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プロセスエコノミーってなんだ!

少し前からプロセスエコノミーってのが話題になっている。〇〇エコノミーって言葉は、〇〇についての経済的な仕組みとでも言えば良いのか、新しい価値観だったり、考え方を総称するときに使われる。(と思っている。)

例えばシェアリングエコノミーなんてのもある。

シェアリングとは共有するってことで、所有ではなく使用するという経済的な仕組みである。今まではモノは購入して使うという考え方が主であった。それは所有にステータスがあったから。でも今は所有ではなく使用して初めて価値がでると考える人が増えたから、売り買いではなく、使用料って形で利益を出す仕組みが生まれてきた。カーシェアリングとか、モノのサブスクとか。こういう考えを総称してシェアリングエコノミーなんて言うわけだ。

そんなプロセスエコノミーなんだが、簡単に言ってしまえば過程を経済的な仕組みにしましょうってこと。

色んなものの商品やサービスの質が上がってきたときに、機能的な部分での差がなくなってきた。だから過程にお客様を参加させることで満足度を上げましょうって考え方。

ちなみに商品・サービスそのもので勝負する考え方を『アウトプットエコノミー』なんて言っていたりもする。

キングコング西野氏の説明

キングコングの西野さんはそれを説明するのにレストランではなく、BBQなイメージって言ってた。これはアウトプットエコノミーとの対比をわかりやすく説明しようとしたもので、レストランのように注文したら完成されたものが出てくる形態と、注文しても肉とか野菜とかそのまま食べられるものが出てくるわけではなく、焼くという過程を一緒に楽しむという形態を対比して説明していたもの。完成した商品ではなく、お金を払ってまで作業をするけど、満足度高いじゃんって説明してます。

プロセスエコノミーの起源

プロセスエコノミーはけんすうがNOTEで提唱したものです。詳しくは下記参照

プロセスエコノミーの紹介した書籍

正直、プロセスエコノミーについてはこの本を読めば理解できます。(笑)いや、本当に丁寧にわかりやすく書かれているんです。

プロセスエコノミー(書籍)の概略

1章 なぜプロセスに価値が出るのか
なぜ、アウトプットだけでなくプロセスに価値が生まれるのかを、時代背景やマーケティング理論、心理学的な視点などから説明されています。
●一言で言えばプロセスがお金になっているよってこと。

2章 人がプロセスに共感するメカニズム
オバマ大統領の演説などを事例に取りながら、プロセスが人を引き付ける仕組みを説明しています。
●一言で言えばプロセスって面白いよねって感じ。

3章 プロセスエコノミーをいかに実装するか
プロセスエコノミーを取り入れるために知っておかなきゃいけない知識を具体的な理屈で説明しています。
●一言で言えばプロセスエコノミーのコツ!

4章 プロセスエコノミーの実践法
ジョブズの『Think Different』という広告キャンペーンで語ったことやTEDについてなどを事例にプロセスを公開する上での『WHY』の重要性を説明しています。
●一言で言えばプロセスで引き付けるポイント!

5章 プロセスエコノミーの実例集
実際にプロセスエコノミーが成功している事例の紹介。

6章 プロセスエコノミーの弊害
実体のないプロセスは身を亡ぼすってことが色んな事例をもとに書かれています。
●一言で言えばプロセスだけじゃだめだよってこと。

7章 プロセスエコノミーは私たちをどう変えるか
プロセスを楽しむことの重要性についてときめき片付け術のこんまりさんの事例などで説明しています。

西野さんとかホリエモンとかの説明を表面的に聞くと危険

セミナーなどで西野さんなどのサロンに入られている方と話をする機会が何度かあったのだが、このプロセスエコノミー理解せずに持ち出す方がいたりする。
※西野さんが悪いのではなく、西野さんの説明を本質まで理解していないって話。

ブログなどを読んでいると、しっかり説明していて、何か新しい考え方を紹介するときに相手の知らない言葉を並べると急激に理解が出来なくなるから、できる限りわかりやすくイメージしやすいものに置き換えて説明する。完成品で勝負するのをレストランと設定すると、同じ食事を提供するでもプロセスを楽しませるって意味でBBQ型と定義しています。

このノートを書こうとおもった理由

さて、前置きが長くなったのだけど、このプロセスエコノミーって考え方は非常に大事だと思っている。よくマーケティングの説明のなかにマズローの5段階節の話を入れるんだけど、ターゲット分析をする中で今の一般的な消費者は生理の欲求、安全の欲求、所属の欲求まで満たされていることが多い。すると高次の欲求に向かっていくわけで承認欲求とか、自己実現欲求を満たしたくなる。

参照:https://ferret-plus.com/5369

そのときに商品を購入することで得られるブランドとかステータス的な自己実現よりも、自分が作った、参加したって欲求だったり、自分の好きな組織の中で貢献したいって欲求が生まれてくる。この欲求を満たすためにプロセスエコノミーという仕組みはわかりやすいし、ものすごく有用である。
ただ、その反面で第6章で語られている弊害を無視している事が多々あり、その危険性を理解していないことが残念で仕方がない。

間違い① プロセスだけに価値はない。

よくある間違いとしてプロセスをSNSで積極的に出していくことが大事と言われている。ただ、プロセスエコノミーの前提は商品力で差がつかなくなった中で、どこで差別化を生むかと言えばプロセスにある。だからそもそも商品力が劣っているものをプロセスで挽回できないんだよね。
商品力とかサービス力とか、大前提に優れている必要がある訳だ。

エベレスト登山でなくなってしまった『栗城史多』氏を例に説明しており、プロセスが肥大化した結果、無謀なチャレンジに向かってしまっていて、期待される行動とやれることにギャップが生まれていった。炎上系YOUTUBERも同じだよね。

間違い② プロセスを公開することが大事ではない!利益をだすことが大事。

マーケティングとは『売れる(目的を達成する)仕組みづくり』と言われている。〇〇エコノミーとは、顧客の動向をひとくくりにまとめてマーケティングに落とし込む考え方である。だから、売れなければ(目的を達成できなければ)意味がない。
プロセスエコノミーがなぜ価値があるのか?それは売れる(目的が達成できる)から。そしてプロセスエコノミーの要って『プロセスを公開すること』ではなく『プロセスに参加させる』ことである。
SNSで公開しているからプロセスエコノミーではない。公開していくことで、プロセスから収益(投げ銭など)を得たり、セカンドクリエイターを育てて販売促進(売り上げの貢献)をお客様にしてもらえるからである。

勿論、卵と鶏になってしまうのだが、公開をするから利益を得られるわけで、公開しなくては始まらないが、公開が目的になっては意味がない。

間違い③ 楽しいことをすれば成果になる

第7章でプロセスエコノミーは私たちをどう変えるか、で『こんまり』さんのエピソードがあり、片付けを楽しむことと、そのメソッドを公開していくことで、成果が上がったと書かれている。この話だけをとれば、楽しいことをして、その姿を公開していくことがプロセスエコノミーであると読み取れてしまうが、それ以上に大事なのは第6章で書かれている。Will Can Must の順番を間違えない (P156)ということである。
西野氏は好きな事をやっていてうらやましいと言われるが、そのために膨大なしなければならないこと(Must)をしている。

これはものすごく重要なことで、やりたい事(Will)できる事(Can)やらなければいけない事(Must)という3つの仕事のカテゴリーがリクルート発のメソッドとして紹介している。Must(しんばければいけない事)をしているうちにCan(できる事)が広がり、次第にWill(やりたい事)が見えてくると言われています。
まさにその通りで、創業段階や経験がない時にWill(やりたい事)しかやろうとしなければ、Can(でいる事)がひろがらないから、 経験が増えない。やりたい事だけをやってプロセスを公開していても一向に成果が生まれないのである。
実際によくあるのが、Will(やりたい事)のためのMust(しなければいけない事)を嫌がることである。
わかりやすく言えば飲食店をやりたいけど、トイレ掃除はしたくないみたいな話。飲食店の業務のなかにはトイレ掃除も入っている。普通に〇〇やりたいと創業の相談を受けるが、アドバイスをすると、それはやりたい事ではないと言い切ってしまう人がいる。

世の中には確かにWill(したい事)だけで成功になる人もいるが、Will(したい事)と言っているなかにMust(しなければいけない事)が含まれていたり、無意識にMust(しなければいけない事)をしている。

まとめ

こうした新しい考え方とか、やりたい事をしていれば的な考え方って耳障りが良い分、毒にもなる。プロセスエコノミーって考え方はお客様との接点の作り方、売り上げの上げ方、マーケティングミックスを構築する上での販売促進としてなど本当に有用である。
ただ、自分本位にとらえてしまうと効果があるどころか、毒になってしまうので第6章の弊害についてをしっかりと押さえてほしいと思います。


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