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留学生なっちゃんを受け入れるまで
前回、留学生なっちゃんが我が家にホームステイしていた話を記事にしました。
私たちにとってホストファミリーは初めての経験でした。そもそもどんな経緯でホストファミリーをすることになったのか。なっちゃんがやってくるまで、我が家ではやっぱりいろいろありました。(笑)
今回はそんなエピソードを書いてみます。
きっかけは長女の「やってみたい」
ちょうど年明けごろだったか、長女にんにんが「ホストファミリーやってみたいな」とつぶやいた。聞けば、友達の家でホストファミリーをやっていたらしく、その話を聞いて興味をもったそう。
その話を聞いた夫も私も、「そりゃいいね!」とその時は言っていました。私も、子ども達には広い視野を持って欲しいし、自分の常識や日本の常識が当たり前でない事を知る機会がたくさんあるといいなと考えています。留学が子ども達の選択肢に入るきっかけにも、ホストファミリー経験が生きればいいなと思っていました。
だから、長女には「機会があったらありだと思う!よいプログラムがあれば持っといで」と言っていました。
ご近所の大学からチラシが
その後、長女は「受験だしな。部屋をあげなきゃいけないしな…」と特にプログラムを探す様子もなかったのですが、ある日我が家のポストに大学からホストファミリー募集のチラシが入っていたのです!
我が家でほんとにホストファミリーは可能か
そのプログラムに書かれていたホストファミリーへの条件は次の通り。
6畳程度の個室を用意する事。
個室には次の設備を用意すること。寝具一式(ベッド/布団)・机・収納スペース・冷暖房器具・インターネット(Wi-Fi)
平日(朝/夜2食)・土日祝日(3食)の食事提供
自宅から大学まで約45分以内の距離の方
といった感じ。英語力は問わないとのこと。
家族会議
で、本当にエントリーするのか、家族会議をしました。
夫「ええやん。やろやろ」(基本的に楽観的。特に想像力を働かさない。)
私「賛成!でも不安もある。ただでさえ、今の生活で毎日ご飯作るのでいっぱいいっぱいだ。6人家族になって私大丈夫かと不安。でも、まぁ大学生だし、話し合いベースでありのままの我が家でやっていくか!みんなで協力すればできる気がする。」
長女にんにん「やってみたい、けど今なのかな…部活ももうすぐ引退だし、受験勉強もあるからそんなに遊べないし。一部屋渡すとなったら、言い出しっぺの私の部屋だよね?」
次女みみ「いいんじゃない?ま、どっちでもいいかけど。でも、部屋を動くのは嫌」
(次女みみはお片付けが大変苦手。特に中学受験をしていたこともあり、1年間で床の見えない部屋を作り上げたが、春休みようやく部屋を片付けたところ。)
末っ子長男かんくん「オレは反対!!知らん人が家にいるなんて嫌」
まさかの末っ子長男かんくん反対!
えー?!!うそやろ?!かんくんが一番懐くにきまってるやん!!
家族からの総ツッコミ!!
そらそうです。だって、かんくんといえば友達現地調達のプロ。
参加したタグラグビーの練習に来てくれていたプロラグビー選手にちょっとラグビー教えてもらっただけで「カンタはおれの友達だからな!」と呼び捨てかつ勝手に友達認定。
彼の友達認定は老若男女誰にでも適用されるのです。
そんな、誰でも仲良しかんくんが「知らん人が嫌」とは?!
大事なのは「欲求」を聞くこと
いくら結果が見えているとはいえ、末っ子長男かんくんの意見も捨て置けないよね。押し切って決めたところで、最終的に懐くのは目に見えていても、です。こういう場面で、意見を無視されるって、小さい子だからって舐めると怖い。意外と後々覚えてたりする。しっかり傷つけてしまう可能性もあるわけです。
そして、長女にんにんと次女みみの主張も対立しているかに見えます。
言い出しっぺだから長女が譲ればいいじゃないか、と持っていくのか?
じゃ、無理だね。
で終わっていいのか??
ここは、私が学ぶゴードン・メソッド(親業)を使って考えたいところ。
誰かの意見が勝つ、または、ぶつかってるから無理だね、と解決をあきらめてしまうのはよくある事かもしれません。でもそれって、誰も気持ちよくないし、何も学べないですよね。私はそうしたくなかった。なので、ゴードン・メソッドの問題解決法を使おうと考えました。
ゴードン・メソッドの問題解決法は誰も負けない「勝負なし法」なのです。
そこで最も大事だと言われているのが「欲求を聞くこと」。
それぞれの欲求。そこが分かると道が見えてくる。
私「それぞれがいろんなこと言ってるけど、本当の望みって?大事にしたいことは?ここだけは譲れないってポイントはあるかな?細かく大事なポイントをはっきりさせていけば、みんなの欲求を大切にしたまま、ホストファミリーをすることができるかもしれないよ。」
こんな風に問いかけると、それぞれの欲求が見えてきました。
長女にんにん「寝るのは一人部屋で寝たい。勉強はどこでもできると思う。荷物を動かす先があるなら動かすことはできる。でも夜は一人で勉強できると嬉しい。」
次女みみ「寝るのはどこでもいいよ。でも荷物を動かすのは嫌。この前頑張って片づけたところだから動かしたくない。勉強はまぁ、どこでもいいかな」
末っ子長男かんくん「オレは荷物も動かさないし、和室(リビング続きのかんくんが主に使う部屋)で一人で寝る!
いつも通りの暮らしがしたい。日常を壊されるのは嫌だ」
本人大真面目。みんな失笑。にやにや。
なんなん「いつも通りの暮らし」て。「日常」て。そんな日々の暮らしを大切にしてる人みたいな言いぶり、なんなん。笑笑
という内心の声は抑え、しっかり能動的に聞いていきます。
私「なるほど。かんくんはいつもの生活リズムが崩れるのは嫌なんだね。だから、部屋は動きたくない。わかったよ。生活も変えなくてよくて、かんくんの部屋はそのままでよければ、誰かが来るのはありかな?」
かんくん「うん。。。。まぁ、いいけど。。。」
私「おぉ。それは助かる。じゃぁ、にんにんとみみの話を整理しよう。
にんにんは、寝るのはどこでもいいけど一人がいい。荷物を動かすのはOK。勉強もどこでもできるんだね」
にんにん「うん。部屋を移るのはいいよ。一人で寝れるなら。勉強も机があればどこでもいい。昼間はリビングでもいいけど、うるさい時は一人でできる場所があるといい。それからテキストとか置くところがあれば。」
私「うん、わかった。みみは、この前の片付け大変なのを頑張ったところだから荷物は移動したくない。寝るのは例えば、パパとママの寝室に布団敷くのでもいいのかな?」
みみ「うんいいよ。」
私「ほんなら、整理すると…にんにんの部屋を留学生に使ってもらう。クローゼットとデスク周りだけは荷物を移動させよう。主寝室のウォークインクローゼットや主寝室にスペースを作ればいいね。にんにんがみみのベッドに寝る。みみは主寝室に布団を敷いて寝る。主寝室にデスクを置いて、基本にんにんはそこで勉強して、寝るときはみみのデスク。どやろ?」
みみ「にんにんが寝てても荷物取りに入ったりしてもいい?」
にんにん「いいよ。部分的に勉強道具とか服とかちょっとみみの部屋に置いてもいい?」
みみ「いいよ。みみも朝の着替え、制服とかウォークインに移動させよかな」
私「お、じゃ、一部屋作れそうなかんじ?ホストファミリーする方向でいきますか」
みんな「うんうん」
私「あとは、パパとママで、主寝室に置く勉強机の事、Wi-Fiがにんにんの部屋にも届くようにしたり、寝具を整えるのは考えようか。ね?!パパ!」
夫「お、うん。勉強机とWi-Fiな。うん、うん。」
おったんや、夫。たいていそんなんです。聞いてたでアピールだけする。いても全然聞いてない時もよくあるので、今回はかなりいい方。
私「じゃ、エントリーしよか。我が家のアピール文考えよー」
こんな感じで、なんともちぐはぐな策ではありますが、誰も嫌な顔しないで、なんか楽しみになってきた!わくわく!な感じで解決策が見つかったのでした。
エントリー後
エントリー後は、大学の担当の方が家庭訪問に来られて、どんな部屋かとか立地とか、家族の話とか確認されました。
こちらの方も初めてなので、女の子で、アレルギーの対応はできれば要らない子で、非喫煙者で、とこちらの条件も確認してもらいました。
その後マッチングがあり、留学生の方もホストファミリー側もまだどのくらい申し込みがあるか分からないので、、、とのことで、正式な依頼は4月末にという事になりました。
そのことは勿論、家族みんなに報告したのですが、あんなに嫌がっていた末っ子長男かんくん、それからというもの、学校から帰ると、
「で、決まった?!誰がくるって?!」
毎日聞いてくる。「や、だからね、4月末にならないと分からないんだよ」
このくだりを何度もやりました。(笑)どんだけ楽しみやねん。
みんなでなっちゃんの部屋準備
留学生が来ることが正式にきまり、それがなっちゃんであることがわかりました。なっちゃんの写真見たら、めっちゃんこかわいい!!!!
メールでやりとりしたら、頑張って書いてくれた日本語がなんかめっちゃかわいい!!
とにかく楽しみになりました。
長女の荷物は一部は次女の部屋へ、一部は主寝室のウォークインクローゼットへ動かすことに。その関係で、次女の荷物も大幅にウォークインクローゼットや私のクローゼットに動かすことになりました。当初動かすのは嫌!と言っていた次女でしたが、その時にはすんなり動かしてくれることに。
結局…
なんやかんやと荷物を動かしていると、結局大幅に次女みみの荷物を動かすことになっている。そしてベッドは当初の話通り、長女に譲るために準備をしている。
話してる時から実は私は思っていたのだけど、せっかくみんなで決めたことだし、誰かが言い出すかもと思っていたので言わなかったことがムクムクと湧いてきました。長女にんにんは自分の口から言うのは憚られるのだろうし。
でも、ムクムク湧いてきてしまったものは、私が伝えるべきことだな、と。
私「あの、にんにん、みみさん、ちょっとママの意見言ってもいいですか。」
「どうぞ」「ええよ」
私「みみがこんだけ荷物動かしてたらさ、みみの部屋をなっちゃん部屋にすればいいのでは…にんにんが動く意味があんまなくない?」
にんにん「せやねん。思っててんけどね。」
みみ「そーやんねぇ。もういいわぁ。動かさへんって言ったのに結局動かさへんとにんにんの荷物入らへんねんもん。」
私「はじめ言うてたんと違うのに荷物動かしてくれたよね。すごい助かる。そして、みみの部屋をあけたら、勉強机行ったり来たりせんでいいし、気持ち的にもすっきりよね。分かってくれて有難いよ!協力ありがとう」
にんにん「ありがとう」(コレ‼かなりレアなんですよ!)
みみ「ま、ええけど」
なっちゃんのcozy room
かくして、無事になっちゃんを受け入れることができたのでした。
次女みみと夫婦での3人共同部屋生活は、みみが散らかすので、足の踏み場がない、掃除ができないという困りごとはありましたが、期間限定だったのでそんなに困ることもなく。
なっちゃんもお部屋に問題はないか聞くとcozyだと言ってくれるお部屋となりました。
納得感が大事
改めて、当事者が決定に参加して、納得している事って大事だなと体感しました。
それぞれの欲求を満たす方法をみんなで考えたから、まずホストファミリーへの道が開けました。
そして準備中に、お互いの「こうしたい」を伝えたり聞いたりしながらやり取りをしていたので、みみも「それならこの荷物は動かしてこのスペースは空けよう」と譲歩できました。
最終的にみみが部屋を譲ることになっても、みみも納得できました。そして、みみの当初の欲求をしっているからこそ、にんにんも「当たり前」でなく、「ありがとう」の言葉が出たのだと思います。
最初っから、みみの部屋を明け渡したのと、結果は同じだし遠回りに見えるかもしれません。効率悪いな、と思うかもしれません。
でも、誰にも恨みや不満が残らない。互いに譲る気持ちや感謝が自然に湧いてくる。それって何ものにも代え難いように私は思うのです。
そして、なっちゃんが我が家を去るころには「みみのへやをずっと使っていいから、ずっといて欲しい」とみみは言っていたのです。
なっちゃんのホストファミリーになれたことに、1点の濁りのないかけがえのない経験にできたのも、あのプロセスがあったから。
ほんとに、ゴードンメソッドは、わたしの強い味方だなぁ。
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