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頼ること、甘えること

人は支え合って生きている。
今、文字を打ち込んでいるパソコンも、部屋を涼しくしてくれているエアコンも、飲んでいる珈琲もたくさんの人の手を通して作られて、わたしの生活を支えてくれている。愚痴を聞いてくれる家族やおいしいご飯を一緒に食べてくれる恋人がいなければ、わたしの人生は寂しいものになるだろう。

そんな当たり前のことに気づいたのは、大学生になってからである。
高校生の時のわたしは、一人でなんでもできると思っていたし、人に頼ることは弱い人間がすることだと考えていた。

それが祟ったのか、わたしは摂食障害やうつ病になった。
それでも、わたしは人を頼ることを拒んだ。
自分の弱い姿を晒すことを恥じていたし、頼り方を知らなかった。

一人で辛い日々を抱えるのは大変だった。
自分を傷つけることもあったし、薬をたくさん飲んだりもした。
問題があまりにも大きくなっていて、一人で解決できるものではないと気づくまで、かなり時間を要した。

数年の時が流れ、状態が好転していないことを悟ったわたしは、覚悟を決めた。
何かを変えなければならない。それで思いついたのが「人に頼ること」だった。
一人で解決できないなら、他人の力を借りればいい。
そんな当たり前のことにやっと気づくことができた。

それから、劇的に良くなることはなかった。
けれども、少しずつ人への頼り方、甘え方を覚えた。

わたしが抱えるものを誰かに一緒に背負ってもらったり、横から励ましてもらったり、疲れた時はマッサージをしてもらったりした。
一人でできなかったことが支えられながら少しずつできるようになった。

人に頼ることは勇気がいる。相手に冷たくされるかもと思うと足がすくむかもしれない。
その恐怖に耐えてでも、わたしは人に頼ることを選ぶようになった。
それはわたし一人でできることの限界を知っているからだ。

私たちは何でもできる。
一人で出来なくても、誰かの力を借りたら、何でもできる。



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