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タッチ|詩

その部屋からは中くらいの川を挟んで
遮るものがなく公園が見えた
公園では土日になると
野球少年たちが
白い軟式ボールを金属バットで叩く音が
風に乗ってよく聴こえてきた

君の1Kの部屋
丸い木の円卓
静謐さ
不揃いなカップに注がれた
暖かいコーヒー

洒落っ気の無い
カラーボックスの中に
色あせたタッチが揃っていて
僕は留守番している間
それを良く読んでいた
(君の部屋にあるほとんど唯一の本だった)

「兄のお下がりなの」と
彼女は言った
「へえ、そうなの」と
僕は言った

とにかく風の通りの良い部屋だったから
ひだまりがとても気持ち良く感じた
君と僕はそんな光の中
たまに束の間寄り添った

運命じゃ無い人
それ以外にはない大切なぬくもり

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