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【詩】Hi melody.

物語を語る

その物語に無為で静かな息づかいがあれば

人は耳を澄ます

ただそこにある風であったり

目に焼きついた陽の光だったり

留める事の出来ない無数の息づかいは

纏まることを嫌い

そうであるから

僕らは物語に思いを馳せる

語るべき時に語れないのは嘘になる

年老いてあらゆるものが乾ききってしまうと

語るべきことが億劫になってしまう

まるで渇いた口びるで愛を囁くのが億劫なように

僕がある物語を語ろうとするならば

端々のほころびを気にしてしまい

まともには語れないかもしれない

どれだけのことが真実であったのか

僕は本当に覚えているのだろうか

組み替えられた思い出や

差し替えられた憂鬱に

僕は今でも挫けそうになる

話した誘惑に邪悪な響はなく

だからこそ僕は貫かれた

善意は地球を一回りする間に

ペラペラの薄くて真っ白な無毒なものに変わる

でもね

そんな毒っ気を失くしたオブラートみたいなぺらぺらしたものが

僕たちを最後の最後まで放そうとはしない

それはいつでも背中から神様のように見ている

繊細な微熱に導かれ

とても古い祖語に隠された刻印が消しかけた記憶を作り替える

僕らにしか分からない予言を遂行する様に

僕はスイッチを切った

元に戻そうとしてはいけない

僕は黙っていた

時間を乖離した

とても純粋な流れが辺りを包み込んでいた

信じられないくらい優しい風が

窓の外を流れてゆくのを見ていた

始まりなんてものはなく

黄昏時がかわるだけ

始まりの唄は君にだけ

よく似合う

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