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東京オリンピックは成功だったのか?失敗だったのか?

盛り上がりを見せたオリンピックもついに閉会式を迎えました。


開会式前はやるべきかやらざるべきか、賛否両論ありました。

今でもやるべきだったのかどうかはわかりませんし、答えもありません。


ただ今回の東京オリンピックが成功したのか、失敗したのかはちゃんと考えなくてはなりません。


開催中の盛り上がり、視聴率、メダルの数、コロナ禍の開催において特に大きなトラブルが無かった点などを考えると成功だったように思えます。

しかし、開催期間中の出来だけではなく、開催してから数年~数十年単位でオリンピックが成功だったのか、失敗だったのか見ていくべきなのです。



その成否の判断材料に「レガシー」という考え方があります。

(参考:スポーツイノベーション 間野義之編著)


「レガシー」とはラテン語で「ローマ教皇の特使」を意味します。

キリスト教普及の為に、普及させたい土地にローマ教皇は特使を派遣し、教会を建てたり、聖書を置き、ミサをします。

そうすることで、全員がキリスト教徒になるわけではないのですが、ローマ教皇の特使が去った後、その土地に住む人々には、最先端の技術や文化が身に付き、生活や暮らしのステージが上がるのです。


これをオリンピックに置き換えてみると、オリンピックの為にスタジアムを建てたり、インフラを整えたり、あるいは競技を多くの人に見てもらう機会があることで、その国や国民のステージがあがるということになります。


むしろ、このようなレガシーが無いということはそのオリンピックは失敗だったと言えます。

実際、過去にもメキシコシティやミュンヘン、モントリオール、モスクワで開催したオリンピックにはネガティブなレガシーを残したといわれ「四つのM」と非難されたこともあります。



では具体的にレガシーというのはどういうものが考えられるでしょうか。

大きく二つに分け、有形・無形のレガシーがあると言えます。


有形のレガシーはスタジアム・アリーナ・競技場などのスポーツ施設や、高速道路などのインフラ設備、新幹線などの開通などが挙げられます。

これらは目に見えるものなので、分かりやすいでしょう。


無形のレガシーは文化、経済、環境、教育、都市化などが挙げられます。

これらは、目に見えず、変化に時間がかかるものもある為、分かりづらいかもしれません。


これを前回の東京オリンピック(1964年)で考えてみましょう。


代表的な有形レガシーとしては新幹線の開通、高速道路の整備、競技場の建設などがありました。

無形レガシーとしては、経済発展、スポーツ競技力の向上などがあります。

また選手村の警備を担当することになったセコムは東京大会を景気に発展することとなりました。


このように、前回の東京オリンピックを開催した1964年は、戦後復興真っ只中でもあり、有形・無形レガシーの恩恵を背景に、見事な経済発展を遂げました。

そういう観点から考えると、前回の東京大会は成功だったと言えるでしょう。



それでは本題に入りましょう。

2020年東京オリンピックは成功だったのか?失敗だったのか?


上述した通り、前回の東京大会とは大きく状況が異なります。

何故ならば、日本は既に経済発展を遂げており、インフラや施設は整っています。オリンピックのおかげで何かを得たという感覚はほとんど無いかと思います。


つまり、今回考えるべきポイントは無形レガシーをどれだけ残せそうかということになります。


その無形レガシーとは?


私は「スポーツ文化の醸成」だと考えます。


今回、様々な競技がオリンピックで盛り上がり、応援していたかもしれません。しかしそれが一時的なものであっては意味がありません。


今回のオリンピックを機に、「見る」「する」「応援する」がいかに生活に根付くか、定着するかが重要なのです。


今回オリンピック開催を機に新たに施設を建設したり、多くの人に知ってもらうことができた競技がたくさんあります。


それを今回だけに終わらせず、いかに生活に根付かせられるか。

それが今回の東京オリンピックの成否を判断する材料になると思います。


つまりスポーツ業界で働く我々にかかっているのです。


スポーツが人々にとって、より身近な存在になっているか?

そしてそれが人々の生活を劇的に向上させているのか?


これが、今回の東京オリンピックの成否を考える上で重要な点だと考えます。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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