メンバーnote「失敗から学んだこと」
保護者メンバーからの寄稿です。
「失敗して良かった!」
子どもミーティングを振り返る会話の中で、小学6年生の我が子がつぶやいた一言です。
今回の子どもミーティングは、中学受験を控える小学6年生のために用意された、事前準備の必要がないプログラムでした。
実験好きな子と、漫画好きな子。
算数好きな子と算数に苦手意識がある子。
それぞれが楽しめたうえで、算数へのリスペクトが生まれ苦手意識が和らいだらいいなぁ、との願いを込めて創られたプログラムは、
「最高のゆで卵の研究所」
茹でる条件を変えながら、最高のゆで卵のレシピを発見します。
その過程で、
タンパク質と熱の関係や、温度変化による殻の剥けやすさの違いやその理由、氷水と塩と温度の関係など、科学的な問いもたくさんあります。
時間をきちんと計って黄身の状態変化も確認します。
そして、実験を経て料理と科学・数のつながりにおもしろさを感じたところで、漫画 「フェルマーの料理」につなぎます。
料理と数学&科学の世界に、体験と漫画を通じ触れることで、受験算数の外の魅力を知って視野を広げ気持ちが少し楽になったらいいな、との願いでつくられた内容です。
さて、ゆで卵実験。
ZOOMで顔を合わせ、手順や注意事項を確認してから各キッチンで実験をスタートしました。
息子は、説明を聞いている際には実験の手順を理解している様子でしたが、いざ一緒に始めてみると所々忘れていて、「僕は一人で自由にやるのが好きだから。」と言い、自分の咄嗟の考えや勘で決めている部分が見受けられました。
手順や注意事項を守り行えば、出来上がったそれぞれのゆで卵の差はちゃんと出るものでしたが、息子のゆで卵は、結果を比較できない残念なものに終わりました。
息子は日頃から実験遊びが好きです。
今回も少しは自信があったと思います。
普段の実験遊びは、思いついたまま自由に試せる遊びですが、今回は違います。
実験後、ファシリテーターの井上さんから息子に、
「実験は条件を揃えて行う必要があって、”自己流”で適当にやってしまうと、結果が得られない。」と話がありました。
通っている受験塾でも、作文において自己流の取り組み方を手放せないでいる、と先生から指摘があったので、「自己流」という言葉を聞いて親子で目が合ったほど驚きました。
この子どもミーティングの後、塾で合格判定テストがありました。
帰宅すると「作文の書き方を変えられたよ。」と報告がありました。
以前、塾の先生から作文の件で指摘があった時には、息子は「どうしても力むと自己流になってしまう。すぐには書き方を変えることは出来ないと思う。」と話していたので、本人も理解しているが手放せないでいるんだな、と感じ、見守る姿勢でいました。
そんな息子が、自らを「変えてみようと思った。」と教えてくれました。
井上さんから「自己流」という言葉をもらった時に、「僕の作文のことを言っているんだ。」とリンクさせて聞き、
「もしかしたら、塾の先生と井上さんは友達で、僕の作文のことを知ってるのかもしれない!」と妄想が膨らんだほど驚いたようです。
「井上さんの言葉は僕にしっかり刺さった。」と言っていました。
「失敗して良かった!」
息子の言葉に私が驚かされました。
実験が成功していたら、「今日の実験楽しかった。」で終わっていたけれど、次からはちゃんと理解をしてメモもとって正しい手順でやる、と失敗を活かし行動を変えることを決められた。
たとえば、単発のワークショップや実験教室では、ミスがおきないような配慮が事前にされていたり、間違えても完成品が持ち帰れたりしますが、
Co-musubiは長く参加し続けている場所であり、子ども一人ひとりのことを井上さん目線で理解し、考えてその子に届く言葉で伝えてくれます。
失敗をしたら、その失敗をどう活かすか。
この実験でのことだけではなく、生活全てに繋がることとして捉えると、どんなことにも応用できるよ、と伝えてくれました。
今回の子どもミーティングで、息子は失敗から大きな気づきを受け取り、こだわりを捨て行動を変えることができました。
「失敗して良かった」
息子の言葉は力強く、頼もしくも感じました。
実験や科学が好きな息子は、失敗から学んだことを胸に、今は、井上さんから新たに教えてもらった「卵の酢漬け実験」にワクワクしながら取り組んでいます。