アリバブダイアリー3.「鶯のさえずり」
3月は終わりに近づいているのに、まだ肌寒い朝。今朝も昨日と同じく腹痛で急に目が覚めた。眠気より痛みが勝っていて、慌てて布団の上でおなかをさすり体を丸めた。痛みが和らぐとどこかで聞いたポーズをとりながらただ痛みに耐えていた。すると空気の冷たさで張りつめた部屋の中に、鶯のさえずりが聞こえた。近くの山にも春がやってきたのだろう。
今年の花見はどこに行こうかと、今まで行った場所を思い巡らし気を紛らわせた。しばらくしたら体を起こせる程痛みが和らぎ、トイレへと向かった。やはり少量の出血があって、体中また凄い寝汗をかいていた。何かがおかしい。まさか妊娠しているのか。まさか。しかし、そうでなければ婦人科系の病気に違いない…
隣で寝ている夫は何も気づいていない。いつものようにぐっすり眠っている。
彼に話してみようか。