戦争の極意から学ぶ「試合の勝ち負けを分けるポイント」④戦闘力の集中
戦争の極意から学ぶシリーズ4つ目は「戦闘力の集中」。
参考文献:「戦術の名著を読む」木元寛明
「戦術の名著を読む」によると、戦闘力の集中は、古来、陸戦における戦勝の決め手として重視されていた。
戦闘力はどれだけお金があっても、人が多くても有限である。
その限りある戦闘力を最も有効に発揮する為には「戦闘力を集中」させる必要がある。
相手と比較をして、戦闘力が全体的に劣っていたとしても、戦闘力を集中させることで勝利を分けるタイミングや場所で相対的優位性を作りだすことができる。
それでは、具体的にどのように戦闘力を集中させるのか。
主に方法は3つある。
①戦闘力の求心的行使
②戦闘力の偏心的行使
③各個撃破
①戦闘力の求心的行使
中心に向かって戦闘力を集中させることを指す。
サッカーで言うと、ボールを持っている人に対して3人で囲んで、ボールを奪うなどが分かりやすい例である。
一般的には人数などを多く割くことが出来るという意味で、強者の戦法である。
②戦闘力の偏心的行使
これは、求心的行使の逆で、中心に存在する力を円周上の1点に向かって集中することで、態勢的には受動的で、守る側の戦理である。
囲まれてはいるが、目の前にいる人を一人ずつ倒していくことで打開する。
3人に囲まれているということは、他が手薄な可能性が高い為、上手くかわすことでチャンスを作ることができる。
③各個撃破
各個撃破とは戦闘力の偏心的行使を活用した戦法である。
その目的は1敵に対し局地的に優勢を獲得して、各個に逐次に敵を撃破し、全体の勝利を得ることである。
本質的には劣勢の方の戦法であり、敵の行動に応ずる戦法だ。
ちなみに「戦術の名著を読む」によると、強者の戦法を代表する米軍のマニュアルでは各個撃破は重要視されていない。基本的には、米軍は戦力が相手を上回ることが前提とされるからである。
このように、戦闘力が相手に比べて劣る場合、相手に数的優位を作られる機会は多くなるが、そこで慌てることなく、目の前の相手を一人ずつ倒していくことで、打開し勝利することで、全体の勝利を得ることが勝利の為の戦術である。
ただ、いくら各個撃破を続けていても、どれだけ続ければ勝利をすることができるのか?
1回や2回勝ったとしても、全体の勝利に繋がるとは限らない。
そこで重要になる考え方が「戦闘力の限界」なのである。
今シリーズ最終回「戦闘力の限界」で紹介したい。
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