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ひらいてをみたら、ひらかれてしまった

ひらいてを観終えてもうすぐ一か月経ちます。
今更感はごめんねだけど書きたくなったから書く。
※ネタバレ注意

原作を読んだことがあるわけでもなく、
特別好きな俳優さんが出演しているわけでもなかったけれど
なんとなく直感でみると決めていた。
告知ビジュアルも気になっていて、
公開日がゆえの誕生日だったという運命もあるし^^

公開から数日後の平日昼に観に行くと、
時間帯が空いていたのか
田舎の映画館のスクリーン3番には
ゆえとおじさん二人だけだった。
おじさんはエンドロールが流れた途端に出て行ってしまったから
おじさんバカだなあ。と思った。

見覚えのある生まれ育った街中の景色がスクリーンに映し出され、
より一層身近な物語に感じました。
愛ちゃんが美雪とデートした映画館は、
ゆえが自転車で一生懸命通っていた映画館そのものだったし、
車で通う今のバイト先への道も出てきて、
使う道、使う交通手段もあの頃とは変わってしまったな、と
時間の経過を感じて少し切ない気持ちになった。

それはさておき、ゆえは愛ちゃんだった。
(大前提として愛ちゃんのパーフェクトな部分、
ゆえにはなかったし、中身の似ている部分の話である)
もう制服を着ていたころの記憶は少し色褪せてしまったから
散らばった破片を慎重にかき集めて、重ねて話をする。

私は当時、そうするしかなかった。
こういえばああなる、こういえばこんな風に感じるかな、
こういえばこんな表情がみれたりして。ということ
何となくわかってしまうのでいつも心のどこかで退屈がっていた。
無駄にうまくできてしまう自分がどこかつまらなさを作っていた。
なんとも思っていないわかりやすい人(同義として興味がない人)からの
好意は当時どうでもよくて。
むしろいらなくて必要としていなかったくらいに思っていた。
振り返ればホントに最低かも。

でも、掴めない人っていました。
こんな気持ちになれるなんて、って気づいた時には
どうしようもなく惹かれて、ずっと「欲しかった」です。
これが好きということ!?恋?って考え出した瞬間
自分の中の感情が徐々にどんどん加速していって、暴発して、
結果、「自我が確立される前の危うい時期」に
自分に自分自身が巻き込まれて
大事故を起こした現場が暗黒青春時代にあたるという感じです。
愛ちゃんほどの暴力性はなかったし、自信も勇気もなかったけれど
振り返れば、時折はちゃめちゃでわけわかんなかったし
みるひとによっては不気味な人間だったのかもなと思います。
正解を求めに求めて仕掛け、言葉を選んだ結果
自分の思うハズレに当たったとき。
パンフレットにもある言葉をお借りすると、
「自分の仕掛けた罠にハマった」と自覚する部分がありました。
(いろんな過程を経て)

当時は勿論これをすぐに自覚できるほど精神的にも
熟練されていなかったので
なんでこうなっちゃったかなってめちゃめちゃ考えて
考え抜いてもすぐにはわかんなかったので
そこから大人しめに控えめな傾向になりました。

自業自得ですが未だにトラウマ級の自爆大事故だったので
人格に後遺症が残ったようにそこから徐々に佇まいが変わったと思います。
そのあとも怯えていた言葉があって、
それがまさしく「嘘みたい」だったり「貧しい笑顔だね」です。
「目の奥がそう思っていない、こわいよ」です。
誰かに言われたことないけれど、
自分が自爆事故を起こしたときに自分に言っていました。
どれがホントの自分の感情なのか、
それがホントの本音なのか、わからなくなっちゃうことが
未だにたまにあります。でもこの言葉を発しようって思うということは
私自身が本当にそう思ってるから浮かんでくるのではないかと言い聞かせてぎゅっと目を瞑ったりします。
自分で「そう」したのに、好きでそうしたかった訳じゃない。
そういうやり方しか知らなかったからって気持ちのときもあります。

だからいっそのこと自分より魂の審美眼がうんと冴えている大人に
ゆえのこと易々と見透かして、笑いとばしてほしい。
そしてゆえの複雑さはこうして捉えるともっと良さが伝わるよって
大ヒントをもらいたいと思ったり。寺修行したいと思ったり(笑)

自分の話ばかりになりましたが
愛ちゃんをみていると、
あの時や(たまに今の自分に内在する)
ズルさというか卑しさというか卑怯な部分というか
段々と盲目的になっていき手段を選ばない感覚を鮮明に思い出しました。
同時に美雪には敵わないなと、とても感じました。
美雪役をあんなに不自然なく演じられる芋生悠さんすごいなって感じです。
撮影中、ご自分の中で解釈しながら監督に共有されていて、
一緒に答え合わせをされて解釈と合致させていったからこそ
余計にしっくりきているのかなと思います。
それと、たとえ君が愛ちゃんの目をみて頭に触れたとき
ドキリとしました。あの一瞬は時が止まることを知っていたからです。

メインの三人の絶妙なバランスで成り立つ「ひらいて」に
過去のゆえが暴かれたような、ひらかれた ような
そんな映画でした。原作も読んでみたいです。
観終えた後、完売の札が貼られたパンフレットサンプルをみて
すぐに他の映画館に買いに向かった程、読まなきゃと思いました。
とにかく面影を感じてしまったというか、重ねてしまいました。
愛ちゃん、私たちはこの先どんな風に生きていくんだろうね。


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