書評|アーロン・S・モーア著 『「大東亜」を建設する 帝国日本の技術とイデオロギー』
「総合技術」の失敗とその幻影
評者|楊光耀(@00ur0b0r0s)
日本の近現代史を考えると、戦後の民主主義的な社会の成長に対し、戦前の帝国主義的な国家の失敗は対比的に描かれがちである。非合理的で抑圧的な国家主義が、敗戦によって合理的で自主的な民主主義へと大きく転換したといったように、先の大戦が歴史の断続として浮かび上がることが多い。これに対し本書は、戦後と戦前の二つの時代に通底する社会構造を、社会と技術の関係に迫真することで連続的に総括せんと試みる野心的な研究である。