見出し画像

教育の歴史から不登校の背景を探る

皆さん、こんにちは。コンパス通信スタッフです。
先日開催された「多様性を味方にする ~ 共感する力 ~」イベントでは、不登校の背景にある教育制度やその変遷について深く考える機会がありました。ただ「不登校が増えている」と評価するのではなく、「なぜその現象が起きたのか」を探る大切さを感じられる内容でした。


紫藤さんのプロフィールはこちら↓

紫藤さんのプロフィール

不登校増加の背景を探る

2023年度、日本の不登校児童・生徒数は約29万人と過去最多を記録しました。この数字だけを見ると「学校に行かないのは良くない」という短絡的な判断に陥りがちです。しかし、それがどうして起きているのかを問い直すことが求められています。

戦後、日本は「詰め込み型」や「偏差値評価」を重視した教育制度へとシフトしました。この流れは、戦後の混乱期に社会の再建と経済発展を目指す中で合理的な選択だったともいえます。一方で、その仕組みが固定化される中、子どもたち一人ひとりの個性や才能を引き出す機会が減り、相対的な競争にさらされる環境が生まれてしまった面もあります。

現代は、社会構造や価値観が大きく変化し、多様性を尊重する必要性が高まる時代です。これまでの教育が果たしてきた役割を認めつつも、次の世代に合わせた新たな形へと柔軟に変化していく必要があるのではないでしょうか。

戦前の教育制度が示す多様性の可能性

では、かつての日本ではどのような教育が行われていたのでしょうか?
戦前の教育には、現在の「画一型」とは異なる、柔軟な仕組みが存在していました。

戦前の日本では、子どもたちがそれぞれの興味や適性に応じて進路を選べる仕組みが整っていました。旧制中学校を経て医学専門学校に進むルートや、実業学校で職業スキルを磨く道などが用意されており、特定の進路に偏らない多様な選択肢が存在していたのです。

こうした仕組みは、社会が求めるスキルを身につけるだけでなく、子どもたちの個性や才能を伸ばす基盤ともなっていました。今の時代にこれをそのまま適用するのは難しいかもしれませんが、この柔軟性から学ぶことは多いはずです。

教育の本質に立ち返る

教育の本質とは何でしょうか。この問いに対するヒントとして、ルネサンス期の彫刻家ミケランジェロの言葉が印象的です。

「私は石の中に天使を見た。そして、その天使を解き放つために余分なものを削り取った。」

写真:canva.com/everettcollection


この言葉は、教育とは「子どもの中に眠る才能を見出し、それを引き出す環境を整えること」であることを示唆しています。知識を詰め込むだけでなく、子どもたちが本来持つ力を活かすための環境づくりに注目すべき時代が来ているのかもしれません。

戦後のベストセラーをご存じですか?

戦後日本で最も読まれたベストセラーは「暦」だと言われています。この暦には、「今日はこう過ごすと良い」という指針が記されていました。かつての日本では、こうした自然のリズムや日々の指針を通じて学びが行われていたのです。

親や家庭が、子どもの個性や才能を見極め、それを伸ばす役割を果たしていたのも特徴的です。このような視点が、現代の教育にも新たな形で取り入れられると良いのではないでしょうか。

東洋哲学には、多様性の理解に役立つ深い洞察が含まれています。

唯一無二 : すべての人が、それぞれ異なる特性や才能を持つ存在である。
不二 : 対立して見えるものも、本質的には一つである。

これらの考え方は、多様性を「違い」ではなく「つながり」として捉える視点を与えてくれます。たとえば、自然の中に見出される調和や、日々の暮らしの中での学びがその具体例です。

「あなたと私」から「私たち」へ

講演では、デンマークのテレビ局が制作した動画も紹介されました。異なる背景を持つ人々が「違い」を超えてつながる姿は、多様性を受け入れることの可能性を感じさせるものでした。

動画内では、最初は「あなたと私」という分断された視点で語られていた人々が、次第に「私たち」という視点に移行していきます。この変化が示すのは、「違い」を善悪や正誤で判断するのではなく、「ただ違う」として受け入れることの大切さです。

未来に向けた教育の可能性

現代の教育制度は、これまでの日本の発展に大きく貢献してきました。しかし、社会や価値観が変わる中で、柔軟に進化する必要があることも事実です。

教育とは、子どもたちの中に眠る才能を見つけ出し、それを開花させる環境を整えること。「違い」を超えてつながり、共に歩む道を考える。それが、これからの教育に求められる視点ではないでしょうか。

来月のコンパス通信イベントのご案内

来月は、「見抜く力」にフォーカスします。皆さんお待ちかね、インテリジェンスについて深掘りが非常に楽しみです。来月もイベントにてお待ちしております。

12月のイベント「社会との関わり / インテリジェンスの真価 ~ 見抜く力」
日時:12月17日(火) 20:00 - 21:00
👉 イベントのお申込みはこちら

公式LINEに登録して最新情報をゲット!
👉 公式LINE登録はこちら

今後の開催予定

  • 12月17日(火) 社会との関わり / インテリジェンスの真価 ~ 見抜く力

< 2025年 >

  • 1月21日(火) リーダーシップとマネジメント ~ 任せる力 ~

  • 2月28日(金) リーダーの役割 ~ 理解する力 ~

  • 3月18日(火) 先人たちの智慧 ~ 知る力 ~

  • 4月15日(火) 自己成長の鍵 ~ 話す力 ~

  • 5月20日(火) 存在価値とは ~ 感謝する力 ~

  • 6月17日(火) 判断基準と思考 ~ 考える力 ~

  • 7月15日(火) 日本文化・精神文化 ~ 感じる力 ~

  • 8月19日(火) 未来を創る ~ 行動する力 ~


このイベントレポートは、イベントに参加できなかった方にも届けたい想いで書いています。次回は、大伴さんからの学びをご紹介する予定です。
皆さんからのいいね、コメントが大きな励みになっています。
いつもありがとうございます!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集