時間旅行者レポートVol.26 note de 小説
夕日がとてもきれいだった。
ここ伊勢志摩のリアス海岸は
この国の
夕日のきれいな場所100選
だという。
たしかに美しかった。
パリで見たセーヌ川沿いに
みた夕日も美しかったのだろうが
あのときは常に強烈な不安が
あったので美しさを思うことは
出来なかった。
ここはサミット会場の
Shima-Kanko Hotelの
最上階。
ボクが宿泊する部屋の上が
ベイスイートだという。
ぼくのかたわらでは
いま08が部下たちとの
連絡に余念がなかった。
かれの部下から
たくさんの連絡が入っていた
チーフ
現在、近鉄賢島Bahnhof(駅)に
アメリカ大統領が到着しました。
こちらは定刻通りです。
しかし
10分遅れで同駅にフランス大統領が
到着です。そのまま一行はホテルに
向かう模様です。
ウェアラブル端末の時計から
各国首脳の到着の様子がながれてくる。
「Dr.オリバー、あなたは
この人たちと会談するんですよ。
緊張なさってますか?
まぁ、そうでしょう。
でもご安心ください。
わたし08が後ろに控えています。
あくまでもあなたは
我らDimentionZ社の代表です。
放っておいたりしませんよ」
とにこやかにいう。
ただ当のボクは内心穏やかでは
なかった。
いままで貧乏医大生だったこの
ボクがその国のトップと
面と向かって話し合うことなど
予想だにしないことだからだ。
子供たちとの楽しいひとときとは
性質がまるで違う。
前にも述べたが、これは
大人の利害関係が大きく絡んでいる。
下手なことをいおうものなら
何もかもが瓦解する。
首脳会談に向け緊張が高まる。
各国もボクを単なる冒険者だけ、とは
考えていないだろう。
「次は我らが!」
「あわよくば蹴落とす」
という画策をふんだんに
しているはずだ。
決戦は今夜。
08も同行するとのこと
だったので安心だろう。
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チーフへ
08チーフへ
China国家主席が特設ヘリポートに
降り立ちました。
この報せを聞いて
08は行動を早めた。
急ぎ部屋を後にした。
何が起こったのかは
ボクは理解できない。
部屋に取り残されたボクは
ひとり伊勢湾が一望できる
大窓から沈みゆく夕日を
眺めていた。
このあとに晩餐会が
やって来る。
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つづきます。
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