進化から見るヒトの健康について~運動器~
「健康のために運動をしましょう!!」
よく聞くフレーズです。
ヨガ、ストレッチ、ランニングなどたくさんありますが、なぜ健康のために運動が必要なのでしょうか?
疲れるし、身体は痛くなるし、時間も取られる。
『薬だけで何とかしてよ』
とも言いたくもなりますが、薬だけでは健康は保てないのです。
身体には負担をかけているはずなのに、なぜ健康へつながるのでしょうか?
それは、ヒトにおける進化を考えてゆくと色々ヒントが見えてきます。
結論から言いますと健康のために運動は必要なのです。
なぜならば、ヒトが生きるために動けるよう進化させてきたからです。
運動することで身体の調子が整うよう変化(進化)してきたのです。
身体の構造は循環器や消化器など様々ありますが、ここでは運動器についてお話ししてまいります。
祖先はどんな生活をしてきたか
生命の進化を簡単におさらいしてゆきます。
まず、約46億年前に地球が誕生しました。
(イメージが湧きずらいほどの昔・・・。)
はじめての生命が誕生したのは約35億年前、海中で生まれたバクテリアと考えられてます。
(11億年かかってここまでの変化・・・。)
7億年前になるとクラゲや徐々に魚類が出始め、4億年前にようやく植物が陸に上がり、昆虫・両生類などが誕生いたしました。
(生物が陸上で暮らせる環境になるまで約40億年かかりました・・・)
2億年ぐらい前になると恐竜が地球上において幅を利かせましたが、約6500万年前に隕石が衝突して滅んでしてしまったと考えられています。
そこから小さな生物が何とか生き延び、約500万年前にヒトの遠い祖先が誕生したと考えられています。
現代人の種がどこを最初をどことするかは意見の分かれるところですが、小規模の生活共同体を作り、狩猟を主としていたホモ・サピエンスを最初と考えるならば、約20万年前が起源ともいわれます。
これは約8,000世代前と考えられ、ここから身体的大きな変化はあまりありません。
とてもスケールの大きい話でイメージが湧きにくいですが、ヒトは地球上で新人なのですね。。。
この中での注目するポイントは、多くの生物は『動く』ことを選んだということです。
何億年もかけて!!!
私たちの遺伝子は受精して数週間はほぼ見分けがつかないほど同じ構造をしています。
胚と呼ばれる時期ですが、ヒトにもエラらしきものがあり、ハエと大して変わらない構造となっています。
つまり、生命の起源は皆同じではないかと考えられているのです。
感動するお話です!(私だけかもしれませんが)
話がそれましたが、私たちの身体は動くことが基本となって設計されているのです。
つまりそれは、動ける身体が健康でいられるようメカニズムされているのです。
もちろん、負荷や強度には限度がありますが、運動器をはじめ循環器、感覚器、消化器など適度に動くことで健康が維持できるよう設計されております。
目的は種の存続のために!です。
現在、ヒトにおける社会はテクノロジーが発達して、生活様式が大きく変化いたしました。
これはここ100年、3〜4世代前からの話です。
つまりこの短い期間では、身体の進化が生活に対応する変化伴わず、痛み・機能不全が起こり不健康の原因の一つと考えられています。
私たちの身体は長い時間座るためのメカニズムはまだされていなく、これに適応するためには今後、長い長い年月が必要です。
ですので、現代の私たちが健康を保つためには、メカニズムに従ってもう少し動く・運動することが必要なのです。
ヒトの運動器における身体的特徴
では、どんな運動をしたら良いのでしょうか?
これも進化の中から見ていきましょう。なんでこんな身体になったのか?
ヒトの祖先はチンパンジーのような生活をしていたと考えられています。
自然環境としてジャングルが多かったため、木の上などで生活することが多かったですし、また地上では険しい道をナックル歩行(四足歩行)で移動し始めた形跡があります。
それから暫くすると(数十~百万年もかけてですが)、地上に草原ができはじめ、移動がしやすくなりました。
そこで、ヒトの祖先は森からでて草原へと生活の場を変えていきました。
ここでヒトの大きな特徴、二足歩行で移動する事へ進化を進めました。
ゴリラやチンパンジーは森は残ったのですが
二足歩行のメリットは
• 視野が高い
• 一歩が大きくなる
• 手が自由になる
• 発達した脳を支えやすくするため
などがあります。
股関節、骨盤を変化させて長時間走ること、または歩くことを可能にしたのです。
他の生物に比べ、それほど速く走れなくとも、移動距離・行動範囲を広げることに特化することを選びました。
ですので、私たちの運動の基本はウォーキングやランニングです。
運動で何をしてよいか迷ったらここから始めてみましょう。
今ある体調に個人差があるので、具体的数値化して言いきれませんが、ゆっくりとしたペースで30分•毎日が目安ではないでしょうか。
無理は禁物です。歯磨きのように毎日の習慣がポイントです。(他人と比べず少しずつ続けましょう。)
現代社会はテクノロジーの発達により、自力での移動が減りました。
便利なので手放すことはできませんが、意識的に自力で歩く・走ることが必要です。
では次に、代表的な部位の特徴を見ていきます。
脊柱
首は情報をいち早くキャッチするため、前後左右大きく動きます。
ですので普段から満遍なく動かす必要があるのです。
スマホ、PCなど画面を見続けると首が不動となってしまいます。
これでは一部分の組織にストレスがかかり続けるので、痛みを発して休ませてと身体が合図を出してきます。
ゆっくりと大きく前後左右に動かすことで首、肩の痛みを軽減することができるでしょう。
胸椎は主に回旋をいたします。身体を捻る動作です。
これは頸部と合わせて身体を大きく左右に捻る動きができます。
また肩甲骨も関連して動きます。腕の動かす運動では肩の角度より、肩甲骨の動きをより意識しましょう。そうする事で胸椎も可動します。
腰部は多様性に富んでいますが、主に上半身を前後させます。
腰椎は骨盤、股関節との関連性も高いです。普段行う動きと逆の動きを行うと良いでしょう。
可動性がある分、痛めてやすいですが、直立しやすく、また移動時もショックを吸収するため持久性があります。
ちなみにヒトに近いゴリラやチンパンジーの腰椎は、かなり硬く可動域が狭いのです。
これはパワーを重視して、可動域を減らしましたと考えられています。
そのため腰痛は少ないのです。
現代社会では非常に長く座って生活する方が多くなりました。
人類史上無いくらい、不動の時間が増えたのです。
遠い未来、ゴリラみたいに腰痛の少ない身体になるかもしれないですね。
運動時は日頃行わない動きをやると良いですが、普段動かしていないので、少しずつやりましょう。
脚•足
現在、ヒトの二足歩行は400万年前からではないかと推測されています。
ヒトにおける脚の特徴は
・ 比較的長い
・ 股関節可動性が大きい
・ 硬いアキレス腱
・ 大きい臀筋
これは走りやすくするためためにこうなったと考えられてます。
膝も大きく屈曲ができ、多少の回旋も可能です。これにより走ったり、素早く方向転換が可能となりました。
足関節はチンパンジーよりやや硬めです。これは木登りよりは地上で活動しやくするためです。
さらに足部にアーチがあるのは、デコボコの地面に対応できるから地面に長く移動するため
このように小さな体のメカニズムは全て生活しやすいよう変化してきているのですね。
一つ一つ知るたびのすごく感動しています!!(私だけかもしれませんが・・・)
手
手先が器用なのはヒトの大きな特徴の一つです。ものを投げるため、加工するため。
知能が発達したから手も発達したのか、それとも逆なのか。
奥が深いですね。。。 今度さらに調べてみたいです。
ヒトは鎖骨がなで肩、もしくは水平に近いです。逆にチンパンジー・ゴリラはいかり肩かやや上がっています。
これは腕を振ることに適している。
なぜか?
そう、それは走りやすくするためだったからです。
回内(掌が下に向く動き)が出来るのもヒトの大きな特徴であります。
ほかの哺乳類は掌を返すのが得意ではありません。
これはものを加工するのに適しているのです。特に親指が発達している。
イェ~イ~(高島忠夫)
どんな運動が必要か。
ここからは少し難しいお話しになるかと思います。
人は生活するために身体を適応させてきました。なので生活に即した動きを入れるべきです。
現代社会では屈筋群を多く活用する傾向があります。
トレーニングにおいても屈筋群にフォーカスを置いたものが多いです。
ここでトレーニングにおいて大切な考えがKC(kinetic chain 運動連鎖)です。
特に大事なのはPKCだと考えています。
PKCとは「身体後面の筋肉群の共同」とあります
専門的な話で難しくなってしまいますが、後面の筋肉には
・ 歩く、走る、引く動作をコントロールする力
・ パワーを上から下、下から上に伝える力
・ 力を吸収する、身体を安定させる
など、非常に大切な役割があります。
スポーツをする時だけでなく、日常生活を送るうえでも、この機能がうまく働かないと身体に様々不調をきたします。
特に腰部に深いかかわりがあります。それは脊柱がうまく安定しないために腰痛を引き起こす可能背が高いからです。
現代では腰痛を抱える方が多いですが、太古の人々が腰痛ばかり起こしていたら、生きながられるの難しかったはずです。
ですので、もともと脊柱は強いはず。
現代と太古のヒトを比べた時、PKCを使う活用する機会が多くなったと考えられます。
運動する際はこのPKCをうまく取り入れ行うとよいでしょう。
次回はこのKC、PKCについてお話しさせていただきます!
拙い文章でしたがここまでご覧いただきましてありがとうございました!
ご感想をいただけますと嬉しいです!!
参考資料
PKC (kinetikos)
進化の奇跡 (アリス・ロバーツ 著)
遺伝子の話 (石浦章一 著)
種の起源 (ダーウィン著・渡辺政隆 著)