引きこもり流お散歩
世の中、いろんな引きこもりがいます。
サブカル引きこもりとか、量産型引きこもりとか。
金欠系引きこもりとか。
で。
ひきこもりの中の何割かは実は外出願望は持っている、と私は思う。
トイレットペーパーが切れたとか、冷蔵庫に空のペットボトルしかないとか、せめて「レジ袋はご利用になられますか?」「あ、大丈夫です」ぐらいは生身の人間と会話を交わしたいとか。
いずれも死活問題ですよ。はい。
しかしちょっとした外出のためだけに「外界に見せてもいいワイ」を仕上げなければならないのはあまりにも費用対効果が悪いから、多くの方がそこで諦めちゃうんです。
その心理的ハードルをさげるため、私がよく使うのは一度の単純外出に複数の付加意味をつけるアプローチです。
◆我は己のために容つくる
こんな言葉があります。
士は己を知る者の為に死す、女は己を説ぶ者の為に容づくる
しかし私は声を大にして言いたい。
そんなことない!
なぜかという、いまの私には己を説ぶ者なんていないからだ!
あー、目から液体が溢れ出そうだ。
という私の個人的な感情はどうでもよくて。
実在するかどうかすらわからん己を説ぶ者に頼るのは、もったいない!
己を説ぶ者に、俺はなる!
自分を褒めるための材料作りといいますか。
別にイメチェンYoutubeのビフォーアフターほどの変化をつけてやるぜとか考えてない。
顔を洗って、寝ぐせを直す。TPOを意識した、清潔な服を着て出かける。店員にはありがとうをしっかり伝える。
店長の指摘にいつまでも引きずる店員さんも、毎日トイレだけ借りに来る人に少しイラつく店員さんも、たぶん、ちょっとは嬉しく思う。
そして思い存分自分を褒める!
今日のワイはこの世界に一縷の爽やかな風をもたらしたぜ!と。
まあ私はしっかりおめかしするけどな!
「ああ、今日もこの世界に一抹の美しさを提供した」と自分を褒めちぎる。
◆いつもとはちょっと違う場所に行ってみる
せっかく「外界に見せてもいいワイ」を仕上げたんで、いつもとはちょっと違う場所に行ってみたいとは思う。
むしろ「一張羅にまで着替えたのに1分で用を済ませ往復時間20分の外出かよ!」という悲劇を回避することができるのでオススメです。
もともと外出(散歩ともいう)って、体脂肪の減少やストレス解消など健康にさまざまなメリットがあり、全人類に積極的に取り入れてほしいスポーツの一つとされています。
ここで思い切って有名な散歩スポットをチョイスしてみる。
「うっす、上野行くか!」と。
到着していきなり高い高いイチョウの木が迎えてくれる。うじゃうじゃしている人混みに圧倒されそうな貧弱な精神が救われるほどじゃなくても、「おいおい、思ったより緑だな」と余裕ぶちかます。
マイナスイオンを摂取するために公園へと向かうも、なぜかスーツケースを持ってせっせと歩く人ばかりとすれちがう。思わず「ここはGWの京都か!」と言いたくなる。
でも逆に言うと、時速2kmのワイ、めっちゃ余裕たっぷりに見えるんじゃねえ?
風景がちょっと寂しげなこの季節でも、綺麗な花は咲いてるし。
造花かな?と思って触ってみると、確かに生き物の感触だわ。
これだけでも電車代のもとは取れたぜ!
◆マイテリトリーの良さを再認識する旅
マイテリトリー(マイキャッスルとも言う)の良さをどれぐらい認識できるかは、今後の生活の質や満足度に大きく響くと言っても過言ではありません。
最寄り駅まで早足で10分。路線の遅延癖は都内トップ。
風景は驚くほど淡泊。
ペット相談可物件だから、家賃はまあまあの値段になる。
道路に面して、室外干しがでけへんし、カーテンも開けれない。
まあ総合的に見るとそう悪くはないけど、「ちょっと、どうなの?」と思う瞬間がちょいちょい訪れる。
部屋探しの時、どうしても譲れない条件以外はとことん妥協した結果、こうなった人は絶対多いよね!ね!
この作業については、外出するついでにやっちゃいます。
すでに熟知している地について、継続的に長所を見つけ出すのはやや難易度が高いので、ここはあえで逆に行っちゃいます。
多少グレイな手法にはなりますが。
例えば名高い散歩スポットは、平日でも人がいっぱい。なぜかみんな急いでるし。
ロケーションとオーディエンスのミスマッチやないかーい!
はい。マイナス50点。
ここの50点は全部マイテリトリーに加点される、というシステムになります。
なので私にとっての外出/散歩は、「マイテリトリー、惚れ直しの旅」とも言います。
そう!他の地の粗探しをしよう!そして忘れるんだ!
何度でも使えるからな!
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こういうふうに、引きこもりでも少し工夫すれば、外に出て、散歩を楽しむことができます!
と猫たちに力説する、今日のワイでした。