換の要件を満たさない場合
例)飲食店が、例えば、新たな商品を提供することも設備の撤去を行うこともなく、単にテイクアウト販売を新たに始める場合。
この辺の項目は非常に重要ですね!
ネット販売始めただけとか、テイクアウト始めただけ、簡単な新製品では新規性は認めないと言っている訳です。
この辺の文章からも事業再構築しろって意思が明確に伝わってくる感じが致しました。
留意事項に注意!
手引きの10項目目(p28)に留意事項があります。
●計画の策定に当たっては、まずは自身で御検討いただいた後、認定支援機関 や金融機関に相談してください。
●本資料に掲載している事業再構築の要件は、申請に当たって留意いただく事項です。採択されるためには、これらを踏まえた上で、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。
●本資料に掲載している事例は、「事業再構築指針」の内容を具体的に事例に置き換えて説明したものであり、経産省が推奨する事例ではない点について留意してください。
●したがって 、本資料の例と同じ事業再構築の計画を策定した場合でも、審査等によって不採択となる可能性は十分にありますので注意して下さい。
なんて書かれている。
後出しのエクスキューズですが、たぶん6-5に書かれていた【ヨガ教室のオンライン】にするに対する対策な感じがしますね。
製造方法への新規性とか、商品の新規性とか、ものすごく細かく注釈されてますもんね。
特にヨガとエアロビクスは、異なるサービスであり、定量的に性能又は効能を比較することが難しいことを示すことで要件を満たす。というかなり無茶ぶりが書かれている。
審査基準はここから!
実は売上減少や新規性はあくまでスタートラインに立つための条件であり、ここから審査が始まるのです。スタートライン立つだけでも厳しいな。
審査で大事になってくるのが募集要項。
https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf
募集要項には審査についての注意点とか、重要ポイントとか、しっかりと書かれています。P24から事業計画作成における注意事項や審査項目は熟読が大事。
例えば事業計画書のページ数は1500万までは10P以内、それ以上は15P以内と書かれています。ここまで具体的に書かれている項目は守らないと大きく減点されますし、それ以外にも【補助事業の具体的取組内容】の項目には『可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。』※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。と書かれている。つまりスケジュールはガントチャートなどを活用して詳細に伝えないといけないわけです。
こうした具体的に記載してくださいは努力目標ではなく、絶対事項と思っておくことが大事です。
P28の審査項目・加点項目は要チェック
他の事業計画と差を作るのが、加点項目。加点してもらうように事業を伝えるのが大事。
●再構築点
①事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
②既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。
③市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。
④先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か
この辺のポイントがどれだけ抑えられているかが合否の分かれ目ですね。
まとめ
事業再構築補助金の相談を受けるときに、こうしたらどうですか?なんて既存事業のちょっと見せ方を変えるとか、関連事業を始めるなどで、新規性要件の相談をされる。これはこれで可能性はあるとは答えますが、やっぱり事業計画の審査項目で加点が難しいな~と思います。
それでも、高いお金払うと申請書の代行業者はなんだかんだでまとめてくれるんで、それで補助金が受けられたら恩の字なのかな。
経産省は事業計画づくりをものすごく後押ししているので、計画書づくりをしっかりとすることが、補助金申請の第一歩となります。
補助金に囚われず、事業再構築をするべきか経営計画の検討からするのが、本筋なのでしょう。