「集客力」とはなにか?②~ベース票と埋める力~
前回、「集客力」を考える上で重要な「入場者安定度」という測定項目についてご説明しました。
※その記事はこちらです。
今回は、もう一つ大事な考え方をご説明したいと思います。
それは「ベース票」と「埋める力」です。
今回もBリーグチェアマン島田慎二氏の著書「最強のスポーツクラブ経営バイブル」から参考にさせて頂きました。
前回、「入場者安定度」や「平均入場者数」を改善することが、「集客力」のあるクラブになるために重要なことがわかりました。
しかし、どうやって改善するのでしょうか?
その上で必要な指標が「ベース票」と「埋める力」なのです。
「ベース票」とはその名の通り、ベースとなる観客です。
毎試合観戦するファンや、シーズンの7~8割観戦するというファンを中心とした、新しい告知施策など大きなパワーをかけなくても毎試合来場してくれる観客数を「ベース票」と言います。
お店であれば常連さんですね。
毎日決まった時間に来て、買ってくれるお客様です。
そして「埋める力」というのが、ベース票だけでは満員にすることができない場合、満員との差分を「埋める」力のことを言います。
例えば、人気タレントやキャラクターとコラボしたイベントを行ったり、チケットの割引を行ったりなど、普段あまり来場しないファンにも来てもらうようにパワーをかけて、満員を目指します。
ベース票が高ければ高いほど、パワーやコストをかけずに集客ができます。
そのベース票が満員の人数に近いのであれば、それを維持することにパワーをかけていれば良いのです。
もちろん、ベース票の中には「イベントが無くても、どんな状態でも観戦する人」もいれば、「常に面白いイベントや楽しみがあるから毎回スタジアムに行く」という人もいます。
ですので、ベース票があるからといって胡坐をかいて良いわけではありませんが、満員を埋める施策よりはパワーやコストをかけずなくて済むことは間違いありません。
反対に、ベース票が低い場合、「埋める力」が必要になります。
満員からベース票が、離れれば離れるほど、パワーやコストをかけて施策を打ち出し、集客しなくてはいけません。
このようにこの「ベース票」と「埋める力」を軸に、今クラブがどういう立ち位置にいるかを把握し、どちらを改善するフェーズにあるのかを理解することが、施策を検討する上で重要となります。
ベース票が低いのであれば、来場回数を増やす為にどういう施策を打てば良いのか考えましょう。
ベース票はある程度増えているが、満員にはまだ差分が有る場合は、新規層が来場してくれる施策を考えましょう。
ここで勘違いしてはいけないのは、「ベース票」を伸ばすことと、「埋める力」をつけることは相反するわけではない、ということです。
埋めるために行った施策が、ベース票を伸ばすことにもなります。
ベース票を伸ばす施策が、新規層を増やすこともあります。
むしろ、「ベース票」「埋める力」を統合的に考え、施策を検討することが、「集客力」をつけることになります。
ただ、ベース票がまだ十分ではないのに、単発的な取り組みを行い、一時的に観客を増やすことは、良く考えられた施策とは言えません。
自分達のクラブの「集客力」を「ベース票」と「埋める力」に分けて考えようというお話でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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