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僕の自由 〜絵のない絵本〜

自由になりたい!
毎日そう思うのに僕は結局レールの上を走ってしまう。

クソっ!

自分の勇気のなさに嫌気がさした。

「君は自由になりたいと思ったことはないの?
やりたいことがある、とか…」

隣にいたやつに聞いてみた。

「え?自由?!
う〜ん、考えたこともないかなぁ。
俺はこうやってみんなで集まってウロウロしてるのが性に合ってるみたいだ。」

聞く相手を間違えたようだ。
とにかく僕はもうまっぴらだ。
ひとりでだって生きていける!

そう思って横道にひとり飛び出し一目散にその場を去った。

流れる景色を見て僕は叫んだ!

「僕はもう自由だ!!」

その瞬間、下から何かが押し上げてきた。
上へ上へと上がっていく。

明るい日差しが眩しい…
息が苦しくなった…








「今日は大漁だねぇ!」

船の上でこんがりと黒く焼けた男が言った。

「1匹イワシがあがったみてぇだな。」
「戻すか?」
「ワシの昼飯にするわ。イワシも新鮮ならうめぇもんよ!」


こうして僕はこの人間の一部になった。
自由を手に入れた…
と思ったが、そこには自由なんかなかった。
人間こそしがらみだらけの生きものだったんだ…

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こむぎ
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